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Daichi Yamamotoと高校生のラップ談義。音楽の自由を10代に学ぶ

Daichi Yamamotoと高校生のラップ談義。音楽の自由を10代に学ぶ

GAKU
インタビュー・テキスト
渡辺志保
撮影:北原千恵美 編集:久野剛士、CINRA.NET編集部

年齢も環境にも左右されず、アーティストになれる時代のメリット

―Daichiさんは、今回の講義をとおして10代のころを思い出すこともありました?

Daichi:まさにそうですね。自分が最初につくった曲を聴き直したりしました。えげつなくダサかったですけど(笑)。

―sakamotoさんと同い年くらいのときの自分は、どんな感じだったんだろう? と。

Daichi:じつは17、8歳のころは、まだ音楽をつくってなくて。興味はあったのですが、周りに音楽をつくっている人がいなかったので、ひとまずこの気持ちは心の奥に置いておこう、みたいな。

―音楽をつくりはじめた最初の一歩はどんな感じだったのでしょう?

Daichi:たしかYouTubeからビートをダウンロードして、そこにラップを重ねてました。iPhoneのマイクを使ってレコーディングしたんです。

その音源をShingo02さん(日本のラッパー、Nujabesとの“Luv(Sic)”シリーズなどで知られる)に送ったら、「ちゃんとしたマイクを買ったほうがいい」ってアドバイスをいただいて(笑)。そこから機材を揃えはじめましたね。

Daichi Yamamoto

―今回の講座は、楽器は使用せず、パソコン一台で、作曲ソフトのAbleton Liveのみを使ったと聞きました。パソコン一台で気軽に制作ができるという現代ならではのメリットは感じますか?

Daichi:そうですね。これまでは「曲をつくりたい」となったら、誰かしら機材や技術を持ったプロの人のところに行って、その人から教えてもらうというプロセスが発生していたと思うんです。

それはそれでいいことなのですが、そういうコミュニケーションが得意じゃなかったり、そもそも周りにそういう環境がいない人も当然いるんですよね。

業界の上下関係なんかもありますし、そこをパスできる選択肢があるという意味でも、パソコン一台で作曲できることはすごく良いと思います。

sakamoto:たしかにパソコン一台で完結できるのは、ものすごく便利だと思います。ぼくの場合、楽曲配信などを通じてほかの誰かとつながれるという面にも惹かれます。

いつか、いろんな人と制作できたらめちゃくちゃ楽しいだろうなって思います。憧れのSTUTSさんとご一緒できたらすごくうれしいです。

―自分がつくったものが世に出て、不特定多数の人に聴かれるというのも、最初は不思議な体験ですよね。でも、Daichiさんをはじめ、アーティストのみなさんはその積み重ねで活動している。

sakamoto:はい。自分の曲が公開されていることは、恥ずかしさもありますが、今後ももっと勉強して、凝ったビートがつくれたらいいなと思います。機材とかももっと触ってみたいなって。

ryota sakamoto

―あらためて、Daichiさんは、今回の講座における一番の収穫はなんでしたか?

Daichi:誰かの曲づくりを、最初から最後まで見ることができる機会って、じつはあまりないんですよね。ほかのアーティストとコラボするときも、ずっと一緒にいるわけではないので。それを見ることができたのは、すごくおもしろかったし、刺激を受けました。

―生徒のみなさんの成長を感じた瞬間はありましたか?

Daichi:もちろんあります。特にちゃんと曲というかたちにできたのは、すごく大きかったんじゃないかなと思います。sakamotoくんは、アイデアやメロディーセンスがすごくあるので、さらにいいものがつくれると思う。ぜひ、これからも楽曲制作を続けてほしいなって思います。

―この講座をGAKUとともに企画された、CANTEENの遠山さんも、「最後まで形にする」ということを重視されてましたよね。

遠山:そうですね。Daichiさんがおっしゃるように「つくって、聴いてもらう」ところまでがこの講座はセットになっているのが特徴だと思います。ほかの受講生と制作のペースが違っても、無理にかたちやスケジュールに当てはめることなく、スタッフや講師陣でしっかりサポートして、それぞれのつくりたいものを最後までつくりきってもらいました。

最初の授業で「生徒ではなく一人のアーティストとして扱います」という話をして、コースを通じて彼らの想像力やクリエイティビティーを最大限尊重してきました。

今回の受講生は「ヒップホップ」という言葉のもとに集まったメンバーでしたが、自分が好きなものを「正直」につくれる環境とサポートがあれば、アウトプットはそれぞれまったく違うものになる。普段CANTEENという会社で最も大事にしている部分が、自然と目の前で繰り広げられていて、私も非常に感銘を受けています。

sakamoto:ありがとうございます。こちらもすごく面白かったですし、もっといいものをつくりたいという思いも強くなりました。ほかの生徒のみんなもそう思っていると思います。

左から:Daichi Yamamoto、ryota sakamoto
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リリース情報

GAKU

10代の若者たちが、クリエイティブの原点に出会うことができる「学び」の集積地。アート、映像、音楽、建築、料理など、幅広い領域で、社会の第一線で活躍するアーティストやデザイナー、先進的な教育機関が、10代の若者に対して、本質的なクリエイティブ教育を実施する。10代の若者が、本物のクリエイターと実際に出会い、時間を過ごし、ともに考え、試行錯誤をしながらクリエイションに向き合うことで、まだ見ぬ新しい自分や世界、すなわち、原点のカオスに出会うことを目指す。ディレクターには、writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)のデザイナー山縣良和を迎え、世界的評価を受けるファッションスクール「ここのがっこう」、カルチャーウェブメディアCINRAによるオンラインラーニングコミュニティ「Inspire High(インスパイア・ハイ)」などが集まり、感性、本質的な知識、自己と他者の原点を理解する精神を育むプログラムを構成する。

Beat, Flow and Promotion

GAKUのプログラムとして、合同会社CANTEENが企画および運営を手がける講座。講座にはビート制作の講師としてPARKGOLF、Qunimune、Tomggg、ラップ制作の講師としてASOBOiSM、Daichi Yamamoto、gummyboy(Mall Boyz)、ビデオ制作の講師としてPennacky、Yaona Sui(Mall Boyz)らシーンの最前線で活躍する現役アーティストが参加。隔週全11回のクラスを通じて、ビート制作、ラップ、ビデオ撮影、デジタル配信、著作権処理、プロモーションまでヒップホップアーティストに必要な知識や制作過程を一貫して学ぶことができる。

プロフィール

Daichi Yamamoto(ダイチ ヤマモト)

1993年京都市生まれのラッパー、美術家。日本人の父とジャマイカ人の母を持つ。18歳からラップとビートメイキングをはじめ、京都を中心にライブを行う。2019年、1stアルバム『Andlles』をリリースし、高い評価を獲得。また、2012年からロンドン芸術大学にてインタラクティブアートを学び、フランスのワイン会社とコラボしたアート作品『Dégorgement』や、Pongのバー操作を声の高低で行う『Voice Pong』を制作するなど、アートの領域でも活躍する。

ryota sakamoto(リョウタ サカモト)

2003年東京生まれ。2021年、講義「Beat, Flow and Promotion」を通じて、楽曲“garbage”を発表した。

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