藝大出身者が語る、刷新すべき音楽教育 江﨑文武×石若駿×額田大志

2020年9月、10代のための新たなクリエイティブの学び舎「GAKU」が開講。その一環として、WEGOとManhattan Recordsの特別協賛クラス「Beyond the Music」がスタートした。WONKやmillennium paradeでも活動する江﨑文武が総合ディレクションを手がけ、額田大志(東京塩麹、ヌトミック)、石若駿(SMTK、millennium parade、CRCK/LCKS など)、井上幹(WONK)、ermhoi(Black Boboi、millennium parade)、細井美裕と、先鋭的な表現者たちが講師を務める。

ただし、このクラスは単なるプロミュージシャン養成講座ではない。音楽を通じた統合的な学びについて考えることをテーマとしており、江﨑は開講にあたって公開されたステートメントのなかでこう書いている。「今日、音楽を取り巻く環境は急速に変化しています。少し気を抜けばあっという間に時代の変化に取り残されてしまういま、アーティストはただ音楽をつくる・表現するだけではなく、こうした背景を理解することがますます重要になってきています」――。

他に類を見ない音楽講座「Beyond the Music」は、10代の受講生になにを伝えようとしているのだろうか。総合ディレクターの江﨑に加え、額田大志と石若駿を迎えた座談会をお届けしよう。3人は1992年生まれの同い年。学科こそ違えども、東京藝術大学の同期である。話は各自の音楽教育論にまで及んだ。

左後列から:石若駿、額田大志、江﨑文武

優れた先輩たちの敷いたレールに乗るだけのキャリアへの危機意識が、外への意識を芽生えさせた

―みなさんは2015年に始まったイベント『JAZZ SUMMIT TOKYO』の実行委員を務めていたりと、以前からさまざまなプロジェクトで活動してきましたよね。

江﨑:そうですね。音楽だけでなく様々な芸術について語り合い、活動してきました。『JAZZ SUMMIT TOKYO』はそのうちの1つですね。3人で初めて一緒にやったプロジェクトは、額田くんがやっている東京塩麹のライブだったと思います。

江﨑文武(えざき あやたけ)
1992年 福岡市生まれ。WONK、millennium paradeでキーボードを務めるほか、King Gnu、Friday Night Plansなど様々なアーティスト作品のレコーディングやプロデュースを手がける。映画やコマーシャルへの楽曲提供も多数。音楽レーベル「EPISTROPH」を主宰しデザインを監修するほか、芸術教育の領域でもその活動の幅を広げている。東京藝術大学音楽学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。

―この3人の間で共有している感覚とはどのようなものなのでしょうか。

江﨑:同世代のミュージシャンやパフォーマーにはおもしろい人たちがたくさんいるんですけど、技術面だけではなく、「社会にどうアプローチしていくか」ということについて意識している人が多い印象があります。東京藝術大学という閉じた組織のなかだけで生きていくこともできるけれど、外に発信していこうという気概を持って活動している人たちが多かったと感じるんですよ。

たとえば、藝大の器楽専攻の同期がやっている「ぱんだウインドオーケストラ」という吹奏楽団があるんですけど、僕らは器楽専攻ではないので、「おもしろそうなことをやってるな」と端から見ていたんですね。あるとき、彼らから「自分たちの活動を外に発信していきたい」と相談されて。それで僕と額田くんとでカメラマンをやって動画を作ったり、ウェブサイトを作ったりしました。

ぱんだウインドオーケストラ“PANDASTIC!!”

額田大志(ぬかた まさし)
作曲家、演出家。1992年東京都出身。東京藝術大学在学中に8人組バンド「東京塩麹」結成。2017年にリリースした1st Album『FACTORY』は、NYの作曲家スティーヴ・ライヒから「素晴らしい生バンド」と評された。また2016年に演劇カンパニー「ヌトミック」を結成。「上演とはなにか」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。

―外に発信していこうという意識が強いのはどうしてなんでしょうか。音楽を取り巻く現状に対して危機感があるんですか?

