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「ポストポップス時代」を牽引するcero、決定打的な傑作を語る

「ポストポップス時代」を牽引するcero、決定打的な傑作を語る

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2015/05/28

システムを作ったらそれが勝手に動き出すし、自ずとそこから作者の意思とか心情が透けて見えるものだと思んです。(荒内)

―最初に話をした「構造主義」という話からはちょっと文脈がずれますが、『Obscure Ride』はリズムの組み方をはじめ、これまで以上に音楽の構造に目が向けられた作品だと言っていいように思います。もちろん、「ブラックミュージックに接近した」っていう言い方もできるとは思いますが。

荒内:さっきの話にひとつだけ注釈をつけておくと、シンガーソングライター的なギターと歌だけの音楽でも、十分構造的だとは思います。メロディーとコードだけでも構造が美しくていい曲ってたくさんありますからね。その上で、確かに今回構造を意識してる部分はあって、わかりやすい例で言うと、“Wayang Park Banquet”は、4拍子と3拍子の簡単なポリリズムのストラクチャーをまず作って、そこに言葉とメロディーを当てるという作り方をしてます。ピアノを弾きながら歌って作ったような曲は、今回あまりないですね。かといって、そういう作り方だと冷たいものができあがるわけでもなくて、システムを作ったらそれが勝手に動き出すし、自ずとそこから作者の意思とか心情が透けて見えるものだと思うんです。

高城:ルールを作ることによって、逆に自由度が上がる場合があるんですよね。三浦さんとの話題に上がったのは『わが星』という、時報がずっと鳴ってて、それに合わせて台詞回しが作られてて、それがラップになっていく演劇のことだったんですけど、そういうグリッドを敷くことで、逆に自由度が作られる。今のアラピー(荒内)の話もそういうことだと思うんですね。簡単なルールを設けることで、言葉やメロディーが自由になることが結構あって、逆に何でも自由にしちゃうと、プログレッシブになるというか、キメキメの音楽になることってあると思うんです。

―グリッドが見えてるからこそ、「じゃあ、そこからずらしてみようか」ってなるわけで、それがなければ「ずらす」という発想すら出てこないわけですもんね。

高城:そう、そういうことも生まれてくる。

荒内:そのずれを自由だと感じるってことですね。

荒内佑

―アルバム1曲目の“C.E.R.O”では、これまでceroの意味を「Contemporary Exotica Rock Orchestra」と提示していたのに代わって、「Contemporary Eclectic Replica Orchestra」と歌われていて、この「Eclectic=折衷的である」ということも、大事なポイントかなと思います。近年影響を公言しているロバート・グラスパーにしても、まさに折衷的なミュージシャンですし、昨年12月に出したシングル『Orphans / 夜去』では小沢健二さんの『Eclectic』(2002年発売のアルバム)の収録曲である“1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)“をカバーされてもいましたし。

高城:それはこれまでのceroにも言えることで、ふたつの別の構造を持ったものを合致させて、しかもそこに日本語が乗ることで、第三のオリジナルなものが生まれるんじゃないかっていうある種の実験です。その混ぜ合わせるものが、ブラックミュージックと言われるものだったり、ビートに主眼が置かれたものだったり、そういうものがフュージョンしていった結果が今回の作品なんです。「Exotica」みたいな看板は1回外して、「Eclectic」っていう言葉を持ち出しはしましたけど、やってること自体は意外と変わらない。

―「Replica」に関しては、なぜこの単語を選んだのですか?

高城:それは……「R」から始まる単語がなかなかなくて(笑)。これまで「Rock」という言葉を選んだことも後悔してたんですよね。「Rock」じゃなかったなあって。

―あえての「Rock」だったんじゃないですか?

高城:いやあ、そう無理やり自分に言い聞かせたりもしてましたけど……すごい足かせだなって(笑)。でも、「Replica」という言葉はすごく肯定的に捉えてます。この意味合いとして、ひとつは、これまでも「音楽で箱庭を作ってる」みたいな評価をもらうことが多かったんですけど、現実とは別の世界のレプリカを音楽で作るという意味もあるし、もっと音楽的なところで言うと、キッチュなところに自分たちを位置づけることで肩の荷が下りるというか。

―キッチュな立ち位置と言うのは?

高城:僕たちは「本物志向」というわけでもないけど、さっきから言ってる構造を使えば本物にも迫れるっていう。つまり、ブラックミュージックとかレゲエとかは取り入れているけど、そういう音楽の骨子にある宗教的なことや思想までは触れない。音楽的な構造だけをレプリケイトすることで、まったく違う切り込み方ができるのかなと思って「Replica」にしたんです。


音楽に限らず、漫画とか浮世絵とかもデフォルメじゃないですか? 世界に散りばめられてるものを、いかにデフォルメするかというところで、日本人はすごく特化してる。(高城)

―思想を切り離して、音楽の構造だけを折衷させて、他にない音楽を作るっていうのは日本人ならではだということはよく言われていますよね。フリッパーズ、くるり、□□□とかもそういう存在で、ceroとしてもそこに日本人らしさを見出していると言えますか?

