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坂元友介インタビュー

坂元友介インタビュー

インタビュー&テキスト
川瀬いつか
2007/11/26

好きな言葉が「勤勉努力活動発展」という新撰組の近藤勇の言葉です(笑)。

―それは素晴らしいですね。大学の制作展などに行って、うち輪だけで終わっている作品を観てもどかしく感じることが多々あります。面白いことはやってるし、情熱はあるんだけど、これじゃ一般の人はわからないよ・・・と。もっと外をみて欲しくなるんですね。

坂元:自分の場合は小心者なので、色んな人の感想が気になるんです。で、たくさんの好意的な感想があっても、ひとつだけダメ出しのコメントがあるとそれだけずーっと考えてしまう(苦笑)。「あぁ、この人はこういう風に考えるんだ」って思ったり。凄い落ち込みやすいので。

―そうなんですか(笑)。でも、そうやってひとの意見を聞き入れられるのはいいことじゃないですか。それが出来ないと、ずっと同じ所ぐるぐる回っているだけですもの。ちなみに、落ち込んだ時はどうやって乗り越えるんですか?

坂元:基本的には、新しい作品作って・・・

電柱柱のお母さん

―作品で取り返す! と。

坂元:はい(笑)。

―では、手法について少し聞かせてください。「電柱柱のお母さん」の、マンションの明かりが点滅して色々なイメージになって動き出すシーンがありますよね。あのシーンが私は凄く好きなんですけれど、どのようにして作ったのでしょう?

坂元:あれは本当に大変でしてね・・・。まず動画を描いてそれに黒い紙を重ね、動画に添って針で穴を開けて、ライトボックスの上にビルを置き、その上に黒い紙を重ねてひたすら撮影していったんです、何百枚分も・・・。だからあのシーンはパソコンでの合成などは一切してません。すべてアナログです。

―ひ~・・・ 気が狂いそうですね。

坂元:えぇ、もう狂いますよ(苦笑)。

―そうした手法はどうやって考えつくんですか?

坂元:いや、もう必死なんで、こうするしかないなみたいな感じでやってました。凄く要領の得ないやり方でも、これがイメージに合うものを出せるやり方だからやっていくみたいな。学校でも大まかなことは教えてもらうんですけどほとんどは自力で、やってみて駄目だったらまた工夫してという中で、ある程度のルールみたいのは気付いていきますね。

―凄い努力家なんですね!

あぁ、はい・・・。僕は、天才肌ではないので努力してます。好きな言葉が「勤勉努力活動発展」という新撰組の近藤勇の言葉です(笑)。

坂元友介インタビュー

―なるほど(笑)。そうして作られてきた中で、一番想い入れの強いのはどの作品ですか?

坂元:それは、「蒲公英の姉」ですね。同じ人形アニメでも「歯男」や「在来線の座席の下に住む男」とかと「蒲公英の姉」では人形が全然違うんです。以前はグロテスクな形にしたりわざと汚しをかけて雰囲気を持たせてたんだけど、それは割りと簡単なことでして。逆に、美しいものや綺麗なものを人形で表現できるようになりたいと思って作ったのが「蒲公英の姉」だったんです。

―新たな挑戦が形になった作品なんですね。今制作中のものはどんな作品でしょうか?

坂元:今回は、初めて撮影台ではなく、スキャナを使って制作しています。いわゆるCGアニメでして、やっぱりCGもやってみなければダメだ、時代の波にも乗らなければという、自分に対する課題でもあります。

―それはどこかで観られますか?

坂元:はい。1月19日から下北沢のトリウッドで僕の特集上映をやるので、その時に上映します。そこでは、過去のお蔵入りになった作品も恥を忍んで上映しますので、お時間のある方は足を運んでいただければと思います。

―楽しみですね! 是非観に行きたいと思います。それでは、最後に、今後制作を続けていく上で大切にしていきたいことは何でしょうか?

坂元:・・・とにかく前に進むこと、考え込んで立ち止まるよりも、がむしゃらに作り続けて気がついたら65歳! みたいな。アニメーションに関わらずですけれど、とにかく頑張って気付いたら65歳になっていてふと「大切なものって何だったっけ?」っていうのがいいですね。

―人生そのものが制作だ! みたいなね。

坂元:えぇ、そうです(笑)。

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イベント情報

2008年1月19日より短編映画館トリウッドにて坂元友介の全作品を網羅した「坂元友介アニメーション全集」を上映。

プロフィール

坂元友介

1985年栃木県出身。高校在学時より油絵を学ぶ傍ら、独学で人形アニメーションを作り始める。初監督作品「息子の部屋」で、キリンアートアワード2002奨励賞を受賞。以降、次々に作品制作に取り組み、「在来線の座席の下に住む男」デジスタアウォード2004グランプリ、「焼き魚の唄」第5回ユーリー・ノルシュテイン大賞優秀賞、「電信柱のお母さん」東京国際アニメフェア2006企業賞&東京ビッグサイト賞、「蒲公英の姉」水戸短編映画祭準グランプリなど、数々の賞を受賞。また、文化庁メディア芸術祭上海展や東京国際映画祭、カルティエ財団現代美術館「私はそれを夢見ている」展など、国内外問わず多くの上映会に参加し注目を集める。最近では、NHK総合「星新一ショートショート劇場」にて人形アニメーション「ゆきとどいた生活」を制作。現在は東京造形大学大学院にてアニメーションの研究・制作に取り組んでいる。

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