「人情味とオープンな姿勢がある福岡」-DJ iSOPに聞く、福岡のクラブシーンの今

福岡と言えば、豊富な食文化だけではなく、ファッションをはじめ、若者のカルチャーが豊かな街。なかでも、多くのミュージシャンを輩出していることで知られる福岡は、音楽とは切っても切れない街である。「福岡は良い意味でフレンドリー。お客さんとの関係もフラットというか。パーティーをしようというノリが強いなって。僕はそういうノリが好きですね」と語るのは、福岡在住のDJ iSOP(イソップ)。ROCK DJとしてキャリアをスタートさせたのち、ジャンルに捉われない異色かつ自由なプレイスタイルで、様々なコンテストで名を広めている。世界最大のベースミュージックとサウンドシステムのフェスティバル「OUTLOOK FESTIVAL」の香港でのパーティーへの出演も果たした。福岡ローカルのパーティーシーンから世界的なコンテストへの出場まで、幅広く活躍するDJ iSOPが語る、“福岡的”音楽シーンの楽しみ方とは?

本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

福岡でやっているからこそ、「今」があると思う

-iSOPさん、出身は福岡じゃないんですよね?

DJ iSOP:実家は長崎なんですが、東京の大学を卒業してから、父が福岡に単身赴任していたのでそのまま福岡に移り住みました。最初は全く知らない土地ですし、友達もいないので、ネットで面白そうなイベントがないか調べるところからはじめて。

- そもそもDJはいつ頃から始めたんですか?

DJ iSOP:東京の大学に通っていたころ、友達がDJだったんですよね。僕も音楽が好きだったので、友達のイベントに遊びに行ったことがきっかけでDJをやってみようかなと。当時はコテコテのROCKやPUNKがメインで、不定期にイベントもやったりしてたんです。

- それで、福岡に移住したと。

DJ iSOP:はい。福岡で初めて行ったイベントが、親不孝のクラブ『Kieth Flack』で当時やっていたWHOOOOP!というROCKのイベントでした。そのオーガナイザーが同い年だったこともあり、一緒にイベントをやったり、福岡でDJする機会も少しづつ増えてきて。福岡を拠点に、全国でのクラブイベントにも出演させてもらえるようになってきました。

- 福岡を拠点にキャリアを積んでいることは、iSOPさんの今のスタイルに影響していますか?

DJ iSOP:福岡にいることが強みでもあるし、福岡に支えられている、っていう気持ちも強いです。それは、福岡に根付いている「人情味」や「オープンな姿勢」というローカルな要素が強いと思うんです。今までのパーティーで色々な人と繋がったことは、今のスタイルにすごく影響していますし、福岡でやってきたからこそ、「今」があるんだと思います。

“良いものは良い”から、こだわりつつ、こだわらない。

- iSOPさんのDJスタイルは、ベースが効いたダンスミュージックが特徴かと思いますが、今のプレイスタイルへのこだわりなどはありますか?

DJ iSOP:心がけていることはもちろん毎回あるんですけど、なんて言うかな……あまり囚われずにやっています。ジャンルも然り、曲調や速さも結構コロコロ変えるし。「こだわらないことにこだわってる」というか。今、ベースミュージックとか、クラブミュージックを選曲することが多いけど、僕の中ではROCKをやってるつもりなんです。ROCK DJとして始めたこともあって、やっぱり根っこがちゃんとしていないといけない気がして。ベースミュージックっていう大きな括りでやってはいますけど、こだわりつつ、こだわらない、いわば雑食なんです。

- そのスタイルこそが、iSOPさんらしさなんでしょうね。

DJ iSOP:先輩だから、後輩だから、とか関係なく、客観的に僕のことを見てくれる人の意見は素直に聞こうと思っています。音楽に関してもジャンルで線を引くとかないから、とりあえず聞いてカッコイイなら吸収する。後輩のDJがかけてた曲がカッコよかったら、普通に聞きにいって帰ってから調べる。僕も、今の誰ですか? とか聞かれたら嬉しいですし。そういう泥臭いことが好きなんですよね。

-福岡にはたくさんDJがいますもんね。

DJ iSOP:そうですね。もちろん尊敬してるDJもいっぱいいますが、憧れっていう目で見ちゃいけないんじゃないかなっていう気持ちがあって。憧れてしまったら、スタイルが寄ってしまうじゃないですか。敢えてDJに関しては、尊敬しつつも憧れは持たないよう意識はしています。

福岡は“パーティーをしよう”というノリが強い。

ー今、iSOPさんが面白いと思っている福岡のイベントはなんでしょうか?

DJ iSOP:今は僕も所属している「Steamwork」が主催するクラブイベント「SteamParty」はやっぱり刺激になりますね。直感でカッコイイ! と思ったものをやっているだけなので。それが実現できているので、ジャンルは違えど、今カッコイイ人たちをベストなタイミングで観ることができるパーティーだと思います。

- iSOPさんから見て、福岡のクラブシーンの特徴ってどういうところでしょうか?

