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7月29日~31日、宮城県石巻市にて、『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』が開催された。来年からスタートする芸術・食・音楽の総合祭『Reborn-Art Festival』のプレイベントとなったこのフェスは、Bank Band、Mr.Children、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDなど計47組による音楽ライブ、JR、ギャレス・ムーア、鈴木康広ら世界中のアーティストたちによる作品の展示、全国から集まったシェフたち計39名による地元食材を使った食事の提供、そして地元で暮らす人々と触れ合うワークショップの開催など、様々なコンテンツによって彩られた。会場となった石巻港雲雀野地区は、震災直後は瓦礫の山で、地元の人いわく「見れたものではない状態」だったという。まだまだ復興途中ではあるものの、この3日間は、瓦礫だらけだった場所に笑顔の花が咲いた時間だった。

なぜ2005年から開催していた音楽イベント『ap bank fes』は、4年間休催していたのか? そして、なぜ「芸術・食・音楽」を柱とした総合祭に移行する必要があったのか? それらの理由を、『ap bank fes』の歩みと3日間のレポートから紐解いていく。

トップミュージシャンが集った『ap bank fes』

『ap bank fes』とは、小林武史・櫻井和寿・坂本龍一が拠出した資金をもとに設立した「ap bank」が、2005年から2012年までの8年間、静岡・掛川市のつま恋にて開催していた音楽祭である(2012年は、宮城県と兵庫県を含む計3か所にて開催)。小林、櫻井、そして亀田誠治、小倉博和、四家卯大といった日本屈指のプレイヤーたちが集まったバンド「Band Band」をメインに、井上陽水、布袋寅泰、矢沢永吉を筆頭とする名だたるミュージシャンが出演し、日本の音楽を次の世代に継いでいくかのように、数々の名曲が鳴らされる場であった。

そして、音楽で楽しませるだけではなく、環境問題について考えるきっかけを与えることも、『ap bank fes』の重要なテーマとなっていた。自然エネルギーについての知識を広めるためのトークイベントやブースが用意され、オーガニックフードをメインに提供する会場内のフードエリアでは、リユース食器が使われていた。しかも、カトラリー類は持参することを推奨。また、ゴミは10種類以上に分別することで、会場内で出たゴミをできる限り資源に再生できる仕組みが整えられており、来場者は「リサイクル」の習慣を日常に持ち帰った。「自然と人の共生」について考えるきっかけを発信し、心もクリーンになるような雰囲気が会場全体に漂っている。そんな特別な意義を持ったイベントが、『ap bank fes』だった。

『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』でも、カトラリー類の持参を推奨。持参していない人のために、有料の「カトラリースタンド」が用意された
『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』でも、カトラリー類の持参を推奨。持参していない人のために、有料の「カトラリースタンド」が用意された

あまり知られていない事実。2010年、「開催しない」という選択肢もあった

2005年にスタートし、毎年チケットは完売するほど愛されていた『ap bank fes』が、突然「休催」を発表したのは2013年のこと。しかし、実は2010年の開催前の時点で、小林と櫻井の間で「今年はやらなくてもいいのでは?」と話し合いがなされていたという。

小林武史 撮影:TETSUYA YAMAKAWA ©Reborn-Art Festival
小林武史 撮影:TETSUYA YAMAKAWA ©Reborn-Art Festival

2005年の時点では、「環境問題」について訴えることが、社会に対するカウンターアクションであり、新たな価値観の提示となっていた。しかし、次第にそれは「多数派」となり、環境問題に対する施策がビジネスや経済の一部にまでなった。未来を見据えた上で、ap bankとしてはひとつの役目を終えたと実感したのだ。

2010年の『ap bank fes』は、過去5年間の様々な取り組みをさらに追求すべく開催が決定。そして翌年3月11日、東日本大震災が起きた。それまでも新潟県中越沖地震や中国四川省大地震が起きた際に、義援金を寄付していたap bankは、2011年と2012年、「Fund for Japan」をテーマに『ap bank fes』を開催。2012年には宮城県でも開催し、イベントの収益金はすべて復興支援にあてられた。

その後、なぜ『ap bank fes』は4年間休催したのか?