高城:まあ、音楽に限らず、漫画とか浮世絵とかもデフォルメじゃないですか? 世界に散りばめられてるものを、いかにデフォルメするかというところで、なぜかこの島国の人間たちはすごく特化してる。重要なのは観察眼なのかなと思っていて。きゃりーぱみゅぱみゅとか、「COOL JAPAN」って言われるものもデフォルメの結果で、外の国からすれば、自分たちが発信してきたものが、島国ですごいデフォルメのされ方をして帰ってきて、それが面白がられているんだと思うんですよ。自分たちもある種のデフォルメをしてるのかなって思いますね。

荒内:日本が単一民族だというのも大きいと思います。例えば、僕らが白人、黒人、アジア人っていう構成だったら、ここまでごった煮にはしてないと思うんですよ。もっと絞った音楽をやってると思う。それって、日本があまりに単一過ぎる分、他の国の要素が見えやすくなって、その結果としていろんな国の要素を取り込んで、デフォルメしてるのかなって。

高城:しかも、そういう作業がこの風土で行われてる。春夏秋冬がある、わりと奇跡的な磁場のある場所でミックスされて、最後はその風土が発酵させるみたいな(笑)。それが日本語って言葉だったりするのかもしれないけど、そういういろんな要素がオリジナリティーに繋がったりもしてるんじゃないかなって。

荒内:そもそも「風土」っていう発想自体が日本的なのかも。

―言ってみれば、「エキゾチカ」ってつまりはそういうことで、その環境に適応して生まれた音楽のことですよね。そういう意味では、今回「Eclectic」でありつつ、やっぱり「Exotica」でもあるんだなっていうか。

荒内:「Replica」も言ってみれば、「Exotica」の言い換えですからね。勘違いっていうか、本物ではないっていう。

高城:そういや、小さい頃、横浜のマリンタワーにあった鳥類園が大好きだったんですけど、そこがすごい「レプリカ感」があるんですよ。日本の曇り空に、世界各国の色とりどりの鳥が狭いところでギャーって喧嘩してて、無理やり南国感を出そうとしてる感じがあって。それが原体験としてあることを、今思い出しました。

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リリース情報

cero 『Obscure Ride』初回限定盤(CD+DVD)
cero
『Obscure Ride』初回限定盤(CD+DVD)

2015年5月27日(水)発売
価格:3,400円(税込)
カクバリズム / DDCK-9005

[CD]
1. C.E.R.O
2. Yellow Magus(Obscure)
3. Elephant Ghost
4. Summer Soul
5. Rewind Interlude
6. ticktack
7. Orphans
8. Roji
9. DRIFTIN'
10. 夜去
11. Wayang Park Banquet
12. Narcolepsy Driver
13. FALLIN'
[DVD]
・2014年12月にEx-Theater Roppongiで開催したワンマン2days『Wayang Paradise』のライブ映像を収録

cero 『Obscure Ride』通常盤(CD)
cero
『Obscure Ride』通常盤(CD)

1. C.E.R.O
2. Yellow Magus(Obscure)
3. Elephant Ghost
4. Summer Soul
5. Rewind Interlude
6. ticktack
7. Orphans
8. Roji
9. DRIFTIN'
10. 夜去
11. Wayang Park Banquet
12. Narcolepsy Driver
13. FALLIN'

イベント情報

『「Obscure Ride」Release TOUR』

2015年6月7日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24
料金:前売3,800円

2015年6月9日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:岩手県 盛岡 Change WAVE
料金:前売3,800円

2015年6月10日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:宮城県 仙台 darwin
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月13日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月14日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:石川県 金沢 AZ
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月18日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:兵庫県 神戸 VARIT
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月20日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:京都府 MUSE
料金:前売3,800円(ドリンク別)
※チケットは完売

2015年6月21日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:香川県 高松 DIME
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月23日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:熊本県 Django
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月24日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:鹿児島県 SR HALL
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月26日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:長崎県 Studio Do!
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月27日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:福岡県 BEAT STATION
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月28日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年6月30日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:岡山県 YEBISU YA PRO
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年7月4日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 Diamond HALL
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2015年7月5日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪府 BIG CAT
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2015年7月12日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo
料金:前売4,000円(ドリンク別)

プロフィール

cero(せろ)

Contemporary Exotica Rock Orchestra 略してcero(セロ)。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる。2011年1月にリリースした1stアルバム『WORLD RECORD』は各地で好評を博し、現在もロングセールスを記録。2012年には2ndアルバム『My Lost City』をリリース。 2012年を代表する1枚との呼び声も高く各地で大絶賛、大好評を呼んだ。2013年12月に1st single+DVD『Yellow Magus』をリリース。2014年12月に2nd 両A面 Single『Orphans / 夜去』をリリースし、2014年12月21日、22日のEX-THEATER ROPPONGIでの2DAYSワンマンライブ『Wayang Paradise』も両日完売、大盛況にて終了。2015年1月より初のラジオレギュラー番組InterFM『Night Drifter』が放送開始となった。そんな中、まさに待望の3rd Album『Obscure Ride』を2015年5月27日にリリースする。さらには『FUJI ROCK 2015』にも出演が決定している。

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