ソフィア・コッポラが来日 新作『ビガイルド』や女性監督の活躍も語る

ソフィア・コッポラ監督の最新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のジャパンプレミアが、本日1月17日に東京・新宿のLUMINE Oで開催。映画のプロモーションのために来日したソフィア・コッポラが登壇した。

新作のジャパンプレミアに登壇したソフィア・コッポラ
新作のジャパンプレミアに登壇したソフィア・コッポラ

黒いシンプルなワンピースを纏って登場したソフィアは「私の新作をみなさんにご覧いただけるということでとても嬉しく思っています。この作品はニュー・オーリンズで撮影して、キルステン・ダンスト、エル・ファニング、ニコール・キッドマンや素晴らしい若い女優たち、コリン・ファレルといった素敵な役者と仕事ができて幸せでした。楽しんでご覧いただきたいと思います」と観客に挨拶。

映画のPRでは4年ぶりの来日となるが、日本の印象を尋ねられると「まだ来たばかりで今回の印象はあまりないんですが、子どもの頃から東京には何度も来ているし、大好きな都市の1つです。また来れてとても嬉しく思っています」と笑顔を見せた。

ソフィア・コッポラ

1人の男と狂いゆく女たち 「男女の力関係を描いてみたかった」

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、クリント・イーストウッド主演で『白い肌の異常な夜として映画化されたトーマス・カリナンの小説をもとにした作品。リメイクではなく原作小説を女性視点から描くことに注力したという。1864年のアメリカ・バージニア州を舞台に、南北戦争から隔離された男子禁制の女子寄宿学園に1人の負傷兵が現れたことから巻き起こる7人の女性たちの愛憎劇が描かれる。

これまでのソフィアの作風と比べてスリラー色が強くなっている同作。長編6作目にしてこのような題材を撮ろうと思った理由については「面白い物語だと思ったし、当時のアメリカ南部の様子に関心がありました。同時に当時そこで暮らしていた南部の女性たちや、今も見られるような男女の力関係を描いてみたいと思いました」と説明した。

ソフィア・コッポラ

「近年の女性監督の活躍は素晴らしいこと」 世代の異なる女性キャストたちとの撮影秘話も語る

ソフィア・コッポラは同作で昨年の『カンヌ国際映画祭』においてミヒャエル・ハネケ、ジャック・ドワイヨンらを抑えて監督賞を受賞。女性監督としては史上2人目、56年ぶりの快挙を成し遂げた。またこの映画は女性キャストだけでなく、多くの女性スタッフに支えられて制作されたという。

「男性キャスト1人に対して、様々な年齢の女性キャストが多数いるというのはとても珍しいと思いますし、そういう環境での撮影は楽しい経験でした。アメリカでは以前よりも女性監督の作品が増えてきたと思います。様々な視点から映画が作られていることは素晴らしいと思っています」

ソフィア・コッポラ

映画にはニコール・キッドマン演じる園長のミス・マーサ、キルステン・ダンスト演じる純粋な教師、エル・ファニング演じる早熟な少女アリシアといった様々な年代の女性が登場する。

「下は12歳から上は40代後半まで、世代の違う女優たちと仕事をするのは楽しかったです。自分なりにこの年代の女性はこういう男性と出会ったらどういうことを考えるんだろうということを想像しながら描いていきました」

「メインキャラクターの3人については、3人がどういう風に彼に接するのか、それはなぜなのかということをすごく考えました。彼女たちはそれぞれ人生の違うステージにいるので考え方も違ってくるのですが、同時に男性も一人ひとりの女性に違った面を見せるという点も考えました」

ソフィア・コッポラ

草刈民代が花束贈呈 ソフィア初演出オペラにも言及

イベントの中盤では女優の草刈民代が登場し、ソフィア・コッポラに花束を贈呈。

草刈民代がソフィア・コッポラに花束を贈呈
草刈民代がソフィア・コッポラに花束を贈呈

作品について「本当に美しい映画。そしてとても厳しい映画だと思いました。これはスリラーというよりも現実的なお話。女性が生きていくために、子供たちを守るためにする行動にリアルな厳しさを感じました」と評した。

これを受けてソフィアは「私がこれまでに手掛けた作品よりもドラマティックな物語ですが、私が当時の人間だったら、私が登場人物だったらこの状況でどうしただろうと想像しながら脚本を書きました」と明かした。

 
草刈民代と作品について語るソフィア・コッポラ

ソフィアの作品のファンだという草刈は「人物がとてもリアル」とソフィア作品の魅力を評価。ソフィアが初めてオペラの演出をした『椿姫』(ソフィア・コッポラのインタビュー独占入手 『椿姫』本日公開)にも言及し、「人物の造形が素晴らしくて心を打たれた」と称賛すると、「オペラはドラマティックなものですが、その中でも人間味があるキャラクターにしようと心がけて演出しました。ですからそう言ってもらえて嬉しいです」と笑顔を見せた。

草刈民代と作品について語るソフィア・コッポラ

最後に草刈から、日本で再び撮影するプランはあるのかと尋ねられると「日本に滞在することは大好きですし、また何かできたらいいですが、残念ながら現在のところ予定はないです。私自身、次に何をやるかも決まっていません。ですが、ぜひまた日本に長く滞在したいとは思っています」と答えた。

ソフィア・コッポラ

草刈民代とソフィア・コッポラ

映画は2月23日に日本公開、1月19日にはNHK『あさイチ』生出演も

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は2月23日から全国で公開。ソフィア・コッポラは1月19日にNHK総合で放送される『あさイチ』に生出演する。

またLUMINE 0 スタジオでは、1月19日までソフィア・コッポラのフォトブック『Andrew Durham SET PICTURES Behind the Scenes with Sofia Coppola』の刊行を記念した写真展が行なわれている。

作品情報
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』

2018年2月23日(金)からTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開
監督:ソフィア・コッポラ
出演:
ニコール・キッドマン
エル・ファニング
キルスティン・ダンスト
コリン・ファレル
上映時間:93分
配給:アスミック・エース STAR CHANNEL MOVIES



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