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和田彩花と巡るアーティゾン美術館。絵画から想う時代背景と人々

和田彩花と巡るアーティゾン美術館。絵画から想う時代背景と人々

アーティゾン美術館『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:永峰拓也 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

長く親しまれてきたブリヂストン美術館が建て替えのために2015年に休館し、アーティゾン美術館として新しく誕生したのは2020年1月のこと。アイドル、女優、そして文筆家としても活躍する和田彩花さんは、この美術館のファンの1人。新しい展覧会が始まるたびにプライベートで訪れているそうです。

そんな和田さんをお誘いして向かったのは、2月13日から始まった『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』。その名のとおり、アーティゾンが新たに収蔵したコレクションを中心にした内容は、これからの美術館の向かう一歩先(=STEPS AHEAD)を予見するもの。この未来への歩みを、和田さんはどう見るでしょうか?

描かれた当時の時代背景や描いた人、描かれた人の気持ちを作品から想像する

和田:一つ前の展覧会(『琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術』)も見に来たので、アーティゾン美術館には一方的に親近感を持ってます(笑)。今日も楽しみにしてました!

アーティゾン美術館『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』2021年2月13日(土)~5月9日(日)
アーティゾン美術館『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』2021年2月13日(土)~5月9日(日)(サイトで見る

展示会場の入り口で、すでに鑑賞のテンションを上げている和田さん。じつはもうこの場所から『STEPS AHEAD』展は始まっているのですが、和田さん、その「気配」にさっそく気づきます。

和田:ソファがふだん置かれているのと違いますね? たしかいつもは網々な感じのソファだったはず。

さすがの観察力! 今日のガイドである学芸員の島本英明さんによると、エントランスに置かれていたソファ『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』は今回「作品」として展示室内に移動。ガラスのベンチは通常通りエントランスに置かれており、自由に腰かけることができます。これにはある由縁があるのだとか。

和田彩花(わだ あやか)<br>1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。特技は美術について話すこと。特に好きな画家は、エドゥアール・マネ。好きな作品は『菫の花束をつけたベルト・モリゾ』。特に好きな(得意な)美術の分野は、西洋近代絵画、現代美術、仏像。趣味は美術に触れること。
和田彩花(わだ あやか)
1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。特技は美術について話すこと。特に好きな画家は、エドゥアール・マネ。好きな作品は『菫の花束をつけたベルト・モリゾ』。特に好きな(得意な)美術の分野は、西洋近代絵画、現代美術、仏像。趣味は美術に触れること。

島本:このガラス製のベンチはデザイナーの倉俣史朗による作品で、1986年にブリヂストン美術館時代に同じ建物内にあったブリヂストン本社ロビーの改装時のデザインを倉俣が手がけて以来、会社の表玄関で使われてきたものなんです。

また、隣にある大理石のオブジェ『ソノトキ音楽ガキコエハジメタ』は倉俣の盟友といえる造形作家の田中信太郎の作品で、これも1986年の改装時に構想・制作され、同じロビーに設置されたものです。今回の展覧会は新たに展開していくコレクションの姿もお見せしますが、同時にそれを支えているこれまでの歴史の厚みを紹介するものでもあります。倉俣と田中の作品は、それを象徴するものです。

和田:これまでは「なんだかかっこいいベンチがあるな」くらいに思っていたんですけど、歴史を知るとますます楽しみ方が豊かになりますね。

展覧会入り口にて。左:倉俣史朗のガラスのベンチ、右:田中信太郎のオブジェ『ソノトキ音楽ガキコエハジメタ』
展覧会入り口にて。左:倉俣史朗のガラスのベンチ、右:田中信太郎のオブジェ『ソノトキ音楽ガキコエハジメタ』

第1のセクション「藤島武二の『東洋振り』と日本、西洋の近代絵画」。ここでは、青木繁、黒田清輝、ルノワール、ピカソといったアーティゾン美術館の代表的な収蔵作品が集められていますが、メインの場所に置かれているのがタイトルにもある藤島武二の『東洋振り』。今回の展示で初めて公開される新収蔵作品です。

和田:日本人のモデルに東洋風の衣装を着せて描いた……とありますね。西洋から見た東洋はエキゾチックな対象として眼差されてきたと思いますが、この作品は日本側から東洋に向けて、それに近い視線を向けている感じがします。モデルさんがどんな気持ちで描かれていたのか気になっちゃいます。

藤島武二『東洋振り』の前で
藤島武二『東洋振り』の前で

島本:この絵は大正期に描かれました。日本国内の西洋化が進み、客観的に東洋を見、その一部が自国でもある、という視点で描かれているのだと思います。

描かれている衣装や小物は画家自身のコレクションで、おしゃれなもの、可愛らしいものとして東洋を理解している面もあります。現代から見ると美しいと感じるものに対する複雑な眼差しを感じさせますが、これもまた日本が辿ってきた成熟までの歴史の道筋でもあるんですよね。

絵画と同じ横顔同士でと向き合ってみる
絵画と同じ横顔同士でと向き合ってみる

和田:私自身、西洋の絵画が好きで、生活や趣味でも西洋由来のものに親しんで暮らしてます。それって、日本人なのにヨーロッパから日本を見るようなセンスを私が持っているということでもあって、なんだか複雑。普段、意識していないことを気づかせてくれる絵だと思いました。

さらにこのセクションには、和田さんにとって思い入れのあるベルト・モリゾの『バルコニーの女と子ども』も展示されています。マネが描いたモリゾ像が美術の世界に足を踏み入れるきっかけだったと、和田さんは過去のインタビューで発言していますが(関連記事:和田彩花「わからない」から始める美術の楽しみ方、その奥深さ)、ではモリゾ本人の作品をどう見るでしょうか?

和田彩花

和田:この絵が描かれた19世紀って、パリがとてもきらびやかだった時代ですよね。でもモリゾはそれに距離を置いたような描き方をしている。その視点が面白いですね。

島本:『バルコニーの女と子ども』は1872年の作品ですが、その前年には市民運動から始まったパリ・コミューンがあり、内戦状態を経て、パリは荒廃していました。かつての華やかさからはかけ離れてしまったパリの状況にモリゾは思いを馳せて描いたのかもしれません。

和田:まさにその時代なんですね。女性や子どもはパリ市内から避難していたそうですから、実際にモリゾは距離を感じてこの絵を描いたように思います。

和田彩花
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展覧会情報

『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』
『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』

2021年2月13日(土)~9月5日(日)
会場:東京都 京橋 アーティゾン美術館

プロフィール

和田彩花(わだ あやか)

1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2010年5月『夢見る15歳』でメジャーデビューを果たし、同年『第52回日本レコード大賞』最優秀新人賞を受賞。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。特技は美術について話すこと。特に好きな画家は、エドゥアール・マネ。好きな作品は『菫の花束をつけたベルト・モリゾ』。特に好きな(得意な)美術の分野は、西洋近代絵画、現代美術、仏像。趣味は美術に触れること。

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