レビュー

身のまわりの日常を写し留め続ける写真家

安野泰子
2009/09/25
身のまわりの日常を写し留め続ける写真家

広告や、雑誌や、ネット上、どこを見渡しても写真イメージの蔓延る現代。私たちは、その写真にある情報を素早く読み取り、必要なものとそうでないものを瞬時に判断し、要らないものは惜しみなく捨てる。そんな写真イメージの大量消費の中にあって、頭山さんの写真は、ふとたちどまり、そしてしばらく凝視していたくなる。そして、そこに何かの意味や情報を読み取ろうとするが、すぐに、それは間違っていたことに気づかされる。頭山さんの写真に出逢って、普段、私たちが駆使している情報処理能力を、一旦、中断することで見えてくる風景があることを知った。

私たちが抗うことのできない大きな時間の流れ。「私たちは必ず死ぬ」という事を意識した瞬間に、ゾッとして身動きがとれなくなった経験はないだろうか。私たちは普段はそのことを、意識下におくことで生きていられる。しかし、頭山さんは、そうした事実を、時の流れを、「生」の現実をカメラのファインダー越しに見つめ続けている。 それらの写真を前にして、私たちはただただ、沈黙することしかできないのだろうか。

※このコンテンツは旧「ピックアップアーティスト」の掲載情報を移設したものです

プロフィール

頭山ゆう紀

写真で感情は撮れないけど、写真と感情それぞれが別々に存在し、並走したまま繋がっているのだと思う。白と黒は自分への現実だったし、カラーは母の色を思う。今写真と再会し、ここから見えてくるものを再び写真に定着していく。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『悲しみに、こんにちは』予告編

映画『悲しみに、こんにちは』予告編。両親の死によって、都会から田舎の伯父伯母のもとに引き取られることになった少女・フリダ。スペイン・カタルーニャで過ごす彼女の、きらめくようなひと夏の様子が、新鋭監督による瑞々しい感性によって描かれています。映画批評サイト「ロッテン・トマト」100%Fresh獲得も納得の一作です。(久野)

  1. 『デザインあ展』が科学未来館で開催。体験型作品も多数の会場内をレポート 1

    『デザインあ展』が科学未来館で開催。体験型作品も多数の会場内をレポート

  2. 吉岡里帆主演『健康で文化的な最低限度の生活』 生活保護描く新ドラマ 2

    吉岡里帆主演『健康で文化的な最低限度の生活』 生活保護描く新ドラマ

  3. ドラマ『恋のツキ』に安藤政信&欅坂46・今泉佑唯が出演 恋物語をかき乱す 3

    ドラマ『恋のツキ』に安藤政信&欅坂46・今泉佑唯が出演 恋物語をかき乱す

  4. ケンドリック・ラマーの黒塗り広告が突如、霞ヶ関駅&国会議事堂前駅に出現 4

    ケンドリック・ラマーの黒塗り広告が突如、霞ヶ関駅&国会議事堂前駅に出現

  5. 夏帆「ドッキドキ」 TOWA TEI「SRATM」新曲“ダキタイム”PVに出演 5

    夏帆「ドッキドキ」 TOWA TEI「SRATM」新曲“ダキタイム”PVに出演

  6. SNSでイラストの支持を集めた雪下まゆが語る、作風への葛藤 6

    SNSでイラストの支持を集めた雪下まゆが語る、作風への葛藤

  7. アニメキャラ100の名言が新宿地下を占拠 『Netflix “アニ名言”ジャック』 7

    アニメキャラ100の名言が新宿地下を占拠 『Netflix “アニ名言”ジャック』

  8. 『華氏451度』『一九八四年』などSF作がTシャツに 早川書房×トーハン企画 8

    『華氏451度』『一九八四年』などSF作がTシャツに 早川書房×トーハン企画

  9. 細田守が語る、映画『未来のミライ』で描きたかった現代の家族像 9

    細田守が語る、映画『未来のミライ』で描きたかった現代の家族像