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『Reborn-Art Festival 2019』作品ガイド。震災から「8年」を考える

『Reborn-Art Festival 2019』
テキスト
島貫泰介
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
『Reborn-Art Festival 2019』作品ガイド。震災から「8年」を考える

鮎川エリア(キュレーター:島袋道浩)

次に訪れた「鮎川エリア」は、今回の『RAF』で、筆者がもっとも深く感動した地域だ。キュレーターは、アーティストの島袋道浩。彼は、このエリアのテーマを「目をこらす 耳をすます」とした。

島袋:鮎川や牡鹿半島は、震災以降の街を作り直すなかで2回目の大きな変化の時期を迎えていると思っています。そんな状況で「なくしてはならないもの、残していくべきもの」を見つけてこれる作家を選びました。

鮎川エリアのキュレーター、島袋道浩
鮎川エリアのキュレーター、島袋道浩

出品作家は島袋も含めて5人。詩人の吉増剛造は、オープンから2か月間をエリア内の家屋(詩人の家)で生活し、そこを訪れる来訪者とともに寝起きし、詩を作って過ごす。また、ミュージシャンの青葉市子は家を改装したインスタレーション作品を展示し、そこで無料で配るアイスキャンデーは、食べ終えたアイスの棒を回収して後日作品にするという。これらの継続的な営為は、自らも地域の一住民として加わる行為とも言えそうだ。

吉増剛造『詩人の家』(撮影:NAKANO Yukihide)
吉増剛造『詩人の家』(撮影:NAKANO Yukihide)
青葉市子『風の部屋』(撮影:NAKANO Yukihide)
青葉市子『風の部屋』(撮影:NAKANO Yukihide)
青葉市子『風の部屋』(撮影:NAKANO Yukihide)

集落から少し離れた、「コバルト荘」という国民宿舎があった場所を展示場所に選んだ島袋道浩の『白い道』も忘れがたい。コバルト荘が現役だった頃に使われていたという遊歩道の話を知り、草ぼうぼうの坂から道の痕跡を発見した彼は、草を刈り、道に3トンの白い小石を敷き詰めた長い遊歩道を復活させた。遊歩道の終着点では、美しい海の風景を望むことができ、その近くには鳥を呼びよせることができるバードコールが置いてある。目だけでなく、耳も愉しませようとする作家の機知が楽しい。

これは、あえてアートと呼ばなければ単なる改修工事に過ぎないようにも思える。だが、自然のなかに鮮やかに浮かび上がる美しい白い道は、かつてここが多くの人から愛された場所であったという記憶を地元の人に思い起こさせ、また同時に、はじめてこの地を訪れた旅人である私たちまでもが、その記憶を直感的に共有できる強度を持っている。単なる道の再生が、記憶の再生(リボーン)になり、ひいては記憶の新生(リバース)にもなるのだ。

島袋道浩『白い道』(撮影:NAKANO Yukihide)
島袋道浩『白い道』(撮影:NAKANO Yukihide)
島袋道浩『白い道』(撮影:NAKANO Yukihide)

島袋たちが目指した「目をこらす 耳をすます」とは、つまりこのようなことなのだ。復興の勢いと経過する時間の波に押されて忘れられそうになってしまっている物事について、「見よ、そして聞け」と訴えている。

集落の集会場のバルコニーに島袋がしつらえた見晴台に立つと、防潮堤建設が進む鮎川の様子がよく見える。「この風景を忘れてはならない」。そんな声が心に響いた気がした。

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イベント情報

『Reborn-Art Festival 2019』
『Reborn-Art Festival 2019』

2019年8月3日(土)~9月29日(日)
会場:宮城県 牡鹿半島、綱地島、石巻市街地、松島湾

[ART]
参加作家:
島袋道浩
青葉市⼦
石川⻯一
野⼝里佳
吉増剛造
名和晃平
今村源
野村仁
村瀬恭子
WOW
淺井裕介
在本彌⽣+⼩野寺望
坂本⼤三郎+⼤久保裕子
志賀理江子
津田直
堀場由美子
有⾺かおる
Ammy
⼤槌秀樹
鹿野颯⽃
工藤玲那
後藤拓朗
是恒さくら
渋⾕剛史
シマワキユウ
白丸たくト
SoftRib
ちばふみ枝
富松篤
根本裕子
halken LLP
久松知子
古里裕美
ミシオ
守章
⻘木俊直
石巻劇場芸術協会
オザワミカ
たなか亜希夫
八重樫蓮
ヤグチユヅキ
浅野忠信
アラン
石毛健太
伊藤存+⻘木陵子
梅⽥哲也
⼩宮⿇吏奈
ジョン・ルーリー
バリー・マッギー
BIEN
フィリップ・パレノ
真鍋⼤度+神⾕之康研究室
持⽥敦⼦
ロイス・ワインバーガー
⼤崎映晋
ザイ・クーニン
中沢新一
⼭内光枝
アニッシュ・カプーア
草間彌生
久住有生
SIDE CORE
ジェローム・ワーグ
中﨑透
パルコキノシタ
深澤孝史
増田セバスチャン
松岡美緒
村田朋泰

[MUSIC]
『四次元の賢治 -完結編-』
2019年9月22日(日)、23日(月・祝)
会場:宮城県 塩竈市 杉村惇美術館
脚本:中沢新一
原案:宮沢賢治
音楽:小林武史
出演:
満島真之介
Salyu
コムアイ(水曜⽇日のカンパネラ)
ヤマグチヒロコ
ほか
声、歌の出演:
太田光(爆笑問題)
櫻井和寿
青葉市子
安藤裕⼦
細野晴⾂

[FOOD]
参加シェフ:
⽯井真介(シンシア / 東京)
石松一樹(マルタ / 東京)
川手寛康(フロリレージュ / 東京)
⼩林寛司(ヴィラ アイーダ / 和歌⼭)
佐藤剛(ファットリア カワサキ / 宮城)
浜田統之(星のや東京 ダイニング / 東京)
樋口敬洋(サローネ トウキョウ / 東京)
松岡英雄(割烹 まつおか / 京都)
松本圭介(オリーノ / 宮城)
ほか

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