4時間38分のカタルシス、瀬々敬久が現代版『罪と罰』に挑む『ヘヴンズ ストーリー』

「ピンク映画四天王」としても知られる瀬々敬久監督の長編大作映画『ヘヴンズ ストーリー』が、10月2日より渋谷のユーロスペースほか全国で公開される。

物語の主人公は、両親と姉を殺された事件をきっかけに祖父に引き取られた8歳の少女サト。テレビ越しに別の殺人事件で妻子を殺された男性・トモキが発した「法律が許しても、僕がこの手で犯人を殺してやります」という力強い言葉と意思を目にしたサトは、自分の中でトモキを英雄のように考えるようになる。時代を同じくして、一人息子を育てながら復讐代行を副業にする警官、理由なき殺人を犯した青年、その青年と家族になろうとする女性など、20人を超える登場人物が描かれながら、それぞれが複数の殺人事件をきっかけにつながっていく。

同作は、これまでも現実の事件にインスパイアされてきた映画監督・瀬々敬久が、1999年から2010年の約10年間を総括するような世界を、全9章・4時間38分という驚異の尺度で描いた物語だ。

出演は、寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、村上淳、そして、初の本格的な映画出演となるシンガーの山崎ハコらが名を連ねる。不条理な殺人が世界各地でおこりつづける憎しみと復讐の時代に、人生における「再生」を問いながら人類永遠の命題に挑む様は、2010年版『罪と罰』といえるだろう。

なお、公開初日の10月2日には、瀬々敬久の映画世界を解きあかした画期的な書籍『瀬々敬久 映画群盗傳』も刊行。これまでの映画作品や執筆文を振り返るほか、大島真寿美、大橋仁、いましろたかしら9名による『ヘヴンズ ストーリー』に捧ぐ寄稿文を収録。映画への理解を深めるには欠かせない一冊となっている。

9月26日には千駄ヶ谷のBibliothequeにて、瀬々監督と写真家の大橋仁によるトークショーも開催。『瀬々敬久 映画群盗傳』の先行発売も行なわれる予定だ。

『ヘヴンズ ストーリー』

2010年10月2日(土)よりユーロスペース、9日(土)より銀座シネパトスほか全国順次ロードショー
監督:瀬々敬久
出演:
寉岡萌希
長谷川朝晴
忍成修吾
村上淳
山崎ハコ
菜 葉 菜
栗原堅一
江口のりこ
大島葉子
吹越満
片岡礼子
嶋田久作
菅田俊
光石研
津田寛治
根岸季衣
渡辺真起子
長澤奈央
本多叶奈
佐藤浩市
柄本明
人形舞台 yumehina
百鬼どんどろ
配給:ムヴィオラ

『瀬々敬久 映画群盗傳』

2010年10月2日発売
著者:瀬々敬久
編者:ヘヴンズ プロジェクト
価格:1,680円(税込)
発行:ワイズ出版

『大橋仁×瀬々敬久トークショー』

2010年9月26日(日)15:00~17:00
会場:東京都 千駄ヶ谷 Bibliotheque
出演:
大橋仁
瀬々敬久
料金:1,500円(当日精算)
予約方法:電話または店頭にて受付 03-3408-9482
定員:60名

(画像:©2010ヘヴンズ プロジェクト)

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