レビュー

再び熱を帯びる風営法の論議、「正しい改正」に向けて

金子厚武
2015/01/21
再び熱を帯びる風営法の論議、「正しい改正」に向けて

閣議決定された風営法改正案は、衆議院の解散により廃案に

2015年1月21日、クラブNOON風営法違反訴訟の控訴審が開かれ、大阪高等裁判所から無罪判決が言い渡された。この結果を受けて、風営法の改正に向けた議論が再び熱を帯びることはまず間違いないだろう。そこで改めて、昨年4月の一審から、この日に至るまでの流れを振り返っておきたい。

訴訟の詳細や風営法の問題点については昨年の記事(「クラブNOONの無罪判決から考える文化・芸術の重要性」)に目を通していただければと思うが、簡単に概要だけ説明しておくと、事件が起こったのは2012年4月のこと。18年の歴史を誇る大阪のクラブNOONが「無許可で客を踊らせた」という風営法の違反で摘発され、8人が逮捕された。かつてのダンスホールが売春の温床とされたために制定された風営法はもはや時代にそぐわない部分が多く、現在のクラブ経営の実情にも適さないため、法改正を求める声が多くある中での老舗クラブの摘発は大きな議論へと発展。風営法の規制対象から「ダンス」の削除を求める署名活動「LET'S DANCE」の署名が15万人に達する中、裁判を通じて摘発の根拠の不透明さも露わになり、2014年4月25日、大阪地方裁判所は元クラブ経営者らに対して、無罪の判決を下した。しかし、大阪地検はこの判決を不服とし、5月7日に大阪高裁に控訴していたのである。

とはいえ、この一審の無罪判決の影響は大きく、司法が下した画期的な判決としてテレビや新聞でも大きく報道され、沖野修也やZeebraら風営法をめぐるアーティストの活動も、ネットを通じて広く拡散されていった。また、超党派の国会議員約60人によって発足された「ダンス文化推進議員連盟(ダンス議連)」をはじめ、内閣府規制改革会議、警察庁、有識者会議など、様々なステージでの議論も活発化し、法改正へ向けた機運が高まると、遂に昨年10月、改正案が閣議決定され、臨時国会に提出された。この改正案は、飲食を伴わないダンス営業であるダンススクールなどを風営法から外し、飲食を客に提供するクラブにしても、店内の明るさの基準などをクリアすることを条件に、24時間営業を可能にするというもの。つまり、(完全にではないにしろ)ダンス規制を撤廃するものであったのだが、不運にも11月に衆議院が解散したことにより、廃案となってしまっていたのだ。

これを機に、法改正の議論は次の段階に突入か

しかし、冒頭でも書いたように、今回の無罪判決が再び風営法の改正論議に火を点け、今月26日から召集予定の通常国会において、今度こそ改正案が可決される可能性は十分にあると言っていいだろう。つまり、今回の判決によって法改正の議論は次の段階に突入し、改正を前提とした上で、その中身をより注視すべき段階に来たと言っていいのではないかと思う。沖野を中心に文案が考えられ、ジャイルス・ピーターソン、セオ・パリッシュ、ジェフ・ミルズといった世界に名だたる人気DJが署名をし、クラブ規制の緩和を求めて昨年安倍首相に提出された要望書の中で繰り返されている「どうか法律を正しく改正して下さい」という言葉が、今非常に重く感じられる。「規制」や「監視」といったワードがどうにも目に付く昨今、文化や芸術の重要性を改めて見つめ直す意味でも、今後の動きにぜひ注目していただきたい。

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