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丈青×菊地成孔対談 リアルジャズシーンから発信する現代への批評

丈青×菊地成孔対談 リアルジャズシーンから発信する現代への批評

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2014/10/08
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ピアニストの丈青と、サックス奏者の菊地成孔。一言で「ジャズ」と言っても、クラブシーンとロックシーンを横断するSOIL& "PIMP" SESSIONS(以下、ソイル)や、その別働隊であるJ.A.Mなどでの丈青の活動と、ソロ、DCPRG、ペペ・トルメント・アスカラール、ダブ・セプテットと多彩な名義を使い分ける菊地の活動は、共に一括りにはできない多様性を含んだものである。そんな二人が邂逅を果たしたのは、2010年のDCPRG再始動時における丈青の加入。お互いの多忙なスケジュールの関係で、12年の末に惜しまれつつ脱退しているものの、約1年半の活動の中で丈青は、まさにマイルス・デイヴィスのバンドにおけるキース・ジャレットのような強烈な印象を残した。

13年はソイルのメジャーデビュー10周年イヤーで精力的なバンド活動を行った丈青だが、今度はキャリア初のソロピアノアルバム『I See You While Playing The Piano』を完成させた。コンサートグランドの名品FAZIOLIをホールで演奏し、DSD 11.2MHz / 1bitのマルチレコーディングによる高音質で閉じ込めた本作には、ソイルともJ.A.Mとも異なる、むき出しのピアニストの姿が克明に刻まれている。この作品のリリースを記念して、丈青と菊地成孔の豪華対談が実現。DCPRGのメンバーとして共に活動した期間の思い出話に花を咲かせつつも、満を持して取り組んだピアノソロに対する丈青の想いと、それを現代に紐づける菊地独自の批評眼が絡み合う、スリリングな対談となった。

DCPRGでやっていた時間があったからいまの自分がいるわけで、ホントに特別な経験をしたと思います。(丈青)

―まずは、お二人が一緒に音楽をされるようになった頃のことからお伺いしたいのですが、2010年に丈青さんがDCPRGに加入をしたのは、どういった経緯だったのでしょうか?

菊地:丈青からエントリーしてもらったっていう側面もあるんですけど、ちょうどキーボードを探しているときに、「丈青くんがやりたいって言ってますよ」という話をある人から聞いて、「それはありがたいので、ぜひ」と返事をしました。

丈青:六本木ヒルズでやった菊地さん主催のイベントにJ.A.Mを呼んでいただいたとき、すごく嬉しくて、楽屋に挨拶に行って「ぜひ何かご一緒したいです」みたいなことを言ったんだと思います。僕、杓子定規に「ご一緒したい」なんて言わないので、心からそう言ったのは憶えていて、それで菊地さんがフックアップしてくれたんですよね。

左から:丈青、菊地成孔
左から:丈青、菊地成孔

―菊地さんは、実際にDCPRGとして一緒に活動をしてみて、丈青さんに対してはどんな印象をお持ちでしたか?

菊地:愛されキャラというか、可愛がられキャラですよね(笑)。ソイルとかJ.A.Mのときは仕切るのが役目だと思うんですけど、DCPRGのときはただピアノ弾きとして「好きなだけ弾いて」っていうポジションだったんでね。まあ、DCPRGは言ったらジジイのバンドなので(笑)、私と同世代のプレイヤーが多かったんですけど、丈青は弟キャラみたいな存在でした。パッと見はいかついんですけど(笑)。

丈青:たしかに自分と同世代の人と組んでいると、リーダーをやることが多いんですけど、DCPRGは先輩が多かったので、不思議な立ち位置で、好きにやらせてもらってたなって……いま話してて、すごく懐かしくなってきましたね(笑)。坪口(昌恭)さんとツインキーボードだったので、そういう編成も珍しいし、やり取りもホントに独特でした。

―丈青さんはその経験の中で、ミュージシャンとして何を得たと言えますか?

