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これぞ大人の遊び、ドラマ『植物男子ベランダー』の余裕を探る

これぞ大人の遊び、ドラマ『植物男子ベランダー』の余裕を探る

m.c;ShockBoots『Botanical』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望

NHK BSプレミアムの人気ドラマ『植物男子ベランダー』。いとうせいこうのエッセイをもとに、ベランダで植物を育てる「ベランダー」として生きる独身男の悲喜こもごもを描いたこのドラマは、しかし普通のドラマとはちょっと違う。

たとえば、主演の田口トモロヲはじめ個性的な出演陣によるドラマ本編には急にレオス・カラックスへのオマージュが出てきたり、Radioheadの曲がBGMと呼ぶにはあまりに大きく使われていたりする。そして何より、ドラマの流れとは無関係に唐突に始まるミニコーナー。中でも、2015年4~9月に放送された『植物男子ベランダー SEASON2』における「MC植物」は、ちょっと異様な存在感を放っていたコーナーだ。

同コーナーでは、映画『SR サイタマノラッパー』でMC MIGHTY役を演じていた奥野瑛太が、謎のラッパー「m.c;ShockBoots」として毎回ひとつの植物についてラップする。トラックもリリックも映像もやたら本格的で、ドラマの流れに一切関係ないにも関わらず番組のカラーを見事に象徴していたこのコーナー、気がつけばなんと、m.c;ShockBootsのデビュー作『Botanical』としてCD+DVD化されることとなった。そこで今回は、リリース記念に同番組監督の望月一扶、ラップ監修と楽曲制作を担当したP.O.Pの上鈴木伯周とさいとうりょうじ、そしてm.c;ShockBootsこと奥野瑛太に集まってもらい、この番組の魅力を大いに語ってもらった。四人のプロフェッショナルによる、「もの作りとヒップホップ、ときどき植物」なフリースタイル座談会、どうぞ。

なぜ僕に声がかかるのか、意味がわからないですよね(笑)。最初はただの飲みの誘いだと思って行ったら、開口一番にいきなり「植物でラップ……できるでしょ?」って言われて。(奥野)

―まず、『植物男子ベランダー』はどのようにして生まれたドラマなのか、望月さんから語っていただけますか?

望月:いとうせいこうさんが植物について書かれた『ボタニカル・ライフ 植物生活』『自己流園芸ベランダ派』という2つのエッセイ集を映像化しようという話が持ち上がったんです。せいこうさんは植物好きなんですよね。その2冊の他にも『PLANTED』という植物雑誌を作っていて、そこでは植物のことだけではなくて、植物にかこつけてファッションや食生活、音楽など、いろんなカルチャーのことを紹介しているんです。それが面白くて、この番組も、そうやっていろんなカルチャーがミクスチャーされたものにしたいと思いました。

『植物男子ベランダー』場面写真
『植物男子ベランダー』場面写真

―そこから「MC植物」のコーナーに繋がるんですね。

望月:そうなんです。ドラマの合間にコーナーを作ることを考えて、松尾スズキさんにエロい朗読をしてもらったりしたんですけど(笑)、SEASON 2ではもっと音楽要素を入れたいなと思ったんです。せいこうさんといえばヒップホップだし、「じゃあ、ラップだろう」ということになって、奥野くんに声をかけて。

奥野:でも、「ラップだろう」からなぜ僕に声がかかるのか、意味がわからないですよね(笑)。本業は役者、時々植木屋を手伝ってるだけの男ですから、ラッパーではないんですよ。でも、Twitterのダイレクトメッセージで望月さんから「ちょっと来れる?」っていきなり連絡がきて。最初はただの飲みの誘いだと思って行ったら、開口一番にいきなり「植物でラップ……できるでしょ?」って言われて。

左から:望月一扶、奥野瑛太
左から:望月一扶、奥野瑛太

一同:(爆笑)

奥野:もう、「できます」って言うしかなくて(苦笑)。

上鈴木:奥野は『SR サイタマノラッパー』にも出ていたからね。

望月:うん、それが大きかったんだよ。

奥野:「できます」って言ったものの、徐々に「ヤバいぞ」と思い始めて。ラップって、いろんな音楽に対する造詣の深い人が、自分のパーソナリティーを書くものだと思うんですよ。決してスキルだけじゃない。だから、ちゃんとラップの監修をしてくれる人と、トラックを作ってくれる人がいないとダメだと思ったんです。そこで、『サイタマノラッパー』でラップ監修をしてくれていた(上鈴木)伯周さんにお願いして。

上鈴木:「お願い」という感じでもなかったよ(笑)。奥野が急に俺のところに来て、「ラップをやることになったんですけど、不安なので手伝ってください」って。ラップだけじゃなくてトラックも必要だって言うから、「じゃあ、曲作っている(さいとう)りょうじも含めて、俺たちも望月さんたちと混ぜさせて」って言って、番組のスタッフさんたちに会わせてもらったんです。だから、最初は仕事っていう感じでもなかったよね?