その後、なぜ『ap bank fes』は4年間も休催していたのか? その理由と意義は、今年開催された『Reborn-Art Festival × ap bank fes 2016』(以下、『RAF × ap』)で掴むことができた。

まずひとつ目の理由としては、東北地方で単発イベントを開催したり、義援金を送ったりするだけでは、本当の「復興支援」とは言えないことを、小林も櫻井も痛いほど理解していたのだろう。震災を機に職を失ってしまった人たちのために雇用を作り出すこと、現地に残った人たちと他の地域の人たちが深く関わり合うことで心を通わせること、自然災害が起きてしまった今考え直すべき「生き方」について社会全体に問いかけること。小林は震災の半年後から村井嘉浩宮城県知事に開催のアイデアを話していたそうだが、そういったことを長期的に実現できる機会を整えるためには、5年間の準備期間を要したのだ。

ワークショップ「みんなで創る牡鹿ビレッジ」の模様。地元の人や、震災後に石巻でボランティア活動に取り組んでいた人たちと、全国から集まったお客さんが、共同作業をする
ワークショップ「みんなで創る牡鹿ビレッジ」の模様。地元の人や、震災後に石巻でボランティア活動に取り組んでいた人たちと、全国から集まったお客さんが、共同作業をする

宮城県出身のチェーンソーアーティスト・鈴木寿幸による、来年の会場で使用する展示物
宮城県出身のチェーンソーアーティスト・鈴木寿幸による、来年の会場で使用する展示物

そして本イベントは、決して石巻の復興支援だけが目的ではなく、やはり今こそ取り上げるべき社会問題に焦点をあてようとしていた。『Reborn-Art Festival』(以下、『RAF』)というタイトルの発案者は、制作委員会の一員である思想家・人類学者の中沢新一だが、「Art」という言葉は、芸術を指す「アート」だけでなく、ラテン語で「人が生きる術」を指す「Ars」からも由来しているという。ap bankとしては、現代において失われつつある価値観——自分の知識範囲以外のことを理解しようとする想像力や、人間の手ではコントロールできないことを受け入れる心、合理性を突き詰める中で削ぎ落とされてしまうものに目を向ける姿勢を、もう一度取り戻そうと訴えていた。そう、「Reborn」とは、石巻の再生を指すだけでなく、あなた自身の「Reborn」を願うイベントでもあったのだ。

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イベント情報

『Reborn-Art Festival×ap bank fes 2016』前夜祭

2016年7月29日(金)
会場:宮城県 石巻港 雲雀野地区
出演:
Bank Band
ウカスカジー
Salyu
東田トモヒロ
藤巻亮太
LEGO BIG MORL

『Reborn-Art Festival×ap bank fes 2016』

2016年7月30日(土)、7月31日(日)
会場:宮城県 石巻港 雲雀野地区
[MUSIC]
7月30日出演:
Bank Band
ACIDMAN
大森靖子
GAKU-MC
金子ノブアキ
クリープハイプ
黒木渚
Cocco
スガシカオ
SUGIZO
SPECIAL OTHERS
名越由貴夫
七尾旅人
ZAZEN BOYS
Salyu
藤巻亮太
Mr.Children
WANIMA
7月31日出演:
Bank Band
赤い公園
APOGEE
あらかじめ決められた恋人たちへ
(仮)ALBATRUS
安藤裕子
YEN TOWN BAND
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
GAKU-MC
佐藤タイジ(シアターブルック)
佐藤千亜妃(きのこ帝国)
Salyu
SUGIZO
津野米咲(赤い公園)
TOKU
ナオト・インティライミ
ストレイテナー
ハナレグミ
MISIA
Mr.Children
[ART]
参加作家:
JR
ギャレス・ムーア
鈴木康広
さわひらき
Yotta
宮島達男
パルコキノシタ
田口行弘

『Reborn-Art Festival』

2017年7月22日(土)~9月10日(日)
会場:宮城県 牡鹿半島、石巻市内中心部、松島湾
[ART]
参加作家:
ヨーゼフ・ボイス
JR
金氏徹平
マイク・ケリー
パルコキノシタ
クー・ジュンガ
ギャレス・ムーア
カールステン・ニコライ
ナムジュン・パイク
フィリップ・パレーノ
マーク・クイン
齋藤陽道
さわひらき
島袋道浩
ルドルフ・シュタイナー
鈴木康広
ヨタ
宮島達男

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