丈青:ポリリズムの音楽の中でも、一番ディープなことをやってると思うので、ポリリズムを解釈する上ではすごく大きな経験になりました。あとはあんな大人数でやることはなかなかないので、毎回のライブがホントに楽しかったですね。初めてのライブが日比谷野外音楽堂で、ニューヨークからゲストを入れてやったりとか、印象的なライブが続く活動ってなかなかできないですよね。DCPRGでやっていた時間があったからいまの自分がいるわけで、ホントに特別な経験をしたと思います。


菊地:丈青は埋蔵してる実力がすごいあって、ものすごく弾けるんだけど、やってる音楽的には、どっちかって言うと抑えて、かっこよくやってるイメージだったのね。でもうちのバンドは、演奏が始まっちゃうと、メンバーもいっぱいいて、いろんなことに対応しなくちゃいけないから、抑えてるわけにはいかないんですよ。どんなプレイヤーもやれることを全部やって、場合によってはやれる以上のことまでやる、沸騰してる状態なわけ。サッと45分やってかっこよく帰るスタイルじゃなくて、3時間とか、客が嫌になるまでやるんで(笑)。そうなると、どうしたって絞り出されるわけですよ。

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リリース情報

丈青<br>
『I See You While Playing The Piano』(CD)
丈青
『I See You While Playing The Piano』(CD)

2014年10月8日(水)発売
価格:3,100円(税込)
SPIRAL RECORDS / XQAW-1107

1. Friends are Comin'
2. One and Alone
3. Crazy Race
4. Blue in Green
5. My One and Only Love
6. We'll Be Together Again
7. Body and Soul
8. Miles' Mode
9. Myself
10. When I Was a Boy
11. Akatonbo
12. I See You While Playing The Piano

UA×菊地成孔<br>
『cure jazz reunion』(CD)
UA×菊地成孔
『cure jazz reunion』(CD)

2014年9月3日(水)発売
価格:3,240円(税込)
TABOO / VRCL-10119

1. Amaiyu
2. Ordinary fool
3. Born to be blue
4. Night in Tunisia
5. Music on the planet where dawn never breaks
6. Over the rainbow
7. Hymn of Lambarene
8. This city is too jazzy to be in love
9. I'll be seeing you

プロフィール

丈青(じょうせい)

3歳からピアノにふれクラシックを学ぶ。同時にブラックミュージックをはじめとする多岐にわたる音楽に親しみ、その語法を独学で習得。1997年に本格的にジャズピアニストとしての道を歩むことを決意。鈴木勲のバンドへの参加を機にジャズシーンに広くその名が知れわたり、一躍トップピアニストとしての地位を確立。2003年にはSOIL&"PIMP"SESSIONSに加入、メジャーデビューを果たす。2007年には同バンドから派生したピアノトリオJ.A.Mを結成。類い稀なるリズム、グルーヴへの感覚、幼年期より養われた広汎な音楽的造詣をもとにした清新なソングライティングや鮮烈なイメージを喚起するインプロヴィゼーション、クラシックを素地とする卓越したタッチは、José James、Jamie Cullum、Eric Harlandといったトップアーティストからも賞賛される。次代のジャズを担う最重要人物の一人として、世界的に注目される存在である。

菊地成孔(きくち なるよし)

東京ジャズシーンのミュージシャン(サックス / ボーカル / ピアノ / キーボード / CD-J)として活動。思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、極度にジャンル越境的な活動を展開。演奏と著述はもとより、ラジオ・テレビ番組でのナビゲーター、コラムニスト、コメンテーター、選曲家、クラブDJ、映画やテレビドラマの音楽監督、対談家、批評家(主な対象は音楽、映画、服飾、食文化、格闘技)、ファッションブランドとのコラボレーター、ジャーナリスト、作詞家、アレンジャー、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。数多くのバンドへの参加・主催を経て、現在は自らのリーダーバンドとして「菊地成孔ダブセクステット」「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」「DCPRG」の3バンドを主催。

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