SixTONESの個性と冒険心、そして泥臭さ 初フルアルバム『1ST』

ジャニーズ事務所の6人組アイドルグループ・SixTONES。2015年に結成され、昨年1月にYOSHIKI(X JAPAN)のプロデュースによって華々しくデビューした彼らは、個人でもドラマやバラエティで活躍を見せ、年末の『NHK紅白歌合戦』まで2020年という特殊な1年間を存分に駆け抜けた。

新しい年の始まりとともに発表された『1ST』は、その名の通りSixTONESの1stアルバム。CDデビューから1年が経過した6人が完成させた作品には、シングル曲で見せた激しくエモーショナルな印象にとどまらない多様なジャンルの楽曲が揃った。本稿ではこれまでもメンバーに取材経験のあるライター・阿刀 “DA” 大志のテキストによって、グループの人間的な魅力にも触れながら、SixTONESの名刺がわりの一作となる『1ST』の持つ妙味を探る。

ジャニーズという枠にも、ジャンルの枠にもとらわれない。やりたいように音楽を楽しむ

SixTONESの1stフルアルバム『1ST』が素晴らしい出来だ。世界を視野に入れた志の高いポップスアルバムとして仕上がっている。

まずなによりも目を引くのは、ベスト盤かと思うほどの楽曲のよさ。ジャニーズという枠にもジャンルの枠にもとらわれず、自分たちがやりたい音楽をやりたいように楽しんでいる姿が痛快だ。自分たちで楽曲制作を行わないグループの場合、どのようにアルバム制作を進めているのか気になる人も多いかもしれないが、SixTONESの場合は、これまでのカップリング曲などもスタッフが集めた候補曲の中からメンバー6人で話し合いながらセレクトしていた。そんななかで、メンバーの音楽の趣味がバラバラだということも面白い。

ロックが好きな京本大我、トロピカルハウスなど海外のトレンドに敏感な森本慎太郎、ヒップホップに傾倒し、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『SixTONESのオールナイトニッポン サタデースペシャル』で即興ラップを披露することもある田中樹など、よくぞこれでグループが成立しているなと驚くほどの多様さ。しかし、この共通点の無さがSixTONESの音楽性を豊かにしているのは確かだ。今作はラウドロックなオープニングナンバー“ST”をはじめ、EDM、ヒップホップ、R&B、ピアノロック、王道バラードなど、メンバーの趣味全開の楽曲がズラリと揃った。

SixTONES『1ST』収録曲ダイジェストムービー

SixTONESの6人は良質な楽曲に対する感覚が非常に鋭く、冒険心が強い。『1ST』は13曲収録の通常盤、15曲収録の「初回盤A:原石盤」、13曲収録の「初回盤B:音色盤」とそれぞれ3~5曲収録内容が異なり、3形態をトータルすると21曲が収められているのだが、似たような楽曲がひとつもなく、トラックのセンスも光る。

「原石盤」に収められている、ジャニーズJr.時代に発表した5曲も興味深い。SixTONESとして2015年に初めて披露したオリジナル楽曲“この星のHIKARI”は、このアルバムに収まるには若干爽やかすぎるように感じるが、“BE CRAZY”(2015年発表)、“"Laugh" In the LIFE”(2019年発表)と楽曲を重ねていくうちに今のスタイルへと徐々に接近し、K-POPの影響を感じさせる“RAM-PAM-PAM”(2019年発表)で文句のつけようのないキラーチューンへとたどり着く。これは音楽的な経験と年齢を重ねていく中で、試行錯誤しながら獲得したものなのだろう。まだ音源化されていない楽曲もあるようなので、そちらも聴いてみたいところだ。

SixTONES“"Laugh" In the LIFE”ライブ映像

多彩な収録曲に宿る、SixTONESの音楽的な志とは?

