満島ひかりが自ら「本性」暴く 島尾敏雄&ミホ原作の映画『海辺の生と死』

映画『海辺の生と死』が7月から東京・テアトル新宿ほか全国で順次公開される。

自身の戦争体験をもとにした島尾敏雄の小説『島の果て』と、島尾敏雄の妻・島尾ミホが敏雄との出会いなどを綴った『海辺の生と死』の2作品を原作に、2人をモデルにした男女が出会って結ばれるまでの時間を描く同作。第二次世界大戦末期の奄美群島・加計呂麻島を舞台に、島に駐屯してきた海軍特攻艇の隊長・朔と、国民学校の教師・トエの物語が描かれる。

トエ役を演じるのは満島ひかり。満島は劇中で奄美民謡の歌唱にも挑戦しており、歌唱指導をUAとのコラボレーションも行なう朝崎郁恵が担当した。メガホンを取ったのは、映画『アレノ』で監督デビューを果たした越川道夫。

自身のルーツが奄美大島にあるという満島は撮影を振り返り、「この脚本と共に、私自身の本性を自らあばいてやろうと思いました。なんにせよ、一生抱えていかなきゃいけない作品になったと思います」とコメントしている。

満島ひかりのコメント

撮影中、楽しめたことも、できなくて悔しかったこともいっぱいあったけど、奄美のすごさを感じる日々でした。
私のルーツは奄美大島にあります。おばあちゃんから聞いていた海や空や生き物たちの話、アダンの木の下でのロマンの話、戦争中に「あにーあにー」と叫びながら飛行機を追いかけた話。おとぎ話のような本当のことが、この「海辺の生と死」には狂おしいほど描かれていました。この脚本と共に、私自身の本性を自らあばいてやろうと思いました。なんにせよ、一生抱えていかなきゃいけない作品になったと思います。

越川道夫監督のコメント

若い頃から大切に読んできた島尾ミホさんと島尾敏雄さんの作品を、まさか自分で映画にする日がくることになるとは思ってもみませんでした。奄美群島で撮影されるこの映画の主演に満島ひかりさんを迎えることができたのも、とても幸福なことでした。満島さんは、島尾ミホさんをモデルにしたトエを演じ、彼女の戦時中の恋とその時代を、激しく狂おしいまでに駆け抜けていきました。ぼくたちは、島の人々を、島に繫る木々を、島の歌を、海を、満島さんが歌えばその歌声と呼び交すように鳴き始める鳥たちを愛し、彼らと共にこの映画を作りました。それをこの映画から感じていただけたならば、こんなに嬉しいことはありません。

作品情報

『海辺の生と死』

2017年7月からテアトル新宿ほか全国順次公開
監督・脚本:越川道夫 原作:島尾ミホ『海辺の生と死』(中公文庫)、島尾敏雄『島の果て』ほか 出演: 満島ひかり ほか 上映時間:155分 配給:フルモテルモ/スターサンズ
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