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橘るみ(バレリーナ) インタビュー
日本でもトップクラスのバレリーナの一人、橘るみ。2007年に東京シティ・バレエ団のメンバーになり、バレエ界でもその動向に注目が集まっている。多くの人にとって、触れ合う機会も少ないであろうバレエやその魅力について、年末のリハーサル明けにインタビューをさせていただいた。
(取材・構成:吉田悠樹彦)
神奈川県鎌倉市出身。5歳より金田春枝バレエ研究所にてバレエを始め、1992年に橘バレエ学校入学。1996年に牧阿佐美バレエ団に入団し、2003年に牧阿佐美バレエ団公演『ロメオとジュリエット』で主演デビューを果たす。2007年、牧阿佐美バレエ団を退団し、東京シティ・バレエ団に移籍。
第52回東京新聞主催全国舞踊コンクール第一位、文部大臣賞・東京都知事賞受賞、第52回日本バレエ協会賞受賞、第31回橘秋子賞スワン新人賞受賞、東京芸術大学演技講師・日本音楽高等学校ゲスト講師
橘るみバレエスクール オフィシャルサイト
橘るみ出演舞台動画
一つの動きにもストーリーを
─橘さんはどんなきっかけでバレエを始めたんですか?
橘:子供のころ、家の近くのバレエ教室がガラス張りで、そこからちっちゃな子達がレッスンをしてみるのを見て憧れたんです。それで、バレエってなんだかわからないまま始めたんですけど、それ以来本当にはまっちゃいました。牧阿佐美バレエ団(以下、牧バレエ団)に通わせていただいていました。
─思春期といえば友達と遊びたい時期だと思いますが、苦ではなかったんですか?
橘:もちろん友達と遊びもしましたけど(笑)、バレエが好きでほとんど毎日レッスンをしていました。高校を卒業する時にはなんとなく、自分はバレエでやっていくんだと思っていましたね。そう思うきっかけになったのが、高校の時に観た牧バレエ団の公演です。大畠律子さんがバレエ『リーズの結婚』の主役をやっていて、端っこでもいいから私もこの舞台に立ちたいと思いました。
─クラシックバレエを踊っていて、どのようなところに魅力を感じますか?
橘:同じ作品を踊っても、踊る度に奥が深いなと感じるんですよね。そういう、ゴールがないのがクラシックバレエの魅力だと思います。例えば先程(インタビュー前の稽古で)踊っていた『くるみ割り人形』(石井清子版)は、牧バレエ団の振付と全然違うんです。バージョンが違うから身体で覚えるのに時間がかかりますし、まだ手探りの状態なんですけど、日々新鮮で充実しています。バージョンが違うと踊る気持ちも違うように感じます。
─2008年1月に新国立劇場で上演する『白鳥の湖』では、オディール(※1)※1『白鳥の湖』第三幕に登場する悪役で、オデットに化ける悪魔の娘。32回の回転というハイレベルな技術が必要な役としても知られている。を躍るらしいですね。橘さんにはオデット(※2)※2「白鳥の湖」のヒロイン。王子の恋の相手役だが、魔法で白鳥に変えられてしまっている。というイメージがあるのですが。
橘:これまでオディールも何回かやらせていだだいています。石田種生(※3)※3 振付家。1968年に東京シティ・バレエ団を設立。1997年には紫綬褒章を受章している。先生に教わるのは今回が初めてですが、わたしの個性を尊重して振りやアドバイスをくださいますし、「一つの動きにもストーリーを」ということを教えてくれます。自分でも理解をして、納得して動けるようになってきました。何度も同じ役をやっていたし、そんなにパ(バレエの動き)が変わっているわけではないのですが、とても新鮮に取り組んでいます。
─オディールというと難易度が高い踊りというイメージがありますが、これまでと違う点などはありますか?
橘:確かにオディールはテクニックが必要な役ですし、実際にやらなければいけないテクニックも多いのですが、石田先生とのリハーサルを通して、テクニックに傾き過ぎずにストーリー性を重視することを目標にしています。王子を誘惑するシーンなど、自分でも少し余裕が出来てきた分、段々と目標に近づいてきているのではと思います。

─石田種生先生がお書きになった『随想−バレエに食われる日本人』(2007年11月 文園社)はとても興味深い本でしたが、先生はストーリーを大切にする人なのですね。
橘:そうですね。先生とはお話をすることも多いですが、演出や振り一つ一つに意味があることを教えていただきました。長年踊っていても、ここにこういう意味があるとか、ただ振付けるだけではなくて、きちんと意義があっての演出と振付というのをどの場面でも実感させていただいています。
─橘さんは牧バレエ団のご出身ですが、基本的には古典を中心に踊っていらしたのでしょうか?
橘:私が育った牧バレエ団では、コンテンポラリーをやったとしても、ネオ・クラシック(※4)※4 舞踊史ではバランシンのような20世紀のバレエ表現といわれることが多いが、昨今の日本では“クラシックバレエの決められた範囲ではなく自由で枠にとらわれない新しい表現”というニュアンスで使われることも多い。みたいなことはやってきていません。子どもの頃からバレエ学校時代まで本当に古典を中心に踊ってきました。創作といわれるものでもシンフォニック・バレエ的なものやコンテンポラリーにたずさわる機会があまりなかったというのがあると思います。
─東京シティバレエ団に来てからいかがですか?
橘:シティ・バレエ団は良い意味で和気あいあいとした場なので、すごく居心地良くやらせていただいています。自由だし、とてもアットホームな雰囲気があります。ここはいわゆる「先生の意見が絶対」みたいな感じじゃなくて、自分の意見も言えるし、横社会的な部分も感じます。
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