これまでに彼らは『Imitation Rain』『NAVIGATOR』『NEW ERA』という3枚のヒットシングルをリリースしているが、これらはあくまでもSixTONESへの入り口で、彼らの肝はアルバム曲にあると思う。

全形態共通で収録されている曲からいくつかピックアップすると、軽やかに跳ねるピアノフレーズが印象的で、どことなくサム・ヘンショウ(ロンドンを拠点に活動するソウルシンガー)を思わせる“Coffee & Cream”や、全編にわたって大胆にオートチューンを効かせたEDMソング“Dance All Night”など、アイドルである彼らをともすれば色眼鏡で見ている音楽ファンも唸らせるであろう楽曲が揃う。

さらに特筆したいのは“Lifetime”だ。リズム楽器は使わず、ストリングスとピアノをメインにメロディのよさと6人のハーモニーの妙で聞かせる極上のバラードに仕上がっており、おそらくこの曲を聴くだけでもSixTONESが従来のJ-POPとは違う音楽を志向していることがわかるはず。6人は今、世の中でどんな音楽が求められていて、SixTONESとしてどんな歌を歌いたいのかということを感覚的にわかっているのだろう。そんな彼らが集めたのが『1ST』に収められている楽曲なのである。かと言って、肩肘を張っているわけではない。あくまでも彼らは「これ、いい曲でしょ?」と我々に対して無邪気に提示しているのだ。

YOSHIKIがプロデュースしたSixTONESのデビュー曲“Imitation Rain“

デビュー前から海外進出を視野にいれた活動を行ってきた。作曲家陣も多国籍だが原点は見失わない

『1ST』にはひとつ予想外だったことがある。SixTONESはジャニーズJr.時代の2018年にYouTubeが世界で展開している「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに抜擢され、2019年にはジャニーズ所属の単体グループとしては初となるYouTubeチャンネルを開設し、積極的な動画配信を継続している。ほかにもInstagramで英語を交えた積極的な発信をするなど、海外進出を視野に入れた活動が特徴だ。こういった姿勢から推測して、『1ST』は世界中から様々な国の作家陣が参加する多国籍な内容になると予想していた。結果的にその予想は半分当たりで、半分外れであった。

確かに、今作の収録曲は日本のみならず、オランダ、スウェーデンといった国々のクリエイターが手掛けているが、彼らは以前からジャニーズとつながりのある人物ばかり。SixTONESは、自分たちがジャニーズのアイドルであることに誇りを持ち、ジャニーズの音楽に理解のある作家陣による楽曲をピックしていたのである。どれもエッジの効いたプロダクションだが、6人は自分たちの原点を決して見失ってはいないのだ。

互いへのリスペクトとグループへの愛情によってこそ完成された『1ST』

『1ST』という作品が生まれた理由を解き明かすには、音楽面だけでなく、彼らの経歴にも触れておく必要があるだろう。

まず、SixTONESはドラマ出演のために集結したのちに別々の活動をしていた6人が自主的に集まり、その後2015年に結成されたグループ。そして、メンバー全員が過去になんらかの挫折を経験している。2019年のデビューまでの道のりは決して順風満帆ではなく、メンバーによっては「別にデビューなんてしなくてもいいんじゃないか」とひねくれていたこともあったという。一見すると、華々しくデビューしたように見えるが、実は全員が「これでダメなら事務所を辞めよう」というくらいの、背水の陣の覚悟でこのグループと向き合っていた。

そんなふうに泥臭く這い上がってきた彼らだからこそ、今作のリードトラック“ST”の歌詞が響く。ラウドロックに乗せて歌われるのはこんな歌詞だ。

<時に期待から逃げて 時に言葉呑み込んで 何か失ってきたのだろうか>
<もはや満身創痍でゴールしたとして そんなんで満たされる それしきの理想なのか>

この歌詞を説得力をもって歌い届けることができるアイドルはなかなかいない。SixTONESのような人間性むき出しのグループは非常に新鮮だ。しばらく彼らの動向を追っていると、6人が深い絆でつながっていることに気づく。その関係性は前述したアルバム制作における楽曲セレクトにも大きな影響を与えていて、たとえ自分の趣味ではないサウンドだとしてもSixTONESとしてアリならば受け入れるというスタイルで成立している。そう考えると、この作品は各メンバーに対するリスペクトとSixTONESへの愛情なくしては完成しなかったとも言える。