江﨑:僕は学生の頃に音楽レーベルのインターンを経験したり、音楽の産業的な側面も見てきたんですね。東京藝大では伝統を受け継ぐ音楽家にも接してきたし、ジャズのオーセンティックなフィールドで活動しているミュージシャンも見てきた。そうやっていろいろ見ていくなかで、どうしても先輩たちが築き上げてきたものの上にただ乗っかりがちな感じがしていて……。自分たちの世代には、それに対する危機感があったように思います。

石若:僕は音楽学部の打楽器科というところにいたんですけど、学生時代から先輩方がやっているプロの吹奏楽団に入るという道筋が存在していて、クラシックの世界での「しきたり」みたいになっていたんです。その決まったルートに単純に乗っかるのではなく、僕らが自発的になにかを変えていかないといけないという空気は、同世代の間でも強くありました。

石若駿(いしわか しゅん)
打楽器奏者。1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。リーダープロジェクトとして、Answer to Remember、CLNUP4、SMTK、Songbook Trioを率いる傍ら、くるり、CRCK/LCKS、Kid Fresino、君島大空、millennium Paradeなど数多くのライブ、作品に参加。

―石若さんは10代から学校外でも音楽活動をされてきましたよね。大学の外でもそうした空気はあったんですか。

石若:そうですね。僕たちが学生のときにInstagramが流行し始めていたんですが、そこで表現を発信する人が増えて、海外でも空気が変わってきたと思うんですよ。どこか有名なバンドに入って1人のプレイヤーとして認められるんじゃなくて、自分で発信した表現によって広く認知されるケースが増えてきた。「僕らもこういうことをやっていこう」という意識をみんな持っていたと思います。

西洋音楽中心の音楽教育を見つめ直し、音楽に対する捉え方を広げる

―「Beyond the Music」の開講にあたって江﨑さんのステートメントが発表されましたが、今のお話に繋がるところもありますよね。現代のアーティストは音楽を作り、表現するだけでなく、音楽を取り巻く背景を理解し、発信していかなくてはいけないんじゃないか。そうした趣旨が書かれています。

江﨑:さかのぼれば、ベートーヴェンの時代から「パトロンに庇護された状態での表現には限界があるので、自活し、それを超えた表現を行うには産業としてなにが必要なのか」といったことが、常に考えられてきたわけです。たとえば音楽出版の権利を売ろうとか、コンサートを自分たちで企画しようとか。

そういう意味では「今の時代だからこそ、『Beyond the Music』のような取り組みが必要です」というわけでもなくて、「僕らの世代でそうした感覚を改めて再認識し、下の世代に伝えていくことって大事だよね」という意味合いでこうしたステートメントを打ち出したんです。

この国の音楽教育の歴史をさかのぼっていくと、明治維新のタイミングで西洋音楽を取り入れた音楽教育の基本設計ができたことがわかるんですね。それから100年間、その設計はずっと変わっていないんです。なぜ幼稚園の先生はピアノが弾けないといけないのか。なぜ幼稚園児は歌とカスタネットとタンバリンと鍵盤ハーモニカで音楽を始めないといけないのか。そういう当然視されていることにすごく疑問を感じるようになったんです。

―西洋音楽中心の音楽教育に対する違和感があったわけですね。

江﨑:そうですね。今の音楽教育では音楽を演奏するスキルを習得することが優先されてしまうけど、バンド活動をやっていると、譜面は読めないけれど素晴らしい音楽活動をやっている人たちとも会うわけですよね。これから大人になる10代と、技術ありきではない音楽のあり方を共有できる場所が欲しいなと以前から思っていたんですよ。

額田:僕と江﨑くんがいたのは音楽環境創造科というところで、21世紀の社会に通じる音楽を作っていこうという学科でした。技術だけを磨くのではなく、自らの音楽や作品を社会の中でどう位置付けていくかは、僕も学生時代から考えていました。

―音楽教育に対する違和感は大学に対しても持っていたんですか。

江﨑:いや、大学はむしろおもしろい場所でしたね。

額田:うん、おもしろかったよね。

江﨑:一番違和感があったのは中学、高校時代。いろんな教科が縦割りでわかれていて、音楽は音楽、物理は物理、それぞれの教科とはまったく関係がありません、といった考え方が高校3年生までに醸成されやすくなってしまう。「受験にない科目は必要ない」といった考えですね。そうすると柔軟な発想ができなくなってしまうんですよね。

―石若さんは10代から音楽活動をやってきたわけですが、中学、高校の音楽教育に対する違和感はありましたか?

