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「ポストポップス時代」を牽引するcero、決定打的な傑作を語る

「ポストポップス時代」を牽引するcero、決定打的な傑作を語る

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2015/05/28
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シティポップ、渋谷系、J-POP、その呼び方は何でもいいが、ともかくインターネットによって古今東西のポップスが掘り起こされ、2010年代は「ポストポップスの時代」とでも言うべき様相を呈している。その先鞭をつけたのは他でもないceroであり、だからこそ、そこに楔を打つことができるのもcero以外には見当たらない。約2年半ぶりとなる3作目『Obscure Ride』は、間違いなく2015年を代表する1枚である。ロバート・グラスパーやD'Angeloからの刺激を受け、ビートの構造を深く追求しつつも、かねてよりの折衷的なスタイルによって、あくまでceroらしく仕上げられた楽曲たちは、他の若手を大きく引き離す完成度を誇るものばかり。フリッパーズ・ギター、くるり、□□□と、この国のポップスを更新してきた先達を振り返れば、3ピースや4ピースといった固定されたバンドのあり方から自由であることの意味を、今もう一度考えざるを得ない。

また、高城晶平いわく、『Obscure Ride』は「忘却と回想を巡る物語」である。僕らは人生の中で様々な体験をし、それを傍から忘れて行ってしまう。それはとても寂しいことだが、そうでなければ人間は生きていけない。その一方では、テクノロジーの進化によって時間と場所の感覚が変容し、現実感覚が少しずつ失われ、まるで映画や小説の中のパラレルワールドにいるような錯覚に陥ることもあるだろう。「記憶」というのは、それぐらい不確かなものなのだ。では、そんな中で音楽が果たすことのできる役割は何なのか。それは聴き手の無意識に訴えかけ、自分が他の誰でもない自分であるということを実感させることかもしれない。「忘却と回想を巡る物語」とはつまり、今を生きるあなたの物語だ。

今までのみんなが思うポップスではないかもしれないけど、「ここからポップスの枠組みが広がったらいいな」という意識でやってるんですよね。(橋本)

―先日同じカクバリズム所属の(((さらうんど)))のインタビューをCINRAに掲載したのですが、彼らの「もうポップスでなくてもいい」という発言が話題になりました。ceroが新作を作るにあたっては、「ポップスである」ということをどの程度意識していましたか?

荒内(Key,Cho):人によってはヒップホップとかジャズもポップスだったりするぐらい、ポップスの定義ってすごく曖昧だと思うんですけど、(((さらうんど)))はあのインタビューの中で、コードとメロディーがあって、一定の手法で書かれた大衆音楽をポップスと捉えてたと思うんですね。僕はそれを「20世紀型」って言ってるんですけど、ceroもその延長線上でポップスをやってる意識はすごくあります。ただ、ポップスという枠組みにいろんな要素を入れたいというわけではなくて、ポップスの枠組み自体を広げたいという意識ですね。

―「20世紀型」を受け継いでいることは自認しながら、それをより拡張させようと。

高城(Vo,Gt,Fl):先日、□□□の三浦康嗣さんとたまたま同じような話をしたんですけど、ミュージシャンが着のみ着のままでステージに出てライブをやるのは1960年代から始まったことで、それより前は作家・編曲家・歌手とか役割が別れていて、ビシッとした格好でステージに出る人が歌手だったわけですよね。つまり、1960年代以降は「シンガーソングライターの時代」が続いていて、それがさっき言ったコードがあってメロディーがあって、弾き語りができるような音楽となっている。でも、□□□の音楽は構造主義というか、1回1回のアルバムでコンセプトを構築して、制作途中でそのシステムが順調に動くかどうかのテストを繰り返した後、それが機能するものとして仕上げてる。さらには、それが社会のどこの歯車にハマっていくものなのかまで考えられてるんですよね。