さいとう:そうだね。超面白いクイズを出された感じだった。タイミング的に、P.O.PでNHKさんの子供番組のラップを担当させてもらっていたのもあったんですよ。その番組も無茶ぶりの多い番組なんですけど(笑)、それもノリノリでやっていたし、俺たちは「ヒップホップ界で無茶ぶりを受ける係」というか(笑)。「植物」というテーマが決まっているんだったら、この企画もいけるだろうという確信はありましたね。

左から:上鈴木伯周、さいとうりょうじ
左から:上鈴木伯周、さいとうりょうじ

―こういった形でテレビやCMに関わることに拒否反応を示すミュージシャンもいると思うのですが、P.O.Pはその点はかなり柔軟ですよね。

さいとう:むしろ、こっちの活動がメインだと思っています(笑)。俺たちは、自分が何者なのかを声高らかに言いたい欲求がないんですよ。P.O.Pは、ヒップホップを使ってヒップホップの敷居を下げるチームなんじゃないかな。子供もお年寄りも相手にするし、植物でも不動産屋でもラップにできる。そうやってヒップホップの敷居を下げて、生活のなかに入れていく活動が好きなんです。

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リリース情報

m.c;ShockBoots『Botanical』
m.c;ShockBoots
『Botanical』(CD+DVD)

2016年2月17日(水)発売
価格:2,700円(税込)
UVCA-3034

[CD]
1. BAOBAB UPSIDE-DOWN
2. SA・BO・TE・N
3. 柘榴 zakuro
4. take 竹
5. S.O.B.Aを打つよ feat. スベトラナK
6. enter the Kemushi feat. RUN K:mc
7. BAOBAB UPSIDE-DOWN(Without Vocal)
8. SA・BO・TE・N(Without Vocal)
9. 柘榴 zakuro(Without Vocal)
10. take 竹(Without Vocal)
11. S.O.B.Aを打つよ feat. スベトラナK(Without Vocal)
12. enter the Kemushi feat. RUN K:mc(Without Vocal)
[DVD]
1. BAOBAB UPSIDE-DOWN
2. SA・BO・TE・N
3. 柘榴 zakuro
4. take 竹
5. S.O.B.Aを打つよ feat. スベトラナK
6. enter the Kemushi feat. RUN K:mc
7. enter the Kemushi feat. RUN K:mc メイキング

イベント情報

『NHK BSプレミアム「植物男子ベランダー」presents「MC植物」m.c;ShockBoots「Botanical」発売記念スペシャルイベント』

2016年3月14日(月)START 19:00
会場:東京都 タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO
出演:
いとうせいこう
m.c;ShockBoots(奥野瑛太)
P.O.P
田口トモロヲ

『P.O.P ワンマンライブ ~360°Premium LIVE~ Once Again!!』

2016年3月25日(金)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 代官山LOOP
出演:P.O.P
ゲスト:
椎名純平
m.c;ShockBoots(奥野瑛太)
料金:前売3,400円 当日3,900円(共にドリンク別)

番組情報

『植物男子ベランダー SEASON3』

2016年4月からNHK BSプレミアムにて、第1第2木曜日23:15から放送予定

プロフィール

奥野瑛太
奥野瑛太(おくの えいた)

1986年2月10日生まれ、北海道出身。主な出演作は、『SR サイタマノラッパー』『SR サイタマノラッパー~ロードサイドの逃亡者~』(入江悠監督)、『クローズEXPLODE』(豊田利晃監督)、『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)、『TOKYO TRIBE』(園子温監督)、『ソレダケ/that`s it』(石井岳龍監督)、『ラブ&ピース』(園子温監督)、『セーラー服と機関銃~卒業~』(前田弘二監督)、『64-ロクヨン-』(瀬々敬久監督)。

望月一扶(もちづき かずほ)

テレコムスタッフ所属 ディレクター。『植物男子ベランダ―』構成、脚本、演出、選曲。『星新一ショートショート』で第37回国際エミー賞、コメディ部門グランプリ受賞。

P.O.P
P.O.P(ぴー おー ぴー)

双子MCの上鈴木兄弟とギタリストで作曲家の「スーパースター」さいとうりょうじを中心としたHIP HOPバンド。上鈴木兄弟は映画『SR サイタマノラッパー』シリーズ全編においてラップ監修・指導を担当。また、NHK Eテレ『ムジカ・ピッコリーノ』『シャキーン!!』や企業CMなど多数の楽曲制作・ラップ監修を務め、幅広い年代にラップを届けている。キーワードは「たのしいことばかりありますように」。ライブで観客にビールを配りまくるスタイルが話題。2015年12月2ndアルバム『おかあさんにきいてみないとわからない』発売。「双子 ビール」で検索してください。

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