真っ直ぐに進みたいから、壁を作ることもある
―そういう考えが出てきたのって、日本で暮らしてることと関係ありますか?
ジム:もちろん関係ある。別の国にいるより自分のことができるし、常に安定がある。過去10年間、ツアーやって、別の人のプロデュースして、そういう人生は…やめたかった(笑)。このレコードを作るために、例えば1〜2週間それだけをやるってことは、22歳ぐらいからできなかったんで、面白かった。
―じゃあアルバム自体の話からちょっとずれて、その自分の時間を手にしたってことと関係あると思うんですが、ちょうど今月サマーソニックで一時期加入していたソニック・ユースが来日してましたよね。会ったりしました?
ジム:ライブは行けなかったけど、みなさんとは会いました。前回彼らが来日したときはまだ日本に住んでなくて、仕事もしてなくていっぱい暇な時間があったからライブに参加できたんだけど、今は日本に住んでいて仕事しなくちゃいけません。
―彼らの新作のアートワークがジョン・フェイヒーの作品だっていうのはご存知でしたか?
ジム:ああ、ジョンさん(笑)。e-mailで「どっちがいいか?」って聞かれました。ジョンさんの作品は部屋で大きな箱で持ってる。多分100枚ぐらいあるでしょう(笑)。彼は毎日いっぱい作ってた。彼の友達みなさんいっぱい持ってる(笑)。
―ジムさんにとってはデレクと同様に大事な人だった?
ジム:うん。でもデレクはほとんど父親みたい。デレクからは音楽よりも、彼の人生そのものからすごい影響を受け取った。もちろん彼の演奏もいいけど、人間的に勇ましいと思いました。少し社会の歯車じゃない感じでしょう(笑)。「なぜジムは若松孝二が好き?」ってよく聞かれるけど、若松さんもそういう人だと思う。もちろん彼の作品も好きだけど、人間的にすごく尊敬してます。
―去年その若松さんの映画のサントラを手がけていますが、誰か日本の監督のサントラを作れるとしたら、誰の作品がいいですか?
ジム:映画の音楽作ることあまり好きじゃない(笑)。若松さんは本当に手伝いたかった。払い戻す感じ? 私の先生ですから。映画音楽はあまり興味がない。全然そういう仕事は探してないし、誘われてもないから、問題ない(笑)。
―今の日本の監督で興味のある人はいますか?
ジム:今のはよく知らない、実は。音楽・映画なんでも、現代のものはあまり知らない。監督も…大好きな監督はみんな亡くなったでしょう。あ、でもよく覚えてるけど、若いときにデレクさんと話すと、彼は新しい音楽を全然知らなくて、それが理解できなかったんだけど、今はわかる(笑)。ホントに今わかる。ホントに自分のものを作りたければ、少し外の世界を無視しなければできないでしょう。若いときは大丈夫、全部を受け取れるけど、今は壁を作らないと、今そういうところでしょう。
―それは自分でも気づかないうちに影響を受けてしまう、ということ?
ジム:そういう問題じゃなくて…反省ができないでしょ? 自己分析ができないでしょ? いつも新しいものを見て聴いてだと…(手で道を曲がる仕草)。少し真っ直ぐに行きたいから、そういう意味で遠ざけるんでしょう。
―確かに若い頃は自分の中にベースがないから、色んなものに影響を受けてアートに対する考え方が作られていって、でもある程度の年齢に達したときに、今までの自分が培ってきたものから影響を受けて、より新しいものを作る時期が来るんでしょうね。
ジム:うん、そうですね。何をしたいかわかると、真っ直ぐ行くほうがいいと思う。
―『ザ・ヴィジター』も、周りの影響からっていうより、昔の自分と今の自分っていうのがあって、そこからより新しいものを作ろうっていう。
ジム:うん、このレコードは…(手で道を真っ直ぐ進む仕草)。
―自分の道を…
ジム:はい、それだけ。






















