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普段は見られないライブ現場の裏側。学生たちが紡いだ自らの未来

日本工学院八王子専門学校
テキスト
天野史彬
撮影:上保昂大 編集:柏井万作(CINRA.NET編集部)
普段は見られないライブ現場の裏側。学生たちが紡いだ自らの未来

『As Future As One』配信本番

そして配信本番となる11月21日、筆者は自宅で『As Future As One』を視聴していたが、見事な配信ライブイベントだったと思う。生放送と収録映像を組み合わせた作りで、生の温かさと収録の完成度の高さが織り交ざっていた。

学生が生で司会進行を行い、ライブは事前に収録した動画が放送された
学生が生で司会進行を行い、ライブは事前に収録した動画が放送された

ライブ前のオープニング映像なども、学生の手によって作られたという。また、SNS連動企画としてアーティストのサイン入りチェキをプレゼントするなど、イベントの存在を広めつつ、視聴者にしっかりとサービスをしようとするスタンスもよかったし、視聴自体はチケットもいらず無料だが、YouTubeの投げ銭機能「スーパーチャット」を通して、新型コロナウイルスの影響によって仕事を失ったライブエンタメ従事者のための支援基金「Music Cross Aid」への寄付を募るところは、YouTubeというツールや「配信ライブ」というフォーマットを活かしたやり方だった。

そして肝心のライブパフォーマンスは、パソコンの画面で見ていても、見事にアーティストの世界を伝えてくれる演出が施されていた。それぞれのアーティストの個性に合わせて考え抜かれたであろう、ステージ演出。トップバッターを飾ったFAITHは、その華やかでポップな音楽性と人生観の滲む歌詞世界に合わせた、煌びやかでスケールの大きな演出が素晴らしかったし、続くYAJICO GIRLは、その色気のあるソウルフルな世界観に寄り添うように、一本のライブの中でグラデーションを描くような照明演出に、スタッフの音楽に対する理解を感じさせた。

FAITH(放送動画より)
FAITH(放送動画より)
YAJICO GIRL(放送動画より)
YAJICO GIRL(放送動画より)

3番手のNakamuraEmiは、その突き刺すような力強いグルーヴ感をしっかりと捉えながら、NakamuraEmi自身の自然体な美しさがより一層引き立つような演出で、“YAMABIKO”演奏時にチャット上で「おーおーおー」という合唱が起こった場面はとても感動的だった。

NakamuraEmi(放送動画より)
NakamuraEmi(放送動画より)

そしてトリを飾ったユアネスは、緩急のある曲の流れに寄り添ったうえで、その抒情的な楽曲を生み出す繊細な音と声の質感が、とても丁寧に捉えられて伝わってきた。

ユアネス(放送動画より)
ユアネス(放送動画より)

ユアネスのフロントマン・黒川侑司は学生時代に、今回の学生スタッフたちと同じようにライブ制作を学んでいたらしく(専攻はPAコース)、インタビュー時に語った、「アーティストサイドは、カメラを回している方や、音を出してくれる方、照明をやってくれる方がいないと何もできないに等しいんです。なので、裏方と表方で上下差はないと僕は思うし、アーティストはそういう人たちに助けられて、少しずつ上に行くんだと思います。厳しい業界かもしれないけど、裏方の人たちに助けられているアーティストは世の中に大量にいるし、皆さんのことをきっと待っていると思います」という言葉は、アーティストからの言葉として、また学生スタッフの先輩からの言葉として、心に残るものだった。

日頃は授業で使っている学校内のホールの空間を特別なものにするために、様々なアイデアを駆使しながら、アーティストの世界観を捉え、拡張させ、視聴者に伝えていく。今の時代、多くの人たちがライブに飢えていたであろう。ライブチャットでは、「この時期にライブを配信してくれてありがとう」と、学生スタッフたちに感謝の言葉を送るアーティストのファンたちの姿も見受けられた。

まだまだ世間に不安は残り続けている状況ではあるが、それでも、この『As Future As One』というイベントは、若者たちがこの状況を真っ向から受け止めたうえで、未来への1歩を踏み出すための、貴重な試みだったのだと思う。この配信イベントを収録現場から取材させてもらった筆者自身、現場で動きまわる学生スタッフの姿に救われるような、気を引き締めさせられるような思いだった。

最後に、先にコメントを引用した学生スタッフ髙久のとても印象に残った言葉を記しておく。

髙久:やっぱり、ライブがなかなかできない状況だし、自分が音楽業界で働くことができるのか、今も不安ではあるんですけど、コロナが収まったときに皆さんが一番楽しみにしているのは、エンタメだと思うんです。そのとき、ちゃんと自分が音楽業界で働けているように、今できることをやっておきたいし、今の状況だからこそ生まれる新しい音楽の楽しみ方にもアプローチしながら、ライブを作っていけたらいいなと思っています。

よりよい未来で出会うために、そこにエンターテイメントがちゃんとあってくれるように。学生スタッフたちは、この時代に対して、アーティストや音楽そのものに対して、そして、自分たちの未来に対してもしっかりと向き合いながら、「ライブ」というエンターテイメント空間を見事に作り上げていた。

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番組情報

スペースシャワーTV『“As Future As One” with UNITED FOR MUSIC』
スペースシャワーTV
『“As Future As One” with UNITED FOR MUSIC』

初回放送:1月20日(水)23:00~23:30

日本工学院八王子専門学校コンサート・イベント科24期が主催した配信イベント“As Future As One”。スペースシャワーTVも参加する音楽サポートプロジェクト「UNITED FOR MUSIC」が全面協力をして行われた本イベントには、NakamuraEmi、FAITH、YAJICO GIRL、ユアネスの4組が出演し、ライブを披露した。スペースシャワーTVでは、音楽・エンターテインメントの世界を目指す学生たちの手によって作り上げたこの配信イベントの模様をお届けします。

イベント情報

『日本工学院八王子専門学校 コンサート・イベント科 presents“As Future As One” with UNITED FOR MUSIC Supported by CINRA.NET / SPACE SHOWER TV / J-WAVE』

2020年11月21日(土)14:00からSPACE SHOWER TVのYouTube公式チャンネルで配信

出演:
NakamuraEmi
FAITH
YAJICO GIRL
ユアネス
料金:無料

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