レビュー

世界的DJに「ギャラなんて必要ない」と言わしめたイビサ屈指の人気パーティーを日本で忠実再現

加藤直宏
世界的DJに「ギャラなんて必要ない」と言わしめたイビサ屈指の人気パーティーを日本で忠実再現

ド派手なイビサのパーティー文化に挑戦状を叩きつける

世界的なDJの集まるクラブの名所として知られ、シーズン中はリッチー・ホウティンやデヴィッド・ゲッタなどのパーティーが連日連夜繰り広げられるスペイン・イビサ。豪華パーティーがひしめくこの地において、屈指の人気パーティーとして知られる『CIRCOLOCO(シルコロコ)』。数あるイビサのパーティーの中でも独特にして、熱狂的な支持を獲得しているこのパーティーが、5月30日に千葉市の海浜幕張公園に出現する。現在、『CIRCOLOCO』は本拠地のイビサだけでなく、世界各地で遠征開催されている。日本でも3年ほど前からクラブ開催されていたが、今回は屋外。これまでをはるかに凌ぐスケールで、しかも現地の『CIRCOLOCO』をできる限り忠実に再現するべく、DJのラインナップはもちろん、会場設営やサウンドシステムに至るまで徹底的にこだわり抜いての開催となる。とはいえ、なかなかイメージがわかないという読者の方も少なくないと思う。なので、まずは『CIRCOLOCO』とはいったいどんなパーティーなのか? そこから話をはじめていこう。


『CIRCOLOCO』がスタートしたのは1999年7月。仕掛け人はBjörkやMassive Attackなどの大物の公演も手がけるローマのイベントプロモーター、「DNF BOOKING CREW」のアンドレアとアントニオ。アンダーグラウンドなクラブミュージックを愛する彼らには1つの明確なビジョンがあった。「Space」「Amnesia」「Privilege」「Pacha」などに代表されるイビサのスーパークラブとは、まったく別のテイストのパーティーをこの地に根付かせること。資本にものを言わせ、有名なDJをブッキングし、ド派手なパフォーマンスや演出を繰り広げるこの島のパーティーの主流に(天井から大量の泡が降ってくるAmnesiaの泡パーティーは聞いたことがある人も多いはず)、挑戦状を叩きつけたのだ。

拍子抜けするほど質実剛健なアティチュードで、未来のスターDJを次々に発掘

彼らのやり方は実に明快だった。過度な演出やパフォーマンスを排除し、よりシンプルに音楽に没頭できるパーティーを作ること。つまりはスーパークラブの真逆。『CIRCOLOCO』のホームとして知られるクラブ「DC10」の外観は驚くほど質素なことで知られる。むきだしのテラス、飾り気のないテント、周囲のスーパークラブと比べると拍子抜けするほど簡素なその佇まいは、逆に彼らの個性を際立せた。

クラブ「DC10」
クラブ「DC10」

またDJのブッキングに関しても、(知名度がなくても)彼らが素晴らしいと信じるDJだけを出演させるというスタイルを貫いた。タニア・ヴォルケーノ、LUCIANO、リカルド・ヴィラロボス、ロコ・ダイス、マティアス・タンツマン、ジェイミー・ジョーンズといったコアなDJたちはいまや世界的な人気者になったが、『CIRCOLOCO』は彼らがブレイクする以前からプッシュし続けている。ここ何年かのミニマルテクノやテックハウスの盛り上がりを語るときに、『CIRCOLOCO』がシーンに与えた貢献度や献身的な姿勢は決して無視できないだろう。そうした質実剛健な彼らのアティチュードは、熱狂的な支持を生み出し、『CIRCOLOCO』は瞬く間にイビサの人気パーティーの1つになった。会場にはいつも入りきらないほどのオーディエンスが集まり、ダニー・テナグリア、SaschaといったDJ界のビリオネアたちがギャラなんて必要ないから出演したいと申し出るほどだった。しかも(パーティーを開催する時間としてはとうてい有利だとはいえない)月曜の朝方からスタートするアフターパーティーであったにも関わらずだ。

『CIRCOLOCO』
『CIRCOLOCO』

ナンパしてる人なんていない。徹底的に「サウンド」にこだわり抜いたパーティーの一体感を日本で忠実再現

8年前に現地で『CIRCOLOCO』を体験して以来、毎年イビサに足を運んでいるというDJのSatoshi Otsukiもその魅力に魅せられた一人。彼は『CIRCOLOCO』に出演経験のある日本人で唯一のDJでもある。Satoshi Otsukiはその魅力についてこう語る。

