ニュース

吉開菜央×石川直樹、知床・斜里を舞台にした映画『Shari』10月公開

吉開菜央監督の映画『Shari』が10月23日から東京・渋谷のユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほかで順次公開される。

米津玄師“Lemon”PVの出演、振付で知られ、短編映画『Grand Bouquet』が『第72回カンヌ国際映画祭』監督週間に正式招待された吉開菜央。初の長編作品『Shari』の舞台は、日本最北の地である北海道・知床の斜里町。雪が全く降らず、流氷もなかなか来ない2020年の冬の斜里町に、血の塊のような空気と気配を身に纏った「赤いやつ」が現れ、現実と空想を織り交ぜた物語が紡がれる。

写真家の石川直樹が初の映画撮影に挑み、助監督を渡辺直樹、音楽を松本一哉、音響を北田雅也、アニメーションを幸洋子が務めた。吉開は「赤いやつ」役として出演する。石川が知床の新たな魅力を発掘し、発信することを目的として斜里町でスタートさせたプロジェクト『写真ゼロ番地知床』のゲストとして招かれた吉開は、町で鹿肉を食べ、眠れなくなるほど強い興奮を覚えた体験から映画の物語を始めることを思いついたという。

今回の発表とあわせて石川が撮り下ろした本ポスタービジュアルと場面写真が公開。知床の空と海、雪原を背景に立つ「赤いやつ」の姿が写し出されているほか、「ヒトとケモノのあいだ すきまに生まれた、真っ赤なわたし 北の、果てに来た」というコピーが添えられている。

吉開菜央監督のコメント

写真家の石川直樹さんから知床半島斜里町で一緒に映画をつくらないかと誘われて、この映画ははじまりました。石川さんは6年前から「写真ゼロ番地知床」という地元の写真愛好家とグループを組んでいて、彼らと深い信頼関係を持ちながら作品制作を継続されています。わたしは石川さんのツテを辿り、2019年の夏に斜里町に滞在し、斜里岳に登ったり、野生の鹿肉を食べたり、特別に漁船に乗せてもらったりしながら、ただ観光するだけでは決して出会えないような人々の生活を垣間見るという得難い体験をしました。翌年の2020年1月。現地での撮影がスタートしますが、その年は記録的な小雪で、真っ白な銀世界で撮影するという期待は早々に裏切られることになります。斜里で会う人はみんな口々に言います。「今年は異常だ」。彼らの切実な声は、東京に住むわたしにも無関係な話ではないと強く確信し、いまここで起きている、決しておとぎ話では済まされない現実も含めてすべて映画にするべきだと決心しました。わたし自身が人と獣の間のような「赤いやつ」に扮し、斜里を全身で体感し、人と自然、自分と他者、言葉になることならないこと、夢と現実、さまざまな境界線を彷徨い、あらゆる命の渦の一粒として、生きながらつくりあげた、初めての長編映画です。映画に残すことのできた風景と音が、世界中のみなさまの今に繋がることを願っています

石川直樹のコメント

知床半島を初めて訪れたのはもう20年近く前になります。コロナ禍に入るまでは、本当に何度も何度も知床の玄関口である斜里を起点に旅をして、冬も夏も、特に近年はさまざまな場所を歩きまわりながら写真を撮っていました。なのに、今回初めて映画を撮影する目的で彼の地に滞在してみたら、見慣れた場所にまったく未知の風景が立ち上がってきた。地名としてはとても有名な知床ですが、そこから想起される土地の表情や姿は、人の数だけ存在する。この映画が、そんなことを少しでも感じてもらうきっかけになったらいいなあ、と思っています。

松本一哉のコメント

少人数で強行スケジュールの中、冬の知床で録った音が映画全体から聴け、また、私が初めての知床での体験から制作した音楽を聴けて、撮影時の様々な音風景の時間が鮮明に思い浮かびます。冬の知床の環境音、雪の音、流氷の音、氷の音、風の音、動物たちの声、人々の声、人工的な音、演奏の音、音響の音。全ての音が混ざり合ってSHARIという生き物の音になっており、音の面からも様々な越境が読み取れました。この時代の冬の知床の音を残せた事に喜びを感じます。関わった全ての知床の生き物たち、ありがとうございました

渡辺直樹助監督のコメント

吉開さんから聞いた“はしっこ”での“ちいさな”映画づくりに直感が走り、写真家/石川直樹さんと音楽家/松本一哉さん、吉開監督も併せ、各界の才能と映画を丁寧に結びつける“役目”に勝手な使命感を覚えて参加しました。さらに知床という土地とそこに暮らす人たちの姿と心根が映画を支える幹となり、僕ら4人が持ち寄った物語と、軽やかに織り交わる作品になりました。思えば撮影した2020年1月。オホーツク海の流氷到来に合わせ、新型コロナ感染症が静かに近づいてきていました。今なお続くこの困難を“赤いやつ”が溶かし、心置きなく斜里を再訪できる春を心待ちにしています。

『Shari』本ポスタービジュアル ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』本ポスタービジュアル ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
『Shari』 ©2020 吉開菜央 photo by Naoki Ishikawa
画像を拡大する(5枚)

記事の感想をお聞かせください

知らなかったテーマ、ゲストに対して、新たな発見や感動を得ることはできましたか?

得られなかった 得られた

回答を選択してください

ご協力ありがとうございました。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来 1

    オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来

  2. 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾出演『ワルイコあつまれ』第2回コーナー発表 2

    稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾出演『ワルイコあつまれ』第2回コーナー発表

  3. クラムボンの東名阪ツアー『クラムボン2021“爽秋編”』が10月開催 3

    クラムボンの東名阪ツアー『クラムボン2021“爽秋編”』が10月開催

  4. 『文化庁メディア芸術祭』受賞作『音楽』『映像研には手を出すな!』を紹介 4

    『文化庁メディア芸術祭』受賞作『音楽』『映像研には手を出すな!』を紹介

  5. ドレスコーズ志磨遼平×パピヨン本田のコラボ漫画公開、10年の歩み振り返る 5

    ドレスコーズ志磨遼平×パピヨン本田のコラボ漫画公開、10年の歩み振り返る

  6. 杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』 6

    杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』

  7. Bank BandがNHK『SONGS』に初登場 大泉洋が小林武史、櫻井和寿と対談 7

    Bank BandがNHK『SONGS』に初登場 大泉洋が小林武史、櫻井和寿と対談

  8. ジム・ジャームッシュのコラージュ本『Some  Collages』刊行 サイン入りも 8

    ジム・ジャームッシュのコラージュ本『Some Collages』刊行 サイン入りも

  9. 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 時代を先取りした画期的作品 9

    『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 時代を先取りした画期的作品

  10. ZAIKO取締役ローレンを動かした、日本の音楽業界に対する可能性 10

    ZAIKO取締役ローレンを動かした、日本の音楽業界に対する可能性