SixTONES『1ST』のリード曲で、オープニングトラックである“ST”MV

『1ST』は本当に素晴らしい作品だ。従来のファンだけにとどまらず、これまで他のジャニーズグループの音楽に触れてこなかったリスナーにも鮮烈なインパクトを残すことは間違いない。個人的には、2021年の年間ベスト級の1枚として挙げられるくらいの可能性を秘めた内容だと思っている。しかも、これはまだ彼らの1stアルバム。これからの成長を考えると、期待するなというほうが難しい。SixTONESの音楽が世界を揺らす日を楽しみに待ちたい。

リリース情報
SixTONES
『1ST』初回盤A:原石盤(CD+DVD)

2021年1月6日(水)発売
価格:3,960円(税込)
SECJ-16/7

[CD]
1. ST
2. NAVIGATOR
3. Special Order
4. NEW ERA
5. Curtain Call
6. Dance All Night
7. S.I.X
8. Coffee & Cream
9. Imitation Rain
10. Lifetime
11. この星のHIKARI
12. BE CRAZY
13. "Laugh" In the LIFE
14. Rollin'
15. RAM-PAM-PAM

[DVD]
・ST -Music Video
・ST -Music Video Making
・ST -Music Video Solo Angle-

※ボックス仕様

SixTONES
『1ST』初回盤B:音色盤(CD+DVD)

2021年1月6日(水)発売
価格:3,960円(税込)
SECJ-18/9

[CD]
1. ST
2. NAVIGATOR
3. Special Order
4. NEW ERA
5. Curtain Call
6. Dance All Night
7. S.I.X
8. Coffee & Cream
9. Imitation Rain
10. Lifetime
11. EXTRA VIP (Jesse × Juri Tanaka)
12. My Hometown (Yugo Kochi × Shintaro Morimoto)
13. ってあなた (Taiga Kyomoto × Hokuto Matsumura)

[DVD]
・EXTRA VIP -Music Video
・My Hometown -Music Video
・ってあなた -Music Video-

※ボックス仕様

SixTONES
『1ST』通常版(CD+DVD)

2021年1月6日(水)発売
価格:3,300円(税込)
SECJ-20

1. ST
2. NAVIGATOR
3. Special Order
4. NEW ERA
5. Curtain Call
6. Dance All Night
7. S.I.X
8. Coffee & Cream
9. Imitation Rain
10. Lifetime
11. うやむや
12. Mad Love
13. Telephone 1ST ver.

※スリーブケース、フォトブック20P付属

プロフィール
SixTONES (すとーんず)

2015年結成、ジャニーズJr.時代の2018年、ジャニーズグループ初となるYouTube 公式アーティストチャンネルを開設し、海外では数億回の再生回数を誇るアーティストを起用している「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに「ジャニーズをデジタルに放つ新世代」というキャッチコピーのもと日本人初として大抜擢される。YOSHIKI(X JAPAN) プロデュースの壮大なロックバラード「Imitation Rain」をデビュー曲として2020年1月22日にCDデビュー。史上初の「デビューシングル初週ミリオン」を発売からわずか3日で達成、「初週売上枚数」132.8 万枚を記録し、男性アーティスト歴代 1 位となる記録を樹立。2枚目のシングルとなる「NAVIGATOR」はフジテレビ “ノイタミナ”『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のオープニングテーマに起用。3枚目「NEW ERA」は読売テレビ・日本テレビ系 TV アニメ『半妖の夜伹姫』のオープニングテーマに起用され、アニメの世界観を最大限表現する楽曲となっている。そして2021年、新年の幕開けと共に、待望のファーストアルバム「1ST」をリリース。

フィードバック 1

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • SixTONESの個性と冒険心、そして泥臭さ 初フルアルバム『1ST』

Special Feature

Habitable World──これからの「文化的な生活」

気候変動や環境破壊の進行によって、人間の暮らしや生態系が脅威に晒されているなか、これからの「文化的な生活」のあり方とはどういうものなのだろうか?
すでに行動している人々に学びながら、これからの暮らしを考える。

記事一覧へ

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて