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ZAIKO取締役ローレンを動かした、日本の音楽業界に対する可能性

ZAIKO取締役ローレンを動かした、日本の音楽業界に対する可能性

ZAIKO
インタビュー・テキスト
村上広大
撮影:大畑陽子 編集:久野剛士

オンラインでも「チケットを購入する」体験に価値がある。PPVやVODにはないワクワク感の創出

―そのままソニーミュージックでキャリアを形成していく道もあったと思うのですが、なぜ起業の道を選んだのでしょうか。

ローレン:日本の音楽業界に10年ほど身を置いていたのですが、これだけデジタル化に興味がなくて、これだけグローバル展開に本気になれないことに対して、言葉を選ばず言えばクレイジーだと思ったんです。「グローバル」と口には出すけど、実際には海外には目を向けないし、デジタル化に至ってはせき止めようとする動きもありました。

本来、当時の日本の音楽業界が一番やらなきゃいけないことだったのに。でも、どこもやっていないからこそニーズがあると思いました。そこで手はじめにリアルイベントのチケットのデジタル化に取り組むことにしたんです。日本では、どんなに大きなイベントでもいまだに紙のチケットを手でもぎっていますよね。

―それをすべてオンラインシフトしてしまおうと。

ローレン:2019年はそこに注力して、ある程度の手応えも感じていました。ただ、2020年になって新型コロナウイルスの影響で、予定していたライブが一気に中止になり、会社の売り上げが大きく減少してしまったんです。クライアントもパニック状態でした。そこで取り組んだのがライブ配信サービスです。それもやると決めてから2週間くらいで完成させて。これが大企業だったら、社内決裁を取っている間にそれくらいの時間が過ぎ去っていたはず。そういうスピード感で動けるのがZAIKOの強みだと思います。

ローレン・ローズ・コーカー

―ZAIKOは2020年の1年間でものすごい数のライブ配信を実現させましたよね。

ローレン:最初に取り組んだceroのライブ配信がすごく反響があって、それからオファーがたくさん舞い込んでくるようになりました。2020年の6月は、1か月で2019年と同じ枚数のチケットが販売されたんですよ。

―ZAIKO以降、配信サービスは他でも数多く出てきましたが、なにが成功のポイントだったと思いますか?

ローレン:人とシステムの両方がありますね。当時は3人しかカスタマーサポートがいなかったのですが、彼らの奮闘によって山場を乗り切ることができました。私たちのサービスは海外からの購入にも対応していることもあり、多種多様なお客さまから問い合わせが来ます。それでも3人それぞれが3か国語以上の言語を話すことができたので、うまく対応することができました。しかも、月間で2019年と同じ数の問い合わせが来たにも関わらず、システムが止まらず正常に動いたことも素晴らしかったですね。

あと、起業1年目にチケットのデジタル化を進めたことが大きいと感じています。というのも、イベントはオンライン、オフライン関わらず、「チケットを購入する」という体験自体に価値があるんです。オンラインだとチケットなんて不要だと考える方がいるかもしれませんが、実はそうではありません。イベントはPPV(ペイ・パー・ビュー)やVOD(ビデオ・オン・デマンド)とは違うものなんです。チケットを入手して、イベント当日をワクワクした気持ちで迎え、持っているチケットを使う。その流れ、ワクワクした気持ちがすごく重要で。

―配信される映像をただ見るだけではないということですよね。

ローレン:そうです。加えて、ZAIKOはアーティストがファンに直接チケットを販売できるので、極端なことを言えば「今日チケットを販売したい!」と思ったら、すぐに取り組めるんです。しかも、コストダウンも実現しながら。だから、今まで大手プレイガイドでチケットを販売することができなかったアーティストでも利用できます。それによって現在は、毎週末に100~200本のライブ配信がある状況も生まれています。

ローレン・ローズ・コーカー

―そういった予想以上の反響に対して、ローレンさんはどのように受け止めていますか?

ローレン:まさか起業して2年でここまで求められる会社になるとは思っていなかったから、すごく光栄なことだと感じています。一方で、経営者としては難しい場面もすごく多いですね。メンバーの数も2020年の1月には15名だったのに、現在では76名になりました。それによって責任のレベルが変わってきている実感がありますし、それぞれが働きやすい環境を作っていくことの大変さも痛感している最中です。

今までも音楽業界でさまざまな経験をしてきましたが、経営ははじめてのことなので、いろんなことを勉強しないといけないなと感じています。なににコストをかけて、なににコストをかけないかといったことはもちろん、ボーナスをどうしようとか(笑)。

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プロフィール

ローレン・ローズ・コーカー

1986年5月23日生まれ、34歳。米国イリノイ州シカゴ出身。バラク・オバマ元大統領らを輩出した名門シカゴ大で東アジアの歴史や日本語などを学び、卒業後の2008年に22歳で来日。英会話講師を経て、キョードー東京やソニー・ミュージックエンタテインメントで勤務。19年1月に仲間と「ZAIKO」を設立。会社名はチケットの「在庫」から取った。同年からは内閣府知的財産戦略本部の構想委員会委員を務める。

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