レビュー

外務省初のバラエティー番組から生まれたイベントを10万人が視聴、国際協力で活きる音楽の力

加藤直宏
2014/10/23
外務省初のバラエティー番組から生まれたイベントを10万人が視聴、国際協力で活きる音楽の力

10万人以上が視聴した、外務省初のバラエティー番組から生まれた音楽イベント

近年の池上彰の大ブレイクを例に挙げるまでもなく、報道や社会情勢をわかりやすく伝えられる人や番組へのニーズは高い。有象無象の情報が溢れる現代だからこそ、今後もそうしたニーズはますます高まっていくだろう。10月17日、ニコニコ生放送でライブ中継されたスペシャルライブイベント『僕らが世界にできること』音楽篇も、まさにそうした時代のニーズにフィットするものだったからこそ、10万人以上もの視聴者を獲得できたのだと思う。

『僕らが世界にできること』音楽篇@ニコファーレ
『僕らが世界にできること』音楽篇@ニコファーレ

「音楽の力で国際協力を盛り上げる」をスローガンに掲げたこのイベントは、今月3日にTOKYO MXで放送された外務省初の情報バラエティー番組『僕らが世界にできること』の中から生まれた企画。


人気ミュージシャンたちのライブを入口に、若い人たちに国際協力についての理解を深めることを目的とし、当日はスチャダラパーを筆頭に、中孝介、Yun*chi、現役中高生パフォーマンス集団・TEMPURA KIDZ、ROOT FIVE(出演はkoma’n、蛇足、みーちゃんのみ)、『テラスハウス』出演で話題を呼んだchayと住岡梨奈、さらにはお嬢様芸人のたかまつなな、マルチに活躍する春香クリスティーン、新世代のジャーナリストとして注目を集める堀潤……といった多彩な顔ぶれが集い、ライブやトークセッションを繰り広げた。

Yun*chi
Yun*chi

TEMPURA KIDZ
TEMPURA KIDZ

知ってるようで実は知らない「ODA(政府開発援助)」を楽しく学べる秀逸なプログラム

国際協力、あるいはODA(Official Development Assistance / 政府開発援助)といえば、ニュースなどで当たり前のように使われている言葉ではある。だが、具体的にそれが何であるのか? 我々がどのように関わり、貢献することができるのか? 日本は国際協力をしている国なのか、されている国なのか……などなど、その実態についてしっかり理解している人は実はそう多くないのではなかろうか。今回のイベントでは、まず「国際協力ってそもそも何?」という基本中の基本から、わかりやすく学べるプログラムが組まれた。いや、学ぶなんて堅苦しい感じではなく、楽しんでいるうちに、いろいろと吸収できるといった感じが良かった。

ODA(政府開発援助)を学ぶプログラムの様子
ODA(政府開発援助)を学ぶプログラムの様子

「国際協力について今回の番組を通じて初めて知ることが多かった。日本人だからこそできるきめ細やかな支援を、これからもやっていけると良いと思う」(Bose / スチャダラパー)、「日本もかつては国際協力という形で、他の国から援助を受けていたことを知り驚きました。知らないところで実は多くの人からたくさん助けてもらっているということに感動しました」(住岡梨奈)など、国際協力について、それぞれの考えを表明しつつ、素晴らしいライブを披露してくれたミュージシャンたちのパフォーマンスも見応えがあったが、特筆すべきは、聴者に強烈な存在感を残した外務省国際協力局・政策課の荒木要企画官。この方が抜群に面白かったのだ。

外交官とヒップホップアーティストによる前代未聞の共演

番組中にクイズ形式で国際協力についての理解を深めていくコーナーがあったのだが、荒木企画官の解説は非常にユニークでわかりやすく、視聴者からは「すっごい勉強になる!」「俺も本気で外交官を目指す!」などのコメントもあった。イベント終盤にスチャダラパーが今年20周年を迎えたアンセム“今夜はブギー・バック”を演奏した際には、長年のファンであるという荒木企画官もステージに現れ、キレのいいダンスを披露。外交官とヒップホップアーティストによる前代未聞の共演が実現した。彼のキャッチーなキャラクターも国際協力を身近に感じるために間違いなく一翼を担っていた。

スチャダラパー ライブ風景
スチャダラパー ライブ風景

世界の実績から見る、音楽と国際協力の関係とは

世界を見渡せば、「1億人の飢餓を救う」というスローガンの下、アフリカ難民救済を目的に、1985年に開催された20世紀最大規模のチャリティーコンサート『ライブエイド』をはじめ、ボノ(U2)やトム・ヨークらの参加でも話題となった最貧国の債務の帳消しを求める『ジュビリー2000』など、これまでも国際協力の舞台において人々が音楽によって力を合わせることができることを証明してきた。日本においても『グローバルフェスタ』という大きなイベントが開催されているが(今年はAKB48などが出演し、7万7千人の来場者を集めた)、今回のような企画が、軽やかなフットワークで実施されることは運動の活性化にも繋がるし、「音楽でできる国際協力」 の可能性を押し広げるという意味においても意味のあることだと思う。

番組中にROOT FIVEの蛇足が「(日本の国際協力のやり方は)バラ撒き型の支援ではなく、自立ができるまで継続的に支援をおこなっているのがすごい」といった発言をしていたが、種を蒔いたら、花が咲くまでしっかり見届けるのが日本の国際協力の持ち味の1つ。今回、ニコニコ生放送において10万人以上の視聴者に蒔いた種をしっかり育てていくためにも、ぜひ継続的な展開をおこなっていって欲しい。

イベント情報

『僕らが世界にできること』音楽篇 音楽でも国際協力(ODA)生ライブ、生中継

2014年10月17日(金)17:30~23:00
会場:東京都 六本木 ニコファーレ
出演:
堀潤
スチャダラパー
TEMPURA KIDZ
Yun*chi
chay
住岡梨奈
中孝介
春香クリスティーン
たかまつなな

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