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折坂悠太とカネコアヤノの再会の記録 「歌」に注ぐ眼差しの違い

『CROSSING CARNIVAL』
テキスト
村尾泰郎
撮影:池野詩織 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
折坂悠太とカネコアヤノの再会の記録 「歌」に注ぐ眼差しの違い

ひと言では言い得ない、でも澄み渡った剥き出しの感情を歌に。カネコアヤノは、脇目も振らず全力疾走するように音楽を鳴らす

続いて、エレキギターを持ったカネコアヤノとバンドが登場。バンドメンバーは林宏敏(Gt)、本村拓磨(Ba)、Bob(Dr)の三人だ。

カネコアヤノバンド
カネコアヤノバンド

様々なバンドを通じて音楽を生み出す折坂に対して、カネコにとって現在のバンドメンバーは唯一無二の存在。それは毎回、ライブが始まる前に行われる「儀式」からも伝わってくる。全員がBobの前に集まり、声をかけ合って気持ちを統一する。この日はカネコの弾むような笑い声が聞こえてきて、それがライブへの期待感へと繋がった。そして、Bobを除く3人は各自のポジションへと散り、新作『燦々』のオープニング曲“花ひらくまで”でライブは幕を開けた。

カネコアヤノバンド
カネコアヤノバンド
カネコアヤノバンド
カネコアヤノ“花ひらくまで”を聴く(Apple Musicはこちら

カネコの肉声が会場に響き渡った瞬間、まるで特大の電球が灯ったようにフロアの雰囲気が大きく変わる。折坂の歌声、節回しも個性的だが、それが折坂が独自に磨き上げたスタイルであるのに対して、カネコの歌声は直感的で剥き出しの感情がそのまま詰まっている。

カネコアヤノ
カネコアヤノ
カネコアヤノ

それは「悲しみ」とか「喜び」とか限定された感情ではなく様々な感情が混ざりあったもの。そこに濁りはなく、澄み渡っていて力強い。それは生命力そのものなのかもしれない。だからこそ、大きな場所、大勢の人々の前で歌うことで、その輝きは増す。そして、その歌声の力を増幅させるのがバンドの役割だ。

しっかりと4人がスクラムを組んだようなバンドアンサンブルは、メンバーそれぞれのキャラクターが音に反映されていて、個性的なプレイを聴かせながら、それぞれの音は寄り添っている。メンバーがお互いを信頼しているのが伝わってくる演奏で、その根底には音楽を演奏することに対する喜びがあり、メンバーは演奏中に何度も笑顔を浮かべてアイコンタクトをとっている。

カネコアヤノバンド
カネコアヤノバンド

また、カネコの無垢な歌に様々なアレンジを施して、曲に広がりを与えるのもメンバーの役割だ。“かみつきたい”をはじめとする多彩なコーラスや、“ぼくら花束みたいに寄り添って”などの緩急のメリハリをつけた演奏でカネコの歌の表現力や瞬発力を際立たせている。

カネコアヤノ“かみつきたい”を聴く(Apple Musicはこちら

カネコアヤノ“ぼくら花束みたいに寄り添って”を聴く(Apple Musicはこちら

そして、“さよーならあなた”の後半では、カネコの歌が乗り移ったように林のジミヘンばりの激しいギターソロが炸裂。カネコはギターに集中して白熱したセッションへとなだれ込んでいく。カネコの歌声をしっかりと届けることがバンドの最大の目標だが、バンドの演奏が歌の添え物になっているわけではなく、歌と同じくらいのパワーがないとバランスがとれないのだ。

カネコアヤノバンド

折坂はライブの合間に穏やかに観客に語りかけ、バンドのアンサンブルをじっくり聴かせて、ひとつの作品を作り上げるようにライブを構成していく。一方、カネコのライヴはMCを一切入れず、脇目も振らずに全力疾走する。その姿はまさにロックンロール。

カネコの歌っているときの表情や身のこなしは最高にグラマラスで目が離せない。それはカリスマ的な魅力を発揮しているというより、彼女が音楽によって開放されているようで、そんな姿に見る者は惹かれるのだろう。

