レビュー

大根仁や関和亮が聞かせてくれた、あのMV企画の裏話

阿部美香
大根仁や関和亮が聞かせてくれた、あのMV企画の裏話

去る9月15日、東京・渋谷の2.5Dで『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』が行われ、イベントの模様がYouTube Liveで配信された。公開講座のテーマは「企画書・絵コンテを学ぶ」。アーティストMVから『モテキ』シリーズなど幅広く活躍する映像監督・大根仁、PerfumeやサカナクションなどのMVで知られる関和亮、本場ハリウッドで映画を学び、映画やCMで活動するYuki Saitoをゲスト講師に迎え、2部構成でクリエイティブな映像作りにまつわる貴重な話を聞いた。当日は映像作家を目指す専門学生から高校生、社会人まで、幅広い層の受講者が集い、2.5Dは満員御礼。

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』会場風景
『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』会場風景

第1部は個性あふれる作品で知られる3講師が、実際に手がけたMVを観ながら、絵コンテや企画書を公開し、企画の意図や撮影エピソードが語られた。関が手がけた名作、サカナクション“アルクアラウンド”MVの企画書には、手描きによる撮影ギミックの構想も描かれていたが、実際に現場に入ってみると、文字の重なりを映し出すギミックも実際にセットを組み立てなければ善し悪しが分からなかったため、削除、変更したアイデアも多かったという秘話も。

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』会場風景

大根は、マキシマム ザ ホルモンの“予襲復讐”MVは、1曲を分割し、計8組のディレクターの映像を繋ぎ合わせたもので、「ファンだけではなく、誰が観ても面白がれる」ことがMVへのこだわりと語った。

左:関和亮、右:大根仁
左:関和亮、右:大根仁

Yuki Saitoが紹介したのはKの“ハラボジの手紙”MV。Kと祖父の実話がモチーフの曲なので、セットも実際に一人暮らしの老人が住んでいた一軒家で家具や調度品もそのまま使い、ドラマ仕立てで表現したそう。

また、企画書のこだわりについて関は「誰が読んでも分かるよう1、2ページで収めること」と即答。紙の企画書より、実際に映像で見せるVコンテをまず作るという大根は、アイデアの出し方について「まずはいい作品を、マネするところから始めるべき」と語った。

休憩を挟んでの第2部は、事前に受講生に出されていた「ウミネコサウンズの楽曲“手紙”のMVの企画書作成」という宿題の発表と講評会。集まった企画書から厳選された数作品が公開され、講師陣が丁寧に受講者へアドバイスを行った。さらには、プロはこの宿題をどう考えるかという話になり、3講師からもアイデアが発表された。

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』会場風景

関は、会場に向かう山手線の中で考えたという企画書を見せ、「手紙を書くほうじゃなく、送り届ける側の視点もアリ。郵政会社が新しいサービスを始めた設定で、配達員がいろんなところに手紙を届け、音楽付きでそれを読み上げる風景を繋げると面白いのでは?」と紹介。大根は「この曲が故郷と手紙を題材にしているからといって、ベタにキレイな風景を出すのはアウト。僕なら故郷に帰りたくても帰れないような人たちの日常をドキュメンタリーに描くかな」、Yuki Saitoからは「農家の両親、銀行で働く元カノの画を交互に見せていく映像で広がりを見せたい」というアイデアが出された。個性の異なる3講師の企画はどれも、原曲の歌詞やイメージそのままではなく、違うベクトルで広げていくもの。映像作家に大事なのは、他の人が思いつかない切り口だと話す講師陣の言葉は、受講生にも深く響いたようだ。

関和亮

また、映像作家を目指す人には、「今、業界は閉塞状態。先輩が多いから、なかなか作家の席は空かない」といった現場視点の厳しいメッセージも。だからこそ「機材も安くなり、観せる場も機会も増えているから、とにかく作品を撮り、継続することが大切」だという大根、関。最後は受講者との質疑応答も催され、終始アットホームな雰囲気の中で公開講座は幕を閉じた。

イベント情報

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』

2013年9月15日(日)19:00〜22:00
会場:東京都 渋谷PARCOパート1 6階 2.5D
講師:
大根仁
関和亮
Yuki Saito
司会:マツザワカズユキ(UTB映像アカデミー講師)

プロフィール

大根仁

1968年東京都生まれ。演出家・映像ディレクター。「まほろ駅前番外地」「モテキ」「湯けむりスナイパー」などのテレビドラマ、フジファブリック「夜明けのBEAT」、マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」などのMV、ロックミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などの舞台演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活動する。監督・脚本を手掛けた映画「モテキ」が2011年に公開し大ヒット。映画監督第二作目となるインディーズ映画「恋の渦」は、連日上映劇場のキャパシティーをオーバーする人気を博し、全国拡大公開中。

関和亮

1976年長野県生まれ。1998年トリプル・オーに参加。音楽CDなどのアートワーク/デザイン、ミュージック・ビデオ、ショート・ムービー等のディレクションを数多く手がける一方、TV CMの演出も行う。

Yuki Saito

1979年生まれ。スターダスト ピクチャーズ所属。千葉県出身。高校卒業後にHollywoodに渡り8年間映画を学ぶ。2010年「Re:Play-Girs」で劇場長編デビュー。2012年に「インスタントペットハウス」がカンヌ国際広告祭でシルバー1つにブロンズを2つ受賞、2013年も「ペンギンナビ」でシルバー1つ、ブロンズ1つを獲得するなどCM監督としても活躍中。新作短編映画「胸にTATTOOなんかいれて」はSSFF&Asia2013にて自身3度目のオーディエンスアワードに輝く。

UTB映像アカデミー

日本で唯一映画・映像業界への就職を目的とし、「学校だけど制作現場!」をモットーに年間250本以上のプロの制作現場に多数参加することによりマスコミ業界に就職するために必ず必要になる「コネと経験」を手に入れることができる独自のカリキュラムは業界内でも注目されている。

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