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アニソン、舐めたらアカン。ミト×OxTによる「アニソン座談会」

VOCALOID Keyboard「VKB-100」
テキスト
黒田隆憲
座談会司会:冨田明宏 撮影:田中一人 編集:川浦慧

なぜ、アニソンは日本、いや世界の音楽シーンの中で「ワンアンドオンリー」な存在になったのだろうか。

去る11月11日(土)、多摩ニュータウンにある元小学校にて開催されたCINRA主催の大人の文化祭『NEWTOWN』で、『アニソン座談会 supported by VOCALOID Keyboard』が行われた。登壇者は、ミト(クラムボン)と、ユニット「OxT」としても活動するオーイシマサヨシとTom-H@ckの三人。アニメ界にとどまらず、ロックやポップスなど様々なジャンルを行き来しつつ、コンポーザー / プレイヤー / プロデューサーとして活躍する三人が、昨今ものすごいスピードで進化し続けるアニソンの「今」について熱く語るという、非常に密度の濃いイベントとなった。

このイベントを彩ったのは、楽器メーカーYAMAHAが12月に発売する新機種、歌詞を歌うことのできるキーボード・VOCALOID Keyboard「VKB-100」。「初音ミク」をはじめ、「Megpoid」や「IA -ARIA ON THE PLANETES-」「結月ゆかり」といったボーカロイドたちの声を、リアルタイムに「演奏」できるという画期的なキーボード。パソコンや音楽制作の知識はなくても、直感でボーカロイドを操作できる「VKB-100」を、三人は一体どのように使うのだろうか。満員御礼の体育館で行われた座談会はまず、「VKB-100」の試奏から賑やかにスタートした。

「作家」がここまでフィーチャーされたのって、アニソン界では神前暁さんが最初だったと思うんですよ。(ミト)

—まずはみなさん、「VKB-100」を実際に試奏してみての、率直な感想を聴かせてもらえますか?

ミト:これ、あらかじめ歌詞を入力しておいて、鍵盤を鳴らすことで読み上げさせる仕組みになっているんですね。プリセットでも“千本桜”とか色々入ってる。

ミト(クラムボン)
ミト(クラムボン)

Tom-H@ck:面白いですね。今までボーカロイドって、パソコン上でしか操作できないソフトだったんですけど、それを楽器の中に組み込むことによって、リアルタイムに演奏できるっていう。画期的だと思います。

実は僕ら、事前にこの「VKB-100」をお借りして一通り操作してみたんですけど、たとえば「ボーカルチョップ」という、声をバラバラに切り刻んで再構築していく制作のテクニックがあって。みなさんも様々なダンストラックの中で聴いたことがあると思うんですが……。

(実際にミトが演奏してみせる)

Tom-H@ck:「ボーカルチョップ」が、リアルタイムで出来ちゃうの、ヤバくないですか?

(会場、ざわめく)

Tom-H@ck
Tom-H@ck

—デザインに関してはいかがですか?

Tom-H@ck:すごくいいですね。今までYAMAHAさんの作るハードシンセって、いい意味で直線的かつ無意識な印象だったんですけど、これはめちゃくちゃ近未来なデザイン。曲線をモチーフにしてるところとか、今までのYAMAHAさんにはなかった気がします。

ミト:僕、以前にIA(イア)ちゃん(「IA -ARIA ON THE PLANETES-」)を使って曲を書いたことがあるので、試しにそのメロディーで違う歌詞を歌わせてみましょうか……。

(実際に演奏する)

オーイシ:うわ、めちゃめちゃアブストラクトなことになりますね、なんのこっちゃわからない!(笑)

オーイシマサヨシ
オーイシマサヨシ

—クリエーターの手にかかると、早速新しい奏法がこうやって生み出されていくわけですね。では、ここからはアニソン座談会ということで、まずはお三方に「聴き手として好きなアニソン」を聴いていこうかと。先ほど、オーイシさんから“もってけ!セーラーふく”(テレビアニメ『らき☆すた』オープニングテーマ)が挙がりました。もうこの曲、10年前のリリースになるんですね。

ミト:作曲は神前暁さん。アニソンの歴史を遡っていくと、たとえば1990年代には林原めぐみさんや宮村優子さんが活躍する「声優=アイドル」時代などがありましたけど、「作家」がここまでフィーチャーされたのって、アニソン界では神前さんが最初だったと思うんですよ。

オーイシ:確かに。J-POPに一石を投じましたね。当時僕はバンドマンだったんですけど、バンド界隈でも神前さんの作品はものすごく話題になっていましたね。「これ作ったやつ、どんなやつや!?」みたいな(笑)。「アニソン、舐めたらアカン」みたいなムードは、この頃から漂い始めてましたね。

—何より、ちゃんと「売れた」ということも大きいと思うんです。それによって、『ミュージックマガジン』でも取り上げられるなど、アニソンは無視できない存在になっていきましたよね。当時の音楽誌に掲載されたレビューを読み返すと、「一番ぶっ飛んでいた時の桑田佳祐のような曲」とか書いている評論家もいて(笑)。つまり色んな角度であの曲が解析されるということが起きたのが面白かった。

ミト:僕、神前さんとは個人的に親しくさせていただいているのですが、彼と飲むと、彼のデモテープが聴けるチャンスがあるんですよ。

オーイシ:うわ、羨ましい! 神様のデモテープですね。

ミト:それで、まさにこの“もってけ!~”のデモを聴いたことがあるんですけど、歌いだしの音程がない部分って、リズムに合わせて神前さんが「こ~こはラップ ここはラップ」って歌いながら、ラップの指示を出していて。千石撫子(花澤香菜)さんの“恋愛サーキュレーション”も、ラップの部分はやっぱり「ここはラップ、ここはラップ、みなさんよろしくお願いします」ってラップしてるんですよ。

