キアロスタミ監督最新作、本物と贋作の恋愛で揺れるゆきずりのイタリア

アッバス・キアロスタミ監督の新作『トスカーナの贋作』が、2月19日より東京・渋谷のユーロスペースほか全国で公開される。

同作は、『友だちのうちはどこ?』『そして人生はつづく』『桜桃の味』ほか数多くの名作でイラン映画の魅力を世界に知らしめたアッバス・キアロスタミが、初めてイラン国外で撮影した長編劇映画。キアロスタミ式「イタリア旅行」とも言うべきラブストーリーとなっている。

舞台はイタリア、南トスカーナの小さな村。本物と贋作についての講演を終えたばかりのイギリス人作家・ジェームズは、ギャラリーを経営しているフランス人女性に出会う。物の価値について互いの持論を争わせ、芸術におけるオリジナルとコピーの問題について議論を戦わせた2人は、カフェの女主人が彼らを夫婦だと勘違いしたのをきっかけに、まるで長年つれ添った夫婦のような関係を演じる。しかし、彼らがゲームのように楽しんできた関係は、時間が経つにしたがって次第に変化していき、彼らの心の中にさざ波が広がっていく。

妻役を演じたジュリエット・ビノシュは、同作で初のカンヌ映画祭女優賞を受賞。ジェームズを演じたウィリアム・シメルは英国オペラ界を代表するバリトン歌手であり、今回が映画初出演となる。また、美しいトスカーナの風景をとらえた撮影は、『家の鍵』などを手がけたイタリアの名カメラマン、ルカ・ビガッツィが手掛けている。

同作は、一見、男と女の出会いを極めてシンプルに描いたロマンティックなラブストーリーでありながら、これまでのキアロスタミ作品と同様に一筋縄ではいかない、魔術的ともいえる物語世界が広がっている。

『トスカーナの贋作』

2011年2月19日より渋谷ユーロスペースほか全国ロードショー
監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
撮影監督:ルカ・ビガッツィ
出演:
ジュリエット・ビノシュ
ウィリアム・シメル
ほか
配給:ユーロスペース

(画像:©Laurent Thurin-Nal / MK2)

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