1960年代に「ミニスカートの女王」として一世を風靡したモデル・ツイッギーの半生を描いた映画『ツイッギー』が、日本で公開される。
日本語版予告編のナレーションを務めるのが、ツイッギーが大好きで影響を受けたというアーティスト・木村カエラだ。
細身のモデルが珍しかった当時の常識を打ち破り、型にはまらないスタイルで道を切り拓いたツイッギーの姿に、木村自身も「やっぱり自分のままでいいんだなと思えた」と語る。
中性的なかっこよさやかわいさを求めること、自分らしさ。木村カエラが語る、憧れのツイッギーとの共通点や「新しい自分に出会い続ける」人生のテーマについて、たっぷりと話を聞いた。
『ツイッギー』予告編ナレーションを自ら立候補
―世界的に注目されていたモデル・ツイッギーについて、以前からロールモデルにしているくらい大好きとおっしゃっていましたよね。今回、映画の予告編のナレーションを務めることになった経緯や、感想を教えてください。
木村カエラ(以下、木村):以前から、ツイッギーさんのInstagramをフォローしていて、あるとき、彼女の半生を描いた映画がイギリスで公開されることを知りました。
ただ、そのときはまだ日本公開に関する情報は入ってこなくて。日本で公開するなら絶対に関わりたいと思っていました。
だから日本公開がなにも決まっていない時期に、「私に宣伝隊長をやらせて!」ってマネージャーさんにお願いしちゃいました。結果、本当に素敵な予告編が完成しました。
木村カエラ(きむら かえら)。東京都出身のアーティスト。レギュラー出演していた音楽番組『saku saku』の企画で、2004年にシングル“Level 42”でメジャーデビュー。2005年発表の“リルラ リルハ”がボーダフォン(現ソフトバンク)のCMソングとなり話題になる。2009年に“Butterfly”を発表し、結婚情報誌『ゼクシィ』のCMソングとなる。2013年、自身が代表を努めるプライベートレーベルELAを設立。2023年にはサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』で国民プロデューサー代表を務めるなど、幅広く活動している。
デビュー22周年を迎える2026年6月23日(火)ビルボードライブ横浜公演を皮切りに3都市を回るビルボードライブツアー開催決定。
―ツイッギーのことは、いつ頃好きになったんですか?
木村:18歳〜19歳の頃からです。彼女の妖精みたいで中性的なかわいさにすごく惹かれました。でも、映画を観るまで当時彼女が考えていたことは知らなくて。
映画を観て、たとえやったことのないことでも、そして他人に何を言われても自分の力で成功させて、自分の人生を歩んできた姿を知りました。本当に心の強い女性だし、私の価値観と似ているところもたくさんあって、「だから私は彼女のことが好きになったんだな」とあらためて実感しました。
ツイッギー
―とくに価値観が似ていると思う部分はどんなところでしょうか?
木村:私は笑うことが好きなんですけど、映画を観て、ツイッギーさんも「いつも笑っていて、人生を楽しんでいるな」と思いました。彼女も私も、笑うことの力を知っているというか。
映画のなかでも、「成功したと思う?」という質問を投げかけられたときに、彼女の答えは「成功はしてないと思うけど、とにかく楽しかった」って。そんなふうに言えるの、かっこよくないですか?
私も「楽しむ」をモットーに活動していますが、楽しむって難しいことでもあるから、「そんないつも笑ってられないよ」という気持ちも、わかる。でも、音楽を通して私が救われたように私も多くの人に笑顔を届けたい。だからいつも笑っています。
ツイッギー
テーマは「新しい自分に出会い続ける」悔しさや葛藤のあった“Level42”と“Buttefly”
―映画のなかでは、ツイッギーは当時の当たり前とは違うスタイルのモデルだったことから、「違う」ことを周囲から強調されるようなシーンも多くありました。木村さんも、以前のインタビューで、デビュー曲“Level42”について、「女性アーティストが10年続けるのは難しい」と言われたことをきっかけに歌詞を書いたとおっしゃっていましたね。
木村:私はもともとカットモデルや読者モデルをやっていて、そうした活動を「歌うこと」につなげるために頑張っていたけど、「どうせモデルでしょ」とか「歌詞書いたところで全然説得力ないんだよ」とか、本当にいろいろなことを言われたんです。
正直「くそ!」って思いましたけど、いま壊さないとこの先も立ちふさがる壁だと思ったから、投げかけられた言葉や直面する困難を、チャンスととらえてどう乗り越えるか考えることが一番大事だなと思って。
私の人生のテーマが、「新しい自分に出会い続ける」で、壁を壊して壊して、その先にある新しい自分に出会い続けることが私にとって楽しいんです。
木村カエラのデビュー曲“Level42”(2004年)。当時出演していたテレビ番組『sakusaku』の企画でインディーズからリリースされ、枚数限定で販売されたが、3分で完売。翌月にメジャーデビューを果たした。
―そうしてできた“Level42”が、すごくポジティブな曲なのも良いですね。
木村:最終的には<必ずたどりつけるはず><思ってるよりよくなるから>みたいな、すごく前向きな歌詞ですけど、最初はすごくネガティブに書いていました。「世の中何も楽しくないよ」とか、それくらいの。
「まずいな」って思うくらいネガティブだったので、みんなに聴いてもらうために変換しなくちゃいけない。この曲に限らず、私は歌詞を作るときネガティブからポジティブに変換して作ることが多いです。昔の曲は、変換しそびれた曲もあるんですけどね(笑)。でもそういうのも、人間っぽくていいと思います。
―“Butterfly”が人気になったときは、自分のやりたいことと周囲から求められることの乖離に悩んでいたときもあったそうですね。
木村:もともと、パンクロックのバンドからデビューしていて、そのジャンルが大好きなので、自分のなかで一番優しい言葉で書いたこの曲が受け入れられて、「木村カエラ=“Butterfly”」というイメージがついてしまうことに抵抗を感じていて。
