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坂元友介インタビュー

坂元友介インタビュー 自分以外の人がいて初めて芸術は成立すると思うんです

MOVIE

坂元友介インタビュー

アニメーション作家、坂元友介。人形や切り絵を用いた作品を制作し、現役大学生ながら国内外の映画祭やコンペティションで数々の賞を受賞。その評価は、奢ることなく作り続けるという努力の賜物だった。次世代の日本アニメーション界を担う1人になるだろう、坂元氏へのインタビューをお届けする。

(インタビュー&テキスト:川瀬いつか)

PROFILE

1985年栃木県出身。高校在学時より油絵を学ぶ傍ら、独学で人形アニメーションを作り始める。 初監督作品「息子の部屋」で、キリンアートアワード2002奨励賞を受賞。以降、次々に作品制作に取り組み、「在来線の座席の下に住む男」デジスタアウォード2004グランプリ、「焼き魚の唄」第5回ユーリー・ノルシュテイン大賞優秀賞、「電信柱のお母さん」東京国際アニメフェア2006企業賞&東京ビッグサイト賞、「蒲公英の姉」水戸短編映画祭準グランプリなど、数々の賞を受賞。また、文化庁メディア芸術祭上海展や東京国際映画祭、カルティエ財団現代美術館「私はそれを夢見ている」展など、国内外問わず多くの上映会に参加し注目を集める。最近では、NHK総合「星新一ショートショート劇場」にて人形アニメーション「ゆきとどいた生活」を制作。現在は東京造形大学大学院にてアニメーションの研究・制作に取り組んでいる。
坂元友介アニメーション全集ロードショー 予告編
坂元友介の日記

(アラーキーさんに)「この作品には、愛し合うの“あい”と哀しみの“あい”っていう二つの“あい”があっていいよね」って言われました。

─普段は何をされているんですか?

坂元:今はまだ学生なので、自主制作をしています。誘いを受ければ遊びに行ったり飲みに行ったり、普通の学生ですね。最近は料理にはまっていて、結構手の込んだものも作ってます。

─独り暮らしでそれは凄い! 誰かに食べさせたりするんですか?

坂元:いえ、誰かのためとなると緊張するので。自分だけなら大雑把にできますし(笑)。

─なるほど。学生と言っても、坂元さんは色々なコンペや映画祭に参加されているので、学外の人にも作品を観てもらう機会が多いと思うのですが、一般のお客さんの反応はいかがですか?

焼き魚の唄

坂元:そうですね、ありがたいことに概ね好意的な感想をいただいています。中でも「焼き魚の唄」はわりと海外で評価されることが多くて、フランスやスペインでも上映させていただいたんですけれど、ある外国の方に「これは、狩った獲物に対するインディアンスピリットの作品だね」と言われて、「あぁ、インディアンなんだぁ」と思ったり(笑)。そんな面白いこともありました。

─作った方が驚かされるコメントですね(笑)。では、有名なクリエーターや第一線で活躍されているプロの作家さん達からの言葉で、印象的に残っている言葉はありますか?

坂元:いっぱいあるんですけれど、ユーリ・ノルシュテインさんに「電信柱のお母さん」を観ていただいた時に言われたのが、「この作品は全てにおいて中位ではない」という言葉で、それは忘れられないですね。

─どういう意味として受け取ったんですか?

坂元:「もっと頑張んなきゃ駄目だぞ」って言われているんだと感じました。あとは、アラーキーさんに「焼き魚の唄」を観ていただいた時には、「この作品には、愛し合うの“あい”と哀しみの“あい”っていう二つの“あい”があっていいよね」って言われました。

─そうですか、両方ともその人らしい言葉だなぁ(笑)。ところで、そういう風に外に発表していくことで、プロダクションにスカウトされたり仕事の依頼に結びつくとはありましたか?

ええ。今年の「東京国際アニメフェア」でお店を出したんですが、それをご覧になった方が声をかけてくださって、11月上旬にNHK総合で放送された「星新一ショートショート劇場」という番組の中で、「ゆきとどいた生活」という人形アニメーションを製作しました。ただ、そのお話はたまたま時間が空いていたのと僕が星さんを大好きだったのでお受けできたんですけれど、あまり仕事の話は来ないですね。僕が普段やっているやり方だと、相当手間と時間がかかるので仕事にするのは難しいみたいです。今回は、音は全部お任せしてしまいましたし、いつもに比べたら手間はかかっていないです。

─そうなんですか? でも、一作毎にしっかり成長しているって言うのでしょうか、洗練されてきていると感じます。「ゆきとどいた生活」においてはハイビジョンということで、苦労されたのではないですか?

はい。うちのMacは今、相当疲労してます(苦笑)。でも、一度も固まったりはしませんでしたよ。普段から可愛がっているので。

坂元友介インタビュー

─それは凄い! 愛情をかけていれば物でも応えてくれるわけですね(笑)。そういえば以前、坂元さんが人形に対して「生きていると信じる」と語ったコメントを読んだのですが・・・

独り暮らしだと自然に物に話しかけたりしますよね。電化製品が動かなくなったら「なんで壊れるんだよ〜」とか言いません? 人形でも同じで、落としちゃったら「ごめんね」とか当たり前に言います。

─確かに、自分の作ったものならなおさら愛情は沸きますね。「お前可愛いなぁ」とか言うかも(笑)。それでは、坂元さんがアニメーションを作り始めたきっかけを教えていただけますか?

高校の時に面白い先生がいて、その方がヤン・シュバンクマイエルの「アリス」をみせてくれて、「じゃぁ、教室をスタジオにしてやっちゃおう」って勝手に作り始めたのがきっかけです。それが「息子の部屋」で、その作品でたまたま凄い賞をとっちゃって・・・。その受賞がなければ今頑張ってアニメーションを作ってはなかったですね。

─元々ものを作るのが好きだったんですか?

そうですね。小さい頃から絵を描いたりものを作るのは好きでした。僕、子どもの頃ダリが好きで、その頃描いている絵をみると凄い影響を受けていますね。

─へぇ、坂元さんのつくる人形も独特の雰囲気を持っていますよね。グロテスクというか、異形の者を描いてて・・・坂元さんの作品って一見難解なようにみえるんだけど、見終わったあとにストンと落ちてくるような感覚になるんですよね。実はわかりやすいんです。

そうですか! 僕は、割と観る人のことを考えて作るので・・・「自分は芸術家であるから自分の良しとするものを作る。お客さんは関係ない。」って人がよくいるんですけれど、それは間違いで、自分以外の人がいて初めて芸術は成立すると思うんです。自分しかこの世にいないのに絵を描いてもしょうがないじゃないですか。それに、作品って作者と観る人の間にいなければならない、コミュニケーションのツールだと思うので、「ここはゆずれないけれど、ここはわかりやすくするためにカットしよう」というようにバランスは凄く考えます。

2/2ページ:僕は、天才肌ではないので努力してます。

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