今週の編集部まとめ

毎週火曜日更新 2020年11月10日
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編集部員の、ちょっとひとこと

  • 山元翔一(CINRA.NET編集部)
    山元翔一(CINRA.NET編集部)

    分断の地層に触れる #02

    「時代は二十世紀の終わり。日本ではまだ五島勉氏経由のノストラダムスの影響力が強く終末論的な気分が蔓延していた。かくいう僕も七〇年代からその影響を受けていて、一九九九年で世界が終わるとどこかにすり込まれていた気がする。その一方で、日本はバブル期に突入し、浮かれ騒ぐ人も多かった。当時、二〇〇〇年から先のことを真面目に考えていた人は少なかったのではないか」

    2006年刊行の『アンビエント・ドライヴァー』(筑摩書房)のまえがきで、細野晴臣氏は20世紀と21世紀の変わり目についてこのように言及しています。日本の音楽文化を考えるにあたり、細野晴臣という音楽家が最重要人物のひとりであるとみなすことに異論は少ないかと思いますが、細野さんといえば、1980年代~90年代半ばまではオリジナル作品やサウンドトラック、F.O.EやHISといったユニット、あるいはプロデュース作品でとんでもない数の音源を発表していたのに、オリジナル作品は『ナーガ』(1995年)を境に12年も間を空けています(その間にHATやハリー&マックの作品はありますが)。

    それはなぜなのか。それはやっぱり、冒頭で引用したことや時代が刷り込んだ潜在的なリセット願望も大きいように思うんですね。1990年代までは音楽文化の最先端をひた走っていた細野さんが、ハリー&マックでの久保田麻琴さんと再会を一つの契機にルーツバックしていく……2002年にはSKETCH SHOWで当時最先端であったであろうエレクトロニカをやっていたり、細野さんが常に先端的であることには変わりないのですが、1990年代末に自らのルーツを見つめ直したということはとても興味深い。坂本龍一『BTTB』(Back To The Basic)は1998年リリースですし、リアルタイムでは知らないからこそ、1990年代末の個人や作品に過去を深く省みる傾向が垣間見えることに大事な何かが潜んでいるような気がするのです。(続く)

  • 久野剛士(CINRA.NET編集部)
    久野剛士(CINRA.NET編集部)

    学びの秋

    弊社は10月末で、渋谷のオフィスを解約。完全なリモートワークに移行となりました。自宅がオフィスだと、取材以外ではほとんど外に出なくなりますし、1日中自宅で過ごすという日も少なくありません。そして1人で長い時間いると、人間はどうも「なんか勉強でもしてみようかな」という気分になる習性でもあるんでしょうか。ジャン・ジュネは獄中で『花のノートルダム』を執筆していますし、2Pacも獄中でマキャベリの本を読んで大きな影響を受けたと言います。さらに『梨泰院クラス』の主人公が料理や経営を勉強したのも獄中でした。人間には、1人の時間だからこそモチベーションが高まることがあるのかもしれませんね。私も最近、調べものや読書の量が増えており、ひしひしと秋を感じております。

  • 石澤萌(CINRA.NET編集部)
    石澤萌(CINRA.NET編集部)

    引越しの話

    先月末に引越しをしました。CINRAはこの11月からオフィスがなくなりフルリモートに以降したので、都心から少し離れた場所に住もうかしら、とも思ったけど、アルバイトもしているし(勤務先は渋谷)、準備期間が少なかったので新しい住処も結局東京に。
    なんでその街にしたの? とよく聞かれるのですが、街へのこだわりは全くもってなくて、家にウォークインクローゼットがあること、近所に農園がたくさんあってベランダからの景色がひらけていること、あとは内見のときにどこからか聞こえたラッパの音が胸をぎゅっと掴んで離さなかった、それだけで決めました。
    農園を営むおじいちゃんと仲よくなれるかもしれないなあ、とか、朝にラッパの音で目覚められたら最高だなあ、とか、実現可能性云々ではなく純粋に「楽しみ」を描ける土地って少ない気がしている、なのに一瞬訪れただけでこんなにもきらめきを感じさせてくれるのだからここしかない、と思ってしまったのです。この話をすると「え~(笑)」という反応をもらったりするけど、それでもいいのだ。
    新しい生活には心配がつきもので、現に引越しの疲れをいつまでも引きずりながら、津波のように訪れる寂しさや人生への不安に押し流されそうになるけれど、孤独でも縋れる光をそばに置いておきたかった。
    でもそれって引越しだけじゃなくて、仕事もプライベートも人生全部そうかも。誰かに判断されて切り捨てられたりしない、自分だけの聖域を見つけて生きていきたい。

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