石若:両親が音楽の先生をやっていたので、中学の頃から俯瞰して見ていたところがあって。(江﨑)文武が言っていたような音楽の授業、それこそリコーダーを吹いて先生がピアノを弾いてというような授業も「まあ、こういうもんだよな」と受け入れていました。

僕、札幌が地元なんですけど、札幌芸術文化財団が主催している札幌ジュニアジャズスクールという小学生のためのビッグバンドでジャズを勉強していたんですね。そこの先生がバークリー音楽大学から帰ってきたばかりで、みんなで音を出す楽しさはその先生から教えてもらったんです。

―先日、「音響と物理」をテーマとする井上幹さん(WONKのベーシスト)の授業が終わったばかりですが、額田さんと石若さんの授業はどのようなものになるのでしょうか。

額田:音楽の触れ合い方を問い直すような授業にしたいと思っています。(座っているソファーを手で叩きながら)こういった日常の中の音を音楽として捉えてみよう、そんなことから始めたいなと思っていて。江﨑くんが言っていたように、音楽教育の中で西洋音楽が学びの中心にあるということが音楽の触れ合い方を狭めてしまっているのではないかと考えていて、西洋音楽はあくまでも大きな世界の一部に過ぎないということが伝わればいいと思ってます。

こうやってソファーを叩くだけで、それがなぜ音楽になるのか。その理屈がわかると音楽がおもしろくなってくるし、そうすることで音楽との関わり方が変化していくと思うんです。たとえば、最近のワークショップでは参加者の人と一緒に、扇風機の強弱のボタンを操作して音楽を奏でたりしています。日常の中には音楽は溢れているし、そうした一般的な西洋音楽とは異なる「音楽の捉え方」を一緒に考えていきたいと思っています。

額田が所属する、東京塩麹の『Live at 荻窪Velvetsun 2019.8.12』を聴く(Apple Musicはこちら

―石若さんの授業はどういうものになるんでしょうか。

石若:文武からは「ビートと世界史」というお題が来ていて。打楽器っていろんな音楽に使われているわけですけど、打楽器奏者である自分の視点からビートの歴史を考えていければと思っています。

石若駿『Songbook5』を聴く(Apple Musicはこちら

―他の授業もそうですが、いわゆるミュージシャン養成講座というよりも、音楽と社会、あるいは音楽と世界の関わりを捉え直すための講座でもあるわけですね。

江﨑:そうですね。「楽器が上手くなりたい」とか「音楽の作り方を学びたい」ということであれば、今はYouTubeでいくらでも勉強できると思うんですよ。僕らはあくまでも音楽を通して視野を広げるお手伝いができればと思っているんです。

かつての自分も教科教育の発想が強く埋め込まれていたので、たとえば地理の授業を受けていても「これ、藝大受験には関係ないしな」とほとんど関心を持たなかったんですね。今回は教科教育の枠組みの中で音楽の接続を考えてみたくて、物理や技術、世界史など、学校教育での科目と組み合わせて設定しているんです。

江﨑が所属する、WONKの『EYES』を聴く(Apple Musicはこちら

―各分野の境界線自体を捉え直すという試みは、人類学と現代アートが結びついたりと、さまざまな分野で起きていますよね。そうした試みも今の時代に新しく始まったものというより、もともと持っていた結びつきを現代の視点から捉え直すということでもあります。

江﨑:音楽の分野で考えてみても、そうした横断的なプロジェクトがめちゃくちゃ増えてますよね。額田くんも音楽と演劇の間に広がるグラデーションの中にいる人だし、(石若)駿もまさに横断的なプレイヤーだと思う。

額田:学生時代からそうしたジャンルを横断した創作についてはみんなとよく話していたし、そういう時間があったから、今の活動に繋がっていると思います。ただ、横断的な活動ってやる人はやる思い切りがあるし、やらない人はやらない強さがある。

それは、やらないことを否定しているのではなくて、たとえば今回の講座も「西洋音楽」という強い指標があるからこそ、アウトサイダーとして僕らのような音楽家が参加できる。音楽だけでも多くの世界があり、1つを突き詰める人もいるし、横断していく人もいる。大事なのは沢山の分野が存在し、それらに基づく様々な価値基準を「知ること」だと思います。

他者からの視線への意識や、定量化された表現への意識を持つ現在の10代の表現者たちに、3人が伝えたいこと

―今回の「Beyond the Music」は中学生を中心とする10代が受講生となるわけですが、日常的に10代と接するなかで、音楽に対する意識や捉え方の違いを感じることはありますか。

江﨑:今回の話をいただく前に現役高校生と音楽について話をする機会があったんですね。てっきり「バンドって楽しいですか?」みたいな質問がくるのかと思っていたら、「コロナ禍を受けてアーティストとしてのスタンスはどう変わりましたか?」とか「作品はどう変わりましたか?」とか、まるでメディアの人みたいな質問を投げてくるんですよ(笑)。

あと、自分たちが若かった頃と圧倒的に違うなと思ったのは、不特定多数からのフィードバックを常に意識していること。なにかを作ったらすぐにInstagramにアップするのが彼らにとって当然のことになっていて、ときには知らない人から批判されることもある。そういう世界で生きるのが当たり前になっていて、アウトプットが前提になっているんですね。

