レビュー

トップアーティストが連日レクチャー&イベント、世界的な音楽学校が日本上陸中

加藤直宏
2014/10/29
トップアーティストが連日レクチャー&イベント、世界的な音楽学校が日本上陸中

若く才能溢れるアーティストたちを支援する世界的な音楽学校が日本上陸

渋谷や六本木を歩けば、気鋭の作家たちが冨田勲や大友良英らを描いた巨大なポスターに遭遇し、ウェブを覗けば日々、電子音楽に関する貴重な情報や興味深い記事の数々がアップされ続ける。また、スペシャルなパーティーやワークショップ、アートインスタレーションなど、都内のどこかしらで音楽イベントが繰り広げられ続けている……。10月12日に幕を開け、およそ1か月に渡り開催されている『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』は、今まさにその真っ只中だ。本稿では、11月14日まで続く『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』をさらに楽しむために、改めてこのプロジェクトについておさらいをしておきたい。

渋谷の街に掲出された『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』のビジュアル ©Dan Wilton / Red Bull Content Pool
渋谷の街に掲出された『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』のビジュアル
©Dan Wilton / Red Bull Content Pool

『Red Bull Music Academy』は16年前にマニー・アメリとトーステン・シュミットの二人によって創設され、以降、ベルリン、ケープタウン、メルボルン、バルセロナ、ロンドン、ニューヨーク……など様々な国を転々と旅しながら開催されてきた。未来の音楽を担う若き才能、また国際的に活躍するトップアーティストたち、そしてリスナーたちが交流し、次世代のカルチャーを生んでいくための世界的なプロジェクトとして、『RBMA』は確固たる地位と認知を得ていると言ってもいいだろう。

「一生音楽をやって生きていこう」と思えるほどの決定的な体験を創出する

今年は初のアジア開催の場として、幸運にも東京が選ばれた。前述したように、ストリートやウェブや数々のイベントを見渡せば、開催都市における展開がいかにすごいものであるかが伝わると思う。が、リスナーとして見る『RBMA』がある一方で、『RBMA』には最大のミッションとも言うべき、まさに「Academy」としての徹底的なこだわりがある。マニーとトーステンの言葉を借りれば、「一生音楽をやって生きていこうと思えるほどの『決定的な体験』」の創出だ。

この「決定的な体験」を享受できるのは、本当にごく少数のアーティストに限られる。今年は史上最多となる総勢6,229名の応募者があったそうだが、その中から、音源&心理テストなどの厳正な審査をくぐり抜けた、世界34か国の59名がその幸運なアーティストということになる(今年、日本からはHaioka、Albino Soundの2名が選出されている)。過去の卒業生にはFlying Lotusなどが名を連ねるが、開催期間中、彼らはケリー・チャンドラー、リッチー・ホウティン、カール・クレイグ、マシュー・ジョンソン、Just Blaze、Dorian Concept……など、今回のために世界中から集まったトップアーティストたちから直接、レクチャーや音楽制作のサポートを受けたり、創作やレコーディングをおこなうことができるのだ。

リッチー・ホウティンによるレクチャー ©Dan Wilton/Red Bull Content Pool
リッチー・ホウティンによるレクチャー ©Dan Wilton/Red Bull Content Pool

大友良英によるレクチャー ©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
大友良英によるレクチャー ©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool

隈研吾が内装をデザイン、クリエイティビティーを刺激するアーティストのためのスペース

今回、我々はこの特別なレクチャーがおこなわれている『RBMA』本部に潜入することができた。そこで我々が目の当たりにしたものは……もはや圧巻の一言。都内渋谷区某所にしつらえられたそのスペースは、アーティストのための迎賓館とも言えるようなもの。細部に至るまで巨匠・隈研吾が和と都会を融合させたモダンでシックな雰囲気のデザインを施し、スペースの至るところには窪田研二のキュレーションによる気鋭の芸術家たちの作品が散りばめられている。

隈研吾による内装 © Red Bull Content Pool
隈研吾による内装 © Red Bull Content Pool

Installation by Tetsuro Kano at the Red Bull Music Academy in Tokyo © Dan Wilton/Red Bull Content Pool
Installation by Tetsuro Kano at the Red Bull Music Academy in Tokyo © Dan Wilton/Red Bull Content Pool

そしてアーティストたちがいつでも快適にクリエイティブに専念できるように、想定し得るあらゆるオーダーに応えられる専門的なスタッフたちが待機し、いつでもレコーディングが可能なように新設のスタジオまでもが用意されている。また、ラウンジの食堂では、アカデミーの期間中、1日3食欠かさず料理が用意されている。この夢のようなスペースで、次世代を担う各国のアーティスたちが交流し、ここで得たものを自分の国に持ち帰り、また世界に向けて発信していくのだ。

メインスタジオ ©Yusaku Aoki / Red Bull Content Pool
メインスタジオ ©Yusaku Aoki / Red Bull Content Pool

ラウンジ風景 ©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
ラウンジ風景 ©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool

選挙ポスターをモチーフにした今回の『RBMA』のキャンペーンポスターで、サカナクションの山口一郎は、「未来の音楽を作るのはミュージシャンでもなくメディアでもなくリスナーだと思う」というメッセージを発信している。

山口一郎(サカナクション)『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』キャンペーンビジュアル ポートレート作家:寺田克也
山口一郎(サカナクション)『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』キャンペーンビジュアル ポートレート作家:寺田克也

今まさに東京で起こっているこの『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』の参加者たち、あるいはそのイベントやコンテンツに刺激されたリスナーたちが、近いうちに我々の価値観を変えるような未来の音楽を生み出すかもしれない。『RBMA』はこうやって世界中を旅しながら種を蒔き続けているのだ。

イベント情報

『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』

2014年10月12日(日)~11月14日(金)
会場:東京都内各所
『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』参加アーティスト:
Ah! Kosmos
Albino Sound
Alejandro Paz
Arenov
Bienoise
Blinky Bill
Boody
Bosaina
Brigitte Laverne
Cat500
Christian Kroupa
Courtesy
Daniel Limaverde
Deltatron
Deradoorian
Douchka
Ekali
Estii / Yale
Felix
Haioka
Ipek Gorgun
Joe Wills
Kadhja Bonet
King Bruce
Krizzli
La Mverte
Lafawndah
LAO
Larry Gus
Laura J Martin
Lewis Cancut
Mickey de Grand IV
Mimu Merz
MMMOOONNNOOO
Mumdance
Never Sol
Nightfeelings
Nischay Parekh
NV
Olefonken
Ossie
Palms Trax
Parachute Pulse
Plasma Rüby
rj
Silva
Sonnenberg
Summer
SUMORAI
Sylas
Tollcrane
Torus
Uio Loi
Valesuchi
Watercolours
WIFE
Xosar
Zebra Katz
Zopelar

(メイン画像:©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool )

『Red Bull Music Academy Tokyo 2014』一般向け見学会

2014年11月1日(土)
会場:東京都 渋谷 レッドブル・ミュージック・アカデミー(東京都渋谷区渋谷1-3-3)
時間:12:00~18:00(最終入場17:00)
料金:無料
※来場者多数の場合は入場を制限させていただく場合があります。

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