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大森靖子×最果タヒ 「世界よ、人間のダメダメな部分を肯定しろ」

大森靖子×最果タヒ 「世界よ、人間のダメダメな部分を肯定しろ」

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』
インタビュー
小田部仁
構成:CINRA.NET編集部 撮影:菱沼勇夫

普通の人生を生きてきたから、自分のことを書くことに価値が感じられないんですよね。(最果)

―お二人ともご自身のことを「客観的」と認識した上でもの作りをするところが共通していますよね。

大森:私は他者を描かないと自分が入らないんです。自分のことを書くぞって思って作った歌なんて、気持ち悪くないですか? 「自分はこうだ」と歌っている曲を聴くと「知るか!」と思ってしまう。昔は勘違いされて、作品と人格を同一視されていましたけど、最近はさすがに少なくなりましたね。これだけ曲を書いたので、全部自分のことだったら「さすがに人格破綻してるでしょ」って(笑)。

最果:私も自分のことを書くことにそんなに価値が感じられません。だって普通の人生を生きてきたし、普通の話って面白くないじゃないですか。15歳の頃に書いていたブログも、大人に「自分にもそういう時期があったなあ」って感じてもらえたらと思っていましたし。

最果タヒ
最果タヒ

―「自分のことを表現したい」という欲求ではなく、お二人とも徹底的に「他者」を見ていると。その視点が徹底しているせいか、『かけがえのないマグマ』を読むと「大丈夫」って言われている気がするんですよね。大森さんが自分の成功例を上から示して「私がこうだから」と言うのではなくて、一人ひとりに対して「見てるよ」と言ってくれているような。

大森:それはメジャーに行ってから、私の仕事だと思ってやっています。それをわかってくれて、本にしてもらえたのは嬉しいですね。

最果:ここに書かれているのは大森さんの話なんだけれど、読んだ人が肯定されるようなものにしたいというか、大森さんの話が読んでいる人の話になるようなものを作りたいとうのはありました。

―それが、はじめに言った「バイブル」感というか、「生きてることを伝えたい」といったメッセージ性につながるわけですね。

大森:私は今まで、音楽で伝えられればそれでいいやと思っていたんですけど、本になってみてその広がりを見ていると、本じゃないと届かなかった場所があった。そこにいってくれたというのは本当に良かったですね。

大森靖子

ブログはわりと格好つけて書いていて、歌を作るときは「一番、本質のことをそのまま言っちゃう」ってことをやっている。(大森)

―間もなくリリースされる大森さんのニューアルバム『TOKYO BLACK HOLE』に同梱されたエッセイでは、大森さんがご自身の出産について200ページにわたって書かれていますよね。このエッセイを読んで、最果さんはいかがでしたか?

最果:もともと大森さんのブログがとても好きで、文体の生っぽさが心地いいんです。普通、人って整理整頓して書こうとするんですけど、それが全然ない。言葉そのものが生々しくて、奥のほうまで浸透してくる感じが今回のものにも共通してある気がしました。

大森:ありがとうございます。でも実は、ブログはわりと格好つけて書いていて、歌を作るときは「一番、本質のことをそのまま言っちゃう」ってことをやっているんです。でも、歌だけだとなかなかわかってもらえないから、どうにかこうにかブログで説明するってことをやっていて。今回のエッセイは「出産の記録」と言われるんですけど、実際のところ、妊娠や出産に関係していることははじめと終わりぐらいしか書いてないんですよね。体が動けなかったからその間の記録的な意味合いで、だからもっと日常のことを書いてる。書いたら書いたで、自分の考えが整理できたところはありましたけど。

最果:私もことさら妊娠や出産というベクトルに興味を持ったというよりは、大森さんの日常での思考回路を辿れたのが面白かった。もともと、人が日常について書いている文章を読むのが好きなんです。人は自分の人生しか生きられないじゃないですか? でも、文章を読む醍醐味って自分の人生に枝葉をつけるようなものだと思っているので。

最果タヒ

大森:そういう意味では、今mixiが面白いですよ。ライブの感想が知りたくてネットで検索するんですけど、もはや私のライブの感想とかではなくて、会場に行くまでの道中のこととか、そこで見たものとかをどう感じたかを書いてあるのが今のmixi。

最果:私も昔はよく、見られることを全く前提にしていないような女子高生のブログとかが好きで読んでましたね。誰かを説得しようとしていない、独り言の延長線上で書いてるもののほうが面白いんですよ。今はみんな、見られることに意識的になりすぎているような気はします。面白いなって思う文章の人って、ネットに馴染んでないんですよね。

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リリース情報

{作品名など}
大森靖子
『TOKYO BLACK HOLE』穴盤(CD+DVD)

2016年3月23日(水)発売
価格:5,184円(税込)
AVCD-93389/B

[CD]
1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画
[DVD]
1. “生kill the time 4 you、、♡”PV
2. “生kill the time 4 you、、♡”メイキング
3. “TOKYO BLACK HOLE”PV
4. “TOKYO BLACK HOLE”メイキング
5. 洗脳ツアーおふとん靖子ちゃん
6. 息子カメラ
7. マジックミラー(新宿降臨ver.)
8. 愛してる.com(●ver.)
※200ページ書き下ろしエッセイ、朝井リョウによる解説付き

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』黒盤
大森靖子 『TOKYO BLACK HOLE』黒盤(CD+DVD)

2016年3月23日(水)発売
価格:4,104円(税込)
AVCD-93390/B

[CD]
1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画
[DVD]
1. “生kill the time 4 you、、♡”PV
2. “生kill the time 4 you、、♡”メイキング
3. “TOKYO BLACK HOLE”PV
4. “TOKYO BLACK HOLE”メイキング
5. 洗脳ツアーおふとん靖子ちゃん
6. 息子カメラ
7. マジックミラー(新宿降臨ver.)
8. 愛してる.com(●ver.)

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』東京盤
大森靖子
『TOKYO BLACK HOLE』東京盤(CD)

2016年3月23日(水)発売
価格:3,024円(税込)
AVCD-93391

1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画

リリース情報

{作品名など}
『かけがえのないマグマ 大森靖子激白』

2016年1月30日(土)発売
価格:1,512円(税込)
発行:毎日新聞出版

プロフィール

大森靖子
大森靖子(おおもり せいこ)

1987年9月18日生まれ、愛媛県松山市出身のシンガーソングライター。武蔵野美術大学卒。大学進学をきっかけに上京し、高円寺を拠点として活動。弾き語りを基本スタイルに活動する、新少女世代言葉の魔術師。2014年9月のシングル『きゅるきゅる』でメジャーデビュー。2016年3月にアルバム『TOKYO BLACK HOLE』をリリース。

最果タヒ
最果タヒ(さいはて たひ)

詩人・小説家。1986年生まれ。『第44回現代詩手帖賞』『第13回中原中也賞』受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(新潮社)。『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)で『第33回現代詩花椿賞』受賞。小説に『渦森今日子は宇宙に期待しない。』(新潮社)などがある。今春に新詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトルモア)が発売予定。

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