イビサで最初に行ったクラブがCIRCOLOCOを開催するDC10だったんです。とにかく衝撃でした。その後の自分のDJとしての方向性を決定付けるくらいのインパクトがあった。お客さんが作り出す一体感やパワーがとにかくすごいんです。ナンパしている人なんてほとんどいなくて、みんなサウンドに没頭し、心からパーティーを楽しんでいる。あそこで何よりも重要なのはサウンドなんです。ある意味、そこだけにこだわり抜いているって言ってもいいくらいのシンプルさ。あとロケーションも面白いですね。空港にかなり近い場所なので、飛行機が真上を飛んでいくたびに一体感が生まれる(笑)。

『CIRCOLOCO』

Satoshi Otsukiはこんなエピソードも教えてくれた。

ハウス界のレジェンド、ケリー・チャンドラーは、かつてイビサでプレイすることを頑なに拒んでいたんです。コマーシャルなパーティーには出演したくないと。でも彼の大ファンだったアンドレアとアントニオは『CIRCOLOCO』のコンセプトを熱意をもって説明し、最終的には『CIRCOLOCO』のレジデントDJとして彼をイビサに招くことに成功した。彼らのそういう情熱や姿勢があの素晴らしいパーティーのムードを生み出しているんだと思う。あれをいつか日本に持ってきたいと思ったんです。これはなんというか使命感みたいなものでしたね。

そんなSatoshi Otsukiの想いは、いよいよ今週、5月30日に結実する。最後に、彼自身も出演するこの日への意気込みを語ってもらった。

本物の『CIRCOLOCO』を日本で疑似体験できると思います。雰囲気やコンセプトはもちろん、出演するDJ、サウンドの質、会場の大きさやレイアウトなど、あらゆることを忠実に再現しています。目の前に海を見渡せるロケーションも最高。日本人のDJも素晴らしいメンツに集まっていただきました。世界最高峰のパーティーをぜひ多くの人たち体験して欲しいです。

当日は、イビサと同様に「MAIN ROOM」「TERRACE」の豪華巨大テントが砂浜に登場。さらに国内から気鋭のアーティストたちが揃う「BEACH STAGE」まで、計3つのステージが準備される。EDMともまた異なる、アンダーグラウンドなテクノ&ハウスパーティーの音に酔いしれたい。

イベント情報

CIRCOLOCO JAPAN 2015 by DAY
『CIRCOLOCO JAPAN 2015 by DAY』

2015年5月30日(土)START 11:00
会場:千葉県 海浜幕張公園 DC10 PARK
出演:
MATTHIAS TANZMANN
STEVE RACHMAD
TANIA VULCANO
CASSY
MARTIN BUTTRICH
KEVIN YOST
PETAR DUNDOV
D'JULZ
CLIVE HENRY
SATOSHI OTSUKI
JUN AKIMOTO
GONNO
CHIDA
ELLI ARAKAWA
KIKIORIX
MONKEY TIMERS
NAOKI SERIZAWA
ALYN
料金:7,500円

『CIRCOLOCO JAPAN 2015 by NIGHT』

2015年5月30日(土)START 23:00
会場:東京都 渋谷 WOMB
出演:
TANIA VULCANO
CASSY
MATTHIAS TANZMANN
STEVE RACHMAD
SATOSHI OTSUKI
KABUTO (LAIR)
DJ PI-GE (TRESVIBES SOUNDSYSTEM)
RAHA
BEN REFIX (XY RECORDS)
TOURS (AUS)
BOOGIE BANDIT (TURNED ON)
DERRICK GRAY (USA)
REZIN (PULSE)
EITA
JULIEN SATO
AKANE SUDA
REN
料金:当日4,000円
※CIRCOLOCO JAPAN デイパーティのリストバンドを着用の方は3,000円で入場可能。

プロフィール

Satoshi Otsuki (おおつき さとし)

スペインのイビサ島で生まれた世界でも絶大な人気を誇るパーティー『CIRCOLOCO』。そのアジア圏では初となるオフィシャルレギュラーパーティーとしてスタートした『CIRCOLOCO JAPAN』のレジデントDJ & サウンドプロデューサーを務める。2009年からの、世界でもその名を轟かせるロンドンの老舗クラブ「The End」でのギグを皮切りに、ヨーロッパを代表するパリの「Rex」やロンドンの「Ministry Of Sound」への出演を含むツアーを成し遂げた。そしてレジデントを務める本場Ibizaの『CIRCOLOCO at DC10』にもここ数年毎年出演を重ね、オランダのアムステルダムで開かれる世界でも最も権威のあるフェスティバルとしても有名な「ADE」、また同都市のトップクラブ「Studio 80」やポーランド、中国、韓国、そして近年ではベルリンを代表するクラブ「WATERGATE」でもプレイ。 日本国内 ではFat Boy Slimの公式ビーチパーティー『Big Beach Festival』に3度出演。

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