額田:僕はそれほど10代と接する機会ってなくて、演劇の仕事で中学生と作品を作ったり、大学の授業に呼んでもらって学生と話したりする程度ではあるんですけど、「どうやったらアーティストとして食べられるようになりますか」とか、めちゃくちゃ生々しいことを聞かれて驚いたことがあります(笑)。

あと、動画や音源の再生数みたいな数字をすごく意識しているなと感じました。確かに大事なことかもしれないけど、それってあくまでも2次的なことだと思うんですよ。今回の授業ではそうではない音楽のあり方についてもみんなで考えていきたい。数字という定量的なものから、価値の指標を少しずらしていきたいんです。

江﨑:数字を見ることは確かにアートにとって本質ではないかもしれないけど、一方ではこれだけあらゆるものが定量化されているなかで、今を生きる表現者としてそこから目を背けてはいけないとも思うんですよ。僕は額田くんみたいな考え方の人から授業を受けた後に、たとえばマーケティング重視みたいな音楽の作り方をしている講師から授業を受けて、「これをやれば100万回再生できます」みたいなノウハウや、その考え方も知って欲しいんです。

―江﨑さんがステートメントで書いている「俯瞰的な視点、統合的なものの考え方」というのはそういうことでもあるわけですね。

江﨑:まさにそうですね。

―石若さんは10代のプレイヤーと接する機会も多いんじゃないですか。

石若:多いですね。1年前ぐらいまでは世田谷の中学生を対象としたDream Jazz Bandで講師をやっていました。いろんなタイプの子が来るんですけど、楽器を持って一緒に練習をしていると、徐々に仲良くなってくるし、どんどん上手くなってくる。そうした姿を毎年見ていて、すごく感動があったんですよ。

あと、僕のライブに遊びに来て、「レッスンしてください」と直談判してくる子もいます。ライブで「自分もドラムをやってるので叩かしてください」と言われて、アンコールで叩いてもらったり。そういう子は全国に多くいますね。

江﨑:駿もそういう子どもだったわけでしょ。プロのミュージシャンに混じってドラムを叩く体験をしてきたわけで、かつての自分を見るような感覚があるんじゃない?

石若:そうそう、まさにそういう感覚があるの。自分が叩くだけではなくて、子どもの頃からプロの音に触れることができたことも自分にはとても大きかった。その音に圧倒された体験が、今も強烈に残っています。

あと、「プロのミュージシャンになりたいんですが、どうすればいいですか」と聞いてくる子もいるんだけど、専門的な知識はやってれば勝手についてくるから、最初のうちは好きなようにやればいいんじゃないかな。以前は知識を身につけていくことが重要と考えていたけど、最近は好きにやればいいと思うようになった。

江﨑:僕もどちらかというとそういう考え方かな。だってさ、今は「友達の家の床を水浸しにしました」という動画を撮って生活している人がいるわけじゃない? そのよし悪しは別として、生き方は無限にあるわけで、音楽をやるにあたっても最初は好きにやったほうがいいと思う。

額田:僕の考え方は2人と真逆かもしれない(笑)。江﨑くんが言ったような、好きに生きて生活が成り立つ方法って、できる人はできるけど、全員ができるわけじゃないと思うんだよね。本当は今回の「Beyond the Music」も楽器に触れたことがないけど触れてみたい人や、音楽に難しさを感じている人たちとやれればと思っていて。音楽とそこまで親しくない人たちとなにかをできたらいいなということを常に考えてるんですよ。

江﨑:公教育的な視点で考えているということだよね。今回受講してくれるのは、音楽についてある程度の知識と技術を持っている子たちが多いんだけど、額田くんがそういう子たちになにを教えてくれるのかすごく興味があるんです。

―石若さんは「Beyond the Music」を受講する10代に対して、どういうことを伝えたいと思っていますか?

石若:僕は言葉でなにかを伝えるのがあまり得意ではないんですけど、僕みたいなことをやっている人もいるということが伝わったらいいかなと……うまく言葉にできないんだけど。

江﨑:さっき駿が言ったみたいに、幼少時代にプレイヤーが鳴らす非言語の表現に圧倒され、音楽の楽しさを知るということはあると思うんですね。それはやっぱり音を鳴らすプレイヤーのアーティスト感や表現者としての存在感があってこそ。僕は駿にそれを求めているんです。

