映画館営業者の二極化鮮明 経営実態調査結果を帝国データバンクが発表

映画館営業者の経営実態調査結果と今後の見通しを、帝国データバンクが発表した。

一般社団法人日本映画製作者連盟の日本映画産業統計によると、2019年に日本で公開された映画の興行収入は過去最高となる2611億8000万円、入場者数も1億9491万人を記録した。

一方、2020年に入って新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、映画館の休館や座席制限などもあり、大幅な落ち込みが予想されるとの見通しが発表された。

2015年度から2019年度まで5期連続で収入高が判明した97社を対象にした比較では、全体として2018年と2019年は前年比増加となっているものの、収入高の規模別に見ていくと「10億円未満(構成比79.4%)」の小規模事業者の5割強が「横ばい」となっていることが判明。

2019年度の収入高トップは、TOHOシネマズ、イオンエンターテイメント、松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクリエーション、ユナイテッド・シネマと、シネコン大手5社が上位を独占。上位5社の2019年度の収入高合計は2465億4300万円となり、全体の76.5%にのぼるという。

調査からは少数のシネコン大手と、多数の地方・ミニシアター系の小規模事業者という二極化構造が改めて浮き彫りになっている。

報告では、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的ヒットによって「コロナ禍においても、これだけ多くの観客を動員するという作品の力が改めてクローズアップされ、同作品の爆発的ヒットが、ここに来て映画館運営業者の業績回復に大きく貢献している」としながらも、同作品の恩恵を最大限に受けることができるのは同作品を数十回上映することができる大手シネコン運営業者に限られている、と指摘。「小規模運営業者は引き続き厳しい運営を強いられている」と現状を分析している。

また豊富な資金力を駆使して「4DX」「ScreenX」「IMAXレーザー」など体感型の上映やライブビューイングを行なうなどして顧客獲得の努力を重ねている一方、小規模営業者は映画監督による舞台挨拶や上映後のトークイベントなど、顧客獲得施策が限られている現状も報告されている。

日本映画界において、海外の多様な作品を紹介するとともに、若手作家の育成に寄与してきたミニシアターや、地方に映画文化を根づかせてきた小規模映画館。『鬼滅の刃』の華々しい大ヒットで沸く映画業界だが、業界全体では新型コロナウイルスによる苦境を脱したわけはない。

ミニシアターを救うためのプロジェクト『#SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」』では署名活動の実施や、連動したクラウドファンディングプロジェクト「ミニシアター・エイド基金」などが設立され、現在では演劇業界、音楽業界と連動したキャンペーン「#WeNeedCulture」が展開されている。

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