今週の編集部まとめ

毎週月曜日更新 2017年9月4日
BACKNUMBER

編集部員の、ちょっとひとこと

  • 柏井万作
    柏井万作

    『Reborn-Art Festival 2017』に行ってきました。

    東京から車で常磐道を北上して、被災地の癒えない傷跡を目の当たりにしながら石巻へ。福島第一原発に近づくにつれ、放射線量を表示する電光掲示板の数字が上がっていく。夏休み気分は遠のいて、どんどん不安が高まっていく。石巻に着いて、JRの作品がある日和山公園へ。津波を逃れて多くの人が避難したこの高台の公園から、流されてしまった地域が一望できる。復興が進んでいるとはいえ、やはり言葉に詰まる風景。日和山を降りて海岸沿いを牡鹿半島の方へ向かう。巨大な防潮堤に遮られて、海はほとんど見えなかった。 牡鹿半島で一泊して朝6時、突然iPhoneがけたたましく叫び出す。Jアラート。ミサイルが飛んでくるかもしれないから避難しろと告げてくる。夢なのかとも思ったけれど、現実だと悟るや嫌な汗と緊張が襲いかかってくる。逃げるところなんてどこにもないのだから。呆然と窓の外を眺めると、静かな海が朝日で輝いていて、嘘みたいに美しかった。 全てが偶然なのか必然なのかわからない。芸術祭は、その土地で体験する全てのことを含めて価値だと思うけど、僕にとって『RAF』は、特別な芸術祭になった。もちろん多くのアーティストの気迫にも触れた。この土地に自らの作品を置く意味について、この土地とアートをどのように体験して欲しいのか、硬軟様々なアイデアとアプローチに感動することが多かった。この芸術祭を興した小林武史さんたちに敬服したし、海岸に何百本もの流木が立ち並んだ島袋道浩さんの『起こす』の圧倒的な迫力とイメージに心底震えた。特筆するなら、その島袋さんの連作『起きる』。起こさないといけないものがある一方で、何があろうと突き破り、自然と勝手に起き上がってしまうものもある。とても静かな小道にひっそりと佇んでいたその作品の力強さに心が洗われました。「起こす」と「起きる」。まさに『RAF』は、その両方のエネルギーがみなぎっていた。

  • 山元翔一
    山元翔一

    ざわつく街と人と世界

    正直に告白すると、今年のフジロックは4日間にわたって小沢健二のことで頭がいっぱいだった。去年の『「魔法的」ツアー』も観に行った。でも、今年のフジロックは間違いなく小沢健二のためにあった。少なくとも僕にとってはそうだった。気の抜けたような8月が過ぎ去って、あのステージでリリースを発表したシングルが出るという。2月に『流動体について』が発表されたときにも感じた、「本当に2017年なのか…」という信じ難い気持ちも、「そもそもこれは現実なのか」というどこかモヤついた違和感もそのままに。と、ここまで書いてみて思ったけど、夏が終わって秋めきつつある東京の街と人、小沢健二のシングルリリースを控えたこの世界の静かなざわつきが、なんとなく重なる。また日本中が小沢健二に躍らされる日々が来る。

  • 川浦慧
    川浦慧

    白馬の山

    夏休みをいただき、避暑地、白馬へ。が、避暑どころか朝晩の冷え込みに体がついていけないほどの涼しさ(寒さ)でした。もう白馬の夏は終わっているようです。天気のいい日に、八方尾根のゴンドラとリフトを乗り継ぎ、標高2060mの八方池までトレッキング。壮大な山々を眺めながら、すれ違う老夫婦の登山客と「こんにちは」とあいさつを交わしあったり、紫色のトゲトゲした高山植物を見てうっとりしたり……普段街中で見知らぬ人に声をかけることも、立ち止まってお花を見て「きれいだな」なんて思うこともない、わたしの日常。山は偉大です。山、素晴らしい。

  • 久野剛士
    久野剛士

    藤田敏八特集へ

    先週は夏休みをいただくものの、遠出はせずに池袋の新文芸坐で、藤田敏八の映画三昧。何も知らずに行ったら、『帰らざる日々』(1978年)に主演した永島敏行さんのトークショーが開かれ、ラッキーな気分に。飯田の宿泊所に泊まり込んで撮影していたという本作。しかし、宿泊所のオーナーに何度も注意されながら、藤田監督たちが深夜まで宴会で2日連続で騒いでいたら、宿泊3日目にしてスタッフ50名以上が全員追い出されて困ってしまったというエピソードに腹抱えて笑いました。昭和の映画界は、おもしろいエピソードの宝庫ですね。

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