正直、それを受け入れるのには、すごい時間がかかった。でも、たくさんの人が結婚式に使ってくれて、「“Butterfly”を聴くと結婚式思い出す」と言ってくれる人がいまでも本当にたくさんいるんですよ。それってとても素敵なことじゃないですか。だからいまは、「人生のなかで一番の大きな功績だったかもしれない」とまで思ってます。
“Butterfly”(2009年)。親友の結婚式のために書き下ろした曲で、ゼクシィのCMソングにも起用された。
木村:こうやって受け入れられるようになると、今度は世間のイメージと違う自分を見せることはいいことなのか? と葛藤してくわけです。でも、もともと「いい子」じゃないしなって、最近「自分」が戻ってきた気がしてます。
なのでこのタイミングでツイッギーの映画を観られて本当に良かった。紆余曲折ありながら生きてるけど、迷いながらも、「私はやっぱり私だ」って思ったときに出会えたから。
「私の本物」を見つける。あふれる情報に、無理に順応しなくていい
―ツイッギーの中性的なかわいさに惹かれたとおっしゃっていましたが、木村さんもベリーショートやモヒカンヘアなどをされてきました。「女性」という枠にとらわれないファッションや中性的なスタイルにこだわりがあるのでしょうか?
木村:あります! 自然と中性的でかっこいいものを求めているんですよね。
というのも、私は背が低くて、グラマラスな体型でもない。自分がかっこ良く、かわいくなる方法を追求していったら、中性的なものに辿り着きました。性格的にもすごく女性らしいものはあまり得意じゃないし、そういう表現がぴったりだと思いました。
―いまでこそそういった表現をする人は珍しくないですが、当時はかなり珍しかったのではないでしょうか?
木村:そうですね。当時、モヒカンにしたりとか、髪色を変えている人とか、あまりいなかった気がします。
だから私が「私」を100%出すことで、「そのままでいいんだよ」と伝えようとしていた部分もあったので。それは私だけがやってきたことではなくて、いろいろなアーティストが訴えてきて、変わってきていますよね。
木村:一方で、「何が普通で何が変わっているのか」の境界線がなくなってきているから、表現者は難しい時代になったともいえます。みんな個性を出せるようになってきたから、たとえば私がいま坊主にしても、誰も驚かないだろうし。
だからこそ、自分自身が楽しんで、内面の美しさを出していくことがより必要になってきたなと感じていて。「この人楽しんでいるな、輝いているな」と思われる人間になりたいかな。「これが私の本物」って胸を張って言えるような人間になりたい!
―木村さんが思う「本物」ってなんでしょうか?
木村:いろいろな情報が目に入って、それらを全部自分のなかに入れよう、と前はしていたんですけど、どう頑張っても自分のフィルターを通らないものもある。自分のなかにはない世界観もすごく素敵だと思うけど、「自分はこれだ」と思うものを見つけたら、無理に順応しなくてもいいんじゃないかなって感じたんです。
誰かと比べたり、自分が情けなく見えてかっこつけたりしてしまうときもあったけど、「自分がわかっている自分」がいれば、それでいいんじゃないかなって。
―「自分がわかっている自分」や個性を見つけるのは、なかなか難しいですよね。
木村:私もこれまで20年間活動してきて、歌詞が全然浮かばないことが2回ほどあったんです。もう、何も生まれない、何も出てこないみたいな状態。
それって、つまり自分の個性も見失っているときだと思っていて、そこで私が見つけた答えは、直感に向き合うということ。
たとえば「ここ行きたいとか、「いま水が飲みたい」とか、小さいことでもいいから自分の心に出てきた言葉、つまり直感に従うんです。
そうすると、自分に嘘をつかなくなってくるから、自分が率直に考えていることが出やすくなってくるんです。それを、訓練のように繰り返す。個性を出すということは、訓練なんだと思います。
自分のペースで、自分の好きなように生きる。そして、ツイッギーのように、成功よりも自分自身の人生を大切にする。その軸をもって人と関わっていけば、間違いないんだと思います。
- 作品情報
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『ツイッギー』
4月24日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
出演:ツイッギー / ダスティン・ホフマン / ブルック・シールズ / ポール・マッカートニー / ステラ・マッカートニー / シエナ・ミラー
監督:サディ・フロスト
製作:サイモン・ジョーンズ ニック・ハムソン
原題:TWIGGY
日本語字幕:クアーク亮子
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- プロフィール
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- 木村カエラ (きむら かえら)
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東京都出身のアーティスト。レギュラー出演していた音楽番組『saku saku』の企画で、2004年にシングル“Level 42”でメジャーデビュー。2005年発表の“リルラ リルハ”がボーダフォン(現ソフトバンク)のCMソングとなり話題になる。2009年に“Butterfly”を発表し、結婚情報誌『ゼクシィ』のCMソングとなる。2013年、自身が代表を努めるプライベートレーベルELAを設立。2023年にはサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』で国民プロデューサー代表を務めるなど、幅広く活動している。
デビュー22周年を迎える2026年6月23日(火)ビルボードライブ横浜公演を皮切りに3都市を回るビルボードライブツアー開催決定。
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