DJ iSOP:県外のゲストからもよく言われますが、お酒を飲む文化があるからか、「パーティーしよう!」っていうノリが強い(笑)。あと、福岡は良い意味でフレンドリーで、お客さんとの関係もフラットだと思います。人情味があって温かいから、お客さん同士でもすぐ打ち解けたりする。だから、県外の方でも関係なく迎え入れる雰囲気が出来上がっているのかな、とも思います。DJがウケ狙わずに尖った選曲をしていても、雰囲気はアットホーム。そういう感じです。

- 福岡は、フラットでアットホーム。では、逆に東京や大阪と比べての違いはあったりしますか?

DJ iSOP:東京に行くときは、渋谷から青山行って、代官山行って、恵比寿行って、みたいな感じで遊ぶんですが、やっぱり移動が大変なんですよ(笑)。その点、福岡は親不孝を中心にクラブが密集しているので、そこに行けば目的に応じた遊び場がある。全部揃ってると思うんですよね。REGGAEもあれば、HIP HOPもあるし、EDMやHOUSEもROCKも。それぞれのクラブも色が濃くて、それぞれのイベントに特色があって、それぞれのイベントにかける想いも強い。それがいいですよね。

福岡を拠点にどんどん外に出て行きたい

- 今は、福岡から世界に向けても活動されていますが、先日は、OUTLOOK FESTIVAL 2016 HONG KONG LOUNCH PARTYにも出演されましたね。

DJ iSOP:いやぁ、香港はすごかったですね。ノリが(笑)。僕がやってる音楽ってイギリスの音楽が多いから、雰囲気も何もかも本場でやってる感覚がありました(注:香港は1997年までイギリス領)。海外でのDJは初めてだったんですけど、土地柄か、現地は時間も本当にルーズでしたね。リハーサルが1、2時間遅れたりとか(笑)。でも、ロケーションもいい感じだったので、それはそれでゆるく楽しめました。

- 今後の活動予定などは決まっているのでしょうか?

DJ iSOP:今は曲を作っていきたいというのが一番ですね。あとは、DJや音楽シーンだけじゃなくても、例えばファッションやアートと絡めた活動だったり。僕らしく捉われずに、福岡を拠点に色々なところと面白い絡み方をしていきたいです。直近では、6月11日(土)に親不孝のクラブ『KIETH FLACK』で開催される「STEAM PARTY×りんご音楽祭」に出演します。

- 長野県で開催されている野外音楽フェスとのコラボイベントですね。今後も福岡を拠点として、色々と仕掛けていきたいと。

DJ iSOP:そうですね。今はなんでも東京中心ではなくなってきているし、飛行機も安くなっているじゃないですか。自分の楽しみ方として、福岡を拠点に県外にどんどん行ったりする方が面白いなと思っています。まぁ、単純に福岡が好きっていうのはあるんですけどね。

-最後に、iSOPさんが思う、福岡のクラブシーン全体に思うことはありますか?

DJ iSOP:福岡には、僕の周りの先輩後輩含めて、カッコイイ人達がいっぱいいるんです。そういう本当にカッコイイ人たちが、国内外を飛び回って動いたら面白いと思うんです。もっと言うと、東京や大阪など県外からゲストを呼んでパーティーするだけじゃなく、福岡在住のメンバーだけで成り立つくらいにまで醸成すれば最高に面白くなってくると思いますね。

プロフィール
DJ iSOP
DJ iSOP (でぃーじぇいいそっぷ)

ロックDJとしてキャリアをスタートさせるも、ジャンルレスに楽曲をピックアップし、ベースが効いたダンスミュージックにブレンド、どんな現場にもフィットさせる独自のプレイスタイルを確立。2015年には、世界最大のベースミュージックフェスティバル「OUTLOOK FESTIVAL」が主宰するDJコンテスト“ROAD TO OUTLOOK JP 2015”において優勝を勝ち取り、“OUTLOOK FESTIVAL 2015 JAPAN LOUNCH PARTY”へ出場後、同フェスティバルの“HONG KONG LOUNCH PARTY”へも抜擢、“りんご音楽祭2015”への出演も果たす。小規模クラブからフェスティバルまで、幅広い現場で変わらずイレギュラーかつジャンルレスなダンスミュージックを提唱する。 今年4月より、福岡のFMラジオ局「LOVE FM」にて毎週火曜日に放送されている「STEAM RADIO(毎週火曜日20:00〜21:30)」にも出演中。

STEAM PARTY×りんご音楽祭
時間 : 19:00~
住所 : 福岡県福岡市中央区舞鶴1-8-28 マジックスクウェアビル
会場 : KIETH FLACK
入場料 : 前売2,000円 当日2,500円(共にドリンク別)
お問い合わせ : 092-762-7733


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