世の中のわずらわしさ、自意識の面倒臭さから開放されて、歌うことの気持ちよさだけがそこにある。それは自由な気持ちになれる歌。観客はカネコとバンドが生み出す歌を通じて、束の間、心のなかに雲ひとつない青空が広がるのだ。

カネコアヤノバンド

月9や映画の主題歌を手がけるまでになった二人。久しぶりの共演を祝して、“いつでも夢を”をデュエット

本編終了後、アンコールに応えて折坂とカネコが二人で登場。初めて出会ったときのことを語った。

左から:折坂悠太、カネコアヤノ
左から:折坂悠太、カネコアヤノ

共通の知り合いを通じて出会った二人は、一緒に飲み、音楽について語り合い、帰りの駅で「絶対売れよう!」と誓い合ったとか。カネコが「折坂君、あの頃、めっちゃ怖くて」と当時の様子を振り返っていたが、二人ともそれぞれに屈託を抱きながら自分のやりたいことを貫いてきたのだろう。

折坂は「シンガーソングライター同志の距離感は、ときどき会う親戚みたいな感じ」と言っていたが、この日のライブでは、折坂はテレビドラマ『監察医 朝顔』の主題歌“朝顔”、カネコは映画『わたしは光をにぎっている』の主題歌“光の方へ”を披露した。活動範囲が広がったことを伝えるそれぞれの歌は、久し振りに共演した二人の手みやげのようにも思えた。

折坂悠太“朝顔”を聴く(Apple Musicはこちら

カネコアヤノ“光の方へ”を聴く(Apple Musicはこちら

そして、折坂がギターを弾き、ハラのサックスを交えて、昭和の名曲“いつでも夢を”(原曲は橋幸夫と吉永小百合のデュエット、1962年発表)をデュエット。ライブ本編のときよりもリラックスして歌われたその歌は、ツーマンの美しいエピローグとなった。

左から:折坂悠太、カネコアヤノ
左から:折坂悠太、カネコアヤノ

個性的な声と音楽性を持ったふたりが共演することで、それぞれの魅力が際立った『CROSSING CARNIVAL 外伝』。“いつでも夢を”を聴きながら、いま二人はどんな夢を抱いているのだろうと思った。

左から:折坂悠太、カネコアヤノ
左から:折坂悠太、カネコアヤノ
左から:折坂悠太、カネコアヤノ

5月16日(土)、渋谷7会場で『CROSSING CARNIVAL'20』が開催される。チケット先行受付を2月25日(火)23:59まで実施中
5月16日(土)、渋谷7会場で『CROSSING CARNIVAL'20』が開催される。チケット先行受付を2月25日(火)23:59まで実施中(サイトを見る

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イベント情報

『「CROSSING CARNIVAL 外伝」~カネコアヤノと折坂悠太~』

2019年12月19日(木)
会場:東京都 渋谷 WWW X
出演:
カネコアヤノ
折坂悠太(合奏)

『CROSSING CARNIVAL'20』
『CROSSING CARNIVAL'20』

2020年5月16日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE、WOMB LIVE、clubasia、7th FLOOR
料金:一般5,500円(ドリンク別)

曽我部恵一
吉澤嘉代子
君島大空
柴田聡子inFIRE
王舟(トリオ編成)
CRCK/LCKS
Lucky Kilimanjaro
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プロフィール

折坂悠太(おりさか ゆうた)

平成元年、鳥取県生まれのシンガーソングライター。幼少期をロシアやイランで過ごし、帰国後は千葉県に移る。2013年よりギター弾き語りでライヴ活動を開始。2018年10月には2ndアルバム『平成』をリリース、CDショップ大賞を受賞するなど各所で高い評価を得る。2019年7月クールのフジテレビ系月曜9時枠ドラマ「監察医 朝顔」主題歌としてシングル『朝顔』を発表。独特の歌唱法にして、ブルーズ、民族音楽、ジャズなどにも通じたセンスを持ち合わせながら、それをポップスとして消化した稀有なシンガー。

カネコアヤノ

弾き語りとバンド形態でライブ活動を行っている。2019年には最新アルバム『燦々』と弾き語りによる再録アルバム『燦々 ひとりでに』を発表。『燦々』は『第12回CDショップ大賞2020入賞作品』に選出。2020年4月には大阪市中央公会堂、中野サンプラザでのワンマンライブを控えている。

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