(会場笑)

 

オーイシ:考えてみれば私たち作家が、アニソンでああいうラップパートを当たり前のように入れられるようになったのって、“もってけ!~”の功績はかなりあると思いますね。

ミト:それと、畑亜貴さんが書く、あのワケのわからない歌詞世界ですよね。一つひとつ意味を解析しようとすると、頭がこんがらがって人間やめたくなりますから(笑)。

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リリース情報

『VOCALOID Keyboard「VKB-100」』
『VOCALOID Keyboard「VKB-100」』

「VOCALOID(TM)」は、ヤマハ株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力するだけで、コンピューター上で人工の歌声を作り出すことが出来る歌声合成技術およびその応用ソフトウェアです。ボーカロイドキーボード「VKB-100」は、この「VOCALOID(TM)」によって実現した、リアルタイムに歌詞を歌わせて演奏を楽しむキーボードです。実際の人間の声から収録した「歌声ライブラリ」と呼ばれる声のデータベースを切り替えることで、さまざまなシンガーの声を利用することができます。スマートフォン・タブレット用の専用アプリケーションとBluetooth接続することで、「初音ミク」をはじめ、「Megpoid」「IA -ARIA ON THE PLANETES-」「結月ゆかり」からシンガーを追加したり、歌詞を事前入力することで、オリジナル曲の演奏が楽しめます(シンガー「VY1」は標準搭載)。パソコンや音楽制作の専門知識は必要なく、鍵盤やボタン操作で自由にメロディーや歌い方を変化させられるため、誰でもボーカロイド曲が楽しめる、まったく新しい「VOCALOID(TM)」の楽しみ方を提案する楽器です。(12月9日発売予定)

プロフィール

OxT
OxT(おくと)

ボーカリスト・オーイシマサヨシとサウンドプロデューサー・Tom-H@ckの二人によるデジタル・ロック・アーティスト。オーイシマサヨシは2001年、「Sound Schedule」のVo.Gtとしてメジャーデビューして以来、ソロ名義「大石昌良」としても数々の作品を発表し、その突き抜けた透明感のある声、心の琴線に触れる言葉や卓越したメロディセンスで多大な評価を得、近年ではTVアニメ『けものフレンズ』のOPテーマとして提供した”ようこそジャパリパーク”や『A3!』の主題歌“MANKAI☆開花宣言”が話題に。一方、Tom-H@ckは、TVアニメ『けいおん!』をはじめ数々のアニメ作品、近年ではT.M. Revolution、でんぱ組.incなどのアーティスト楽曲において、奇抜で唯一無二の個性的なサウンドで活躍。現在はMYTH&ROIDのサウンドプロデューサーとしても活躍している。2013年、TVアニメ『ダイヤのA』OPテーマ“Go EXCEED!!”“Perfect HERO”でのコラボレーションにより二人は出会い、以降オーイシマサヨシはアニメコンテンツへ進出。「オーイシマサヨシ」としてTVアニメ『月刊少女野崎くん』OPテーマ“君じゃなきゃダメみたい”をリリース。それぞれの活動の中、二人はコラボレーションに新たな可能性を見出し、「OxT(オーイシマサヨシxTom-H@ck)」を結成。2015年、TVアニメ『ダイヤのA』EDテーマ“KIMERO!!”でメジャーデビューを果たす。TVアニメ『オーバーロード』OPテーマ“Clattanoia(クラタノイア)”を2nd Singleとして、2016年TVアニメ『プリンス・オブ・ストライド・オルタナティヴ』OPテーマ“STRIDER'S HIGH”を3rdシングルとして、2017年TVアニメ『ハンドシェイカー』OPテーマでは“One Hand Message”をリリース。数々のアニメフェスや音楽イベントへの出演も積極的に行っている。

ミト
ミト

1975年5月6日生まれ。東京都出身。クラムボンのバンドマスターとして、ベース、ギター、キーボード他を担当。デビュー以来クラムボンのほとんどの楽曲はmitoによるものである。自身のバンド以外にも、演奏参加、楽曲提供、プロデューサー、ミックスエンジニアとして、木村カエラ、豊崎愛生、花澤香菜、持田香織、toe、SOUR、コトリンゴなど多くのミュージシャンを手がける他、映画やアニメの楽曲制作を行う。2006年から「mito solo project」として「FOSSA MAGNA」「dot i/o」「micromicrophone」の3つのソロ活動をスタートし、アルバムを発表。ノイズ、アバンギャルド、テクノからエピックなポップミュージックまでを傍若無人に搾取するヘヴィー・リスナーであり、常にジャンルの垣根を飛び越えようとするスタイルで、新しい音楽に挑戦している。2011年には初のmito名義となるソロアルバム『DAWNS』を発売。同時に、これまでミトがプロデュース、作曲、編曲、作詞、remixなどを手がけた数々の作品を2枚にコンパイルした『mito archive 1999-2010』も発売している。また、牛尾憲輔(agraph/LAMA)とのアニソンDJユニット、2 ANIMEny DJsや、伊藤真澄・松井洋平との劇伴ユニット”TO-MAS SOUNDSIGHT FLUORESCENT FOREST”としても活動中。近年はクラムボン自身のレーベルからmini ALBUM『モメント e.p.』シリーズを発表し、全国ツアー会場と活動に賛同してくれるジャンル問わずのお店への直接販売を行い、バンドとして独自のスタンスを築き上げている。

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