―額田さんはいかがですか。

額田:僕みたいに変な人がいるんだということが分かってもらえたらいいかなと(笑)。他のミュージシャンとは作り方も考え方も違うかもしれないけど、「音楽に対するこういう捉え方もあるよ」ということが伝わったら嬉しいです。それに加えて今回はワークショップ形式にしたいと思っていて、一緒に作っていくなかで、僕も彼らから教わりたいなと考えています。中高生の彼らのほうが、僕らよりもさらに先の未来の音楽を考えている部分があると思うし、僕もそれを学びたいんです。

江﨑:僕らもまだまだ学ぶ側ですからね。だからこそ受講者の中高生と近い距離感で一緒に考えられるんじゃないかと思っています。

リリース情報
GAKU

10代の若者たちが、クリエイティブの原点に出会うことができる「学び」の集積地。アート、映像、音楽、建築、料理など、幅広い領域で、社会の第一線で活躍するアーティストやデザイナー、先進的な教育機関が、10代の若者に対して、本質的なクリエイティブ教育を実施する。10代の若者が、本物のクリエイターと実際に出会い、時間を過ごし、ともに考え、試行錯誤をしながらクリエイションに向き合うことで、まだ見ぬ新しい自分や世界、すなわち、原点のカオスに出会うことを目指す。ディレクターには、writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)のデザイナー山縣良和を迎え、世界的評価を受けるファッション・スクール「ここのがっこう」、カルチャーWEBメディアCINRAによるオンラインラーニングコミュニティ「Inspire High(インスパイア・ハイ)」などが集まり、感性、本質的な知識、自己と他者の原点を理解する精神を育むプログラムを構成する。

Beyond the Music

WEGO、Manhattan Recordsの特別協賛のもと開講する「Beyond the Music」では、急速に変化する音楽環境の中で、スキルを身に着けるための断片的な学び以上に重要となる俯瞰的な視点を得るために、物理、国語、社会など様々な科目を音楽を通して見つめ、考えることで統合的に学ぶ姿勢や視点と出会う機会を全6回、約半年間にわたって提供。総合ディレクションおよび全編司会は江﨑文武(WONK、millennium parade)。ゲストスピーカーには、石若駿、額田大志(東京塩麹)、井上幹、ermhoi、細井美裕らが名を連ねる。

プロフィール
江﨑文武 (えざき あやたけ)

1992年 福岡市生まれ。WONK、millennium paradeでキーボードを務めるほか、King Gnu、Friday Night Plansなど様々なアーティスト作品のレコーディングやプロデュースを手がける。映画やコマーシャルへの楽曲提供も多数。音楽レーベル「EPISTROPH」を主宰しデザインを監修するほか、芸術教育の領域でもその活動の幅を広げている。東京藝術大学音楽学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。

石若駿 (いしわか しゅん)

打楽器奏者。1992年北海道生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校打楽器専攻を経て、同大学を卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。リーダープロジェクトとして、Answer to Remember、CLNUP4、SMTK、Songbook Trioを率いる傍ら、くるり、CRCK/LCKS、Kid Fresino、君島大空、Millennium Paradeなど数多くのライブ、作品に参加。 近年の活動として、山口情報芸術センター[YCAM]にて、音と響きによって記憶を喚起させることをテーマに、細井美裕+石若駿+YCAM新作コンサートピース「Sound Mine」を発表。アッセンブリッジ・ナゴヤにて、旧・名古屋税関港寮全体をステージとした回遊型パフォーマンス「石若駿×浅井信好ライブセッション」を行う。自身のソロパフォーマンスが、山本製作所100周年記念モデル「OU-オウ」のPV、フィガロジャポン新連載 山田智和監督「虹の刻 第15章」のオンラインスペシャルムービー、世界的建築家 妹島和世氏設計による大阪芸術大学アートサイエンス科新校舎のドキュメンタリー映画『建築と時間と妹島和世(監督・撮影 ホンマタカシ)』の音楽に抜擢されるなど活動は多岐に渡る。

額田大志 (ぬかた まさし)

作曲家、演出家。1992年東京都出身。東京藝術大学在学中に8人組バンド『東京塩麹』結成。2017年に1st Album『FACTORY』をリリース。翌年、FUJI ROCK FESTIVAL'18に出演。また2016年に演劇カンパニー『ヌトミック』を結成。「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。演劇作家として『それからの街』で第16回AAF戯曲賞大賞、古典戯曲の演出でこまばアゴラ演出家コンクール2018最優秀演出家賞を受賞。その他の活動として2019年に初の小説作品『トゥー・ビー・アニマルズ』を悲劇喜劇(早川書房)に掲載。またJR東海『そうだ 京都、行こう。』を始めとする広告音楽や、Q/市原佐都子『バッコスの信女-ホルスタインの雌』などの舞台音楽も数多く手掛ける。



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