左から:橋本翼、高城晶平、荒内佑
左から:橋本翼、高城晶平、荒内佑

高城晶平

―個人的には、『everyday is a symphony』(2009年発売、□□□のアルバム)とかホント素晴らしい作品だったと思います。

高城:1回1回が発明だなと思うし、いつも感心して見てるんですよ。でも、三浦さんに「そういうのが世間にクリティカルヒットしてる手応えありますか?」って訊いたら、「全然ないね」って言ってて、やっぱりシンガーソングライターの時代が、何だかんだ今でも続いてるのかなって話をしたんです。で、ceroはそういう□□□的なもの作りと、シンガーソングライター的なもの作りのちょうど中間に位置してるのだと思います。そう考えると、僕らみたいな存在がいることによって、徐々にシンガーソングライターの時代から移り変わって、□□□がこれまでやってきた発明が、改めて評価される土壌ができあがったりするのかなって。

―それもきっと「ポップスの拡張」に繋がりますよね。実際、ceroの作品からも毎回発明のような印象を受けますし。橋本さんはいかがですか?

橋本(Gt,Cho):僕は前の2枚に比べると、今回はポップスを作る意識は薄いかもしれないです。でも、それはもうポップスをやらないってことではなくて、荒内くんが言った通り、今までのみんなが思うポップスではないかもしれないけど、「ここからポップスの枠組みが広がったらいいな」という意識でやってるんですよね。

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リリース情報

cero 『Obscure Ride』初回限定盤(CD+DVD)
cero
『Obscure Ride』初回限定盤(CD+DVD)

2015年5月27日(水)発売
価格:3,400円(税込)
カクバリズム / DDCK-9005

[CD]
1. C.E.R.O
2. Yellow Magus(Obscure)
3. Elephant Ghost
4. Summer Soul
5. Rewind Interlude
6. ticktack
7. Orphans
8. Roji
9. DRIFTIN'
10. 夜去
11. Wayang Park Banquet
12. Narcolepsy Driver
13. FALLIN'
[DVD]
・2014年12月にEx-Theater Roppongiで開催したワンマン2days『Wayang Paradise』のライブ映像を収録

cero 『Obscure Ride』通常盤(CD)
cero
『Obscure Ride』通常盤(CD)

1. C.E.R.O
2. Yellow Magus(Obscure)
3. Elephant Ghost
4. Summer Soul
5. Rewind Interlude
6. ticktack
7. Orphans
8. Roji
9. DRIFTIN'
10. 夜去
11. Wayang Park Banquet
12. Narcolepsy Driver
13. FALLIN'

イベント情報

『「Obscure Ride」Release TOUR』

2015年6月7日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24
料金:前売3,800円

2015年6月9日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:岩手県 盛岡 Change WAVE
料金:前売3,800円

2015年6月10日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:宮城県 仙台 darwin
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月13日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月14日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:石川県 金沢 AZ
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月18日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:兵庫県 神戸 VARIT
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月20日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:京都府 MUSE
料金:前売3,800円(ドリンク別)
※チケットは完売

2015年6月21日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:香川県 高松 DIME
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月23日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:熊本県 Django
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月24日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:鹿児島県 SR HALL
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月26日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:長崎県 Studio Do!
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月27日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:福岡県 BEAT STATION
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月28日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月30日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:岡山県 YEBISU YA PRO
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年7月4日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 Diamond HALL
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2015年7月5日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪府 BIG CAT
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2015年7月12日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo
料金:前売4,000円(ドリンク別)

プロフィール

cero(せろ)

Contemporary Exotica Rock Orchestra 略してcero(セロ)。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる。2011年1月にリリースした1stアルバム『WORLD RECORD』は各地で好評を博し、現在もロングセールスを記録。2012年には2ndアルバム『My Lost City』をリリース。 2012年を代表する1枚との呼び声も高く各地で大絶賛、大好評を呼んだ。2013年12月に1st single+DVD『Yellow Magus』をリリース。2014年12月に2nd 両A面 Single『Orphans / 夜去』をリリースし、2014年12月21日、22日のEX-THEATER ROPPONGIでの2DAYSワンマンライブ『Wayang Paradise』も両日完売、大盛況にて終了。2015年1月より初のラジオレギュラー番組InterFM『Night Drifter』が放送開始となった。そんな中、まさに待望の3rd Album『Obscure Ride』を2015年5月27日にリリースする。さらには『FUJI ROCK 2015』にも出演が決定している。

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Suchmos“PINKVIBES”

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