若さ、大胆、情熱的。今、香港で注目すべきフォトグラファー5人

歴史的も文化的にも常に変化し続け、多様な人々が行き交う香港。そんな都市が持つカオスな雰囲気は、そこで日々活動する若いフォトグラファーたちにも影響を与えています。 今回紹介する5名のフォトグラファーは、多様な経歴を持ち、撮影スタイルもそれぞれ違いますが、いずれも香港で生まれ育ち、自身が見て感じた香港のリアルな表情を写真に収めています。そんな彼らとその作品を通して、香港の「いま」の姿を見てみましょう。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

Ken Ngan - インパクトだけでない、ぬくもりを感じる不思議な写真

男性ファッションフォトグラファー、Ken Ngan(ケン・グァン)の作品は、見た瞬間、いつも言葉にできないインパクトを感じます。

一見、ファッションフォトらしからぬ日常的な背景。そのなかに個性が際立つモデルを配置し、力強くストレートに撮影した作品の数々。画面の協調性よりもインパクトを追求しているように見えますが、いっぽうで「奇抜さ」「美しさ」だけにとどまらない、ぬくもりのような不思議な魅力も感じさせます。

Kenは、香港理工大学でファッションデザインとビジュアルコミュニケーションデザインを専攻。卒業後はデザイナーではなくフォトグラファーとして、自らの表現をファッション業界に打ち出す決意を固めました。

1となりますが、すでに香港の老舗デパート『Lane Crawford』 、イギリスのファッション誌『i-D』などから長期にわたって仕事をしています。

グローバル企業のNikeとも長くコラボレーションしており、過去に担当したレディースアパレルプロジェクトのイメージカットでは、静的で無機質な香港の団地を背景に、動的で鮮やかなアスリートを配置。斬新な世界観を見せました。

現在は香港と北京に在住しつつ、両地から受けたインスピレーションをもとに、グローバルを意識した作品をつくり続けています。

プライベートな撮影でもファッションブランドの撮影でも、「写真はその瞬間のリアルを記録するもの」が、Ken Nganの信条。日常の物事から不意に生まれる瞬間を抑えるためにシャッターを切り続けています。

また、音楽からも大きなインスピレーションを受けており、アフリカテクノ、カントリーミュージック、ポップ、パンクなど、さまざまな音楽カルチャーの影響も感じさせます。

Leungmo - 遊び心のある「超現実的」な世界とは?

若手フォトグラファーLeungmo(リョンモ)の作品は、映画監督、ウェス・アンダーソンの作品を彷彿とさせるパステルカラー調のトーン、ファッションフォトグラファー、ティム・ウォーカーのおとぎ話のような世界観、さらにトランスジェンダーなど、社会の闇に隠れた人たちを写したフォトグラファー、ダイアン・アーバス(1923〜1971年)など、さまざまな作家からの影響を感じさせつつも、とても独創的で、どの作家のスタイルとも違った魅力を放っています。

Leungmoは香港城市大学クリエイティブメディア学院を卒業後、会社員として働く自分の姿が想像できず、フリーランスフォトグラファーとしての活動をスタートしました。

若さと型にはまらない個性、想像力を感じさせる彼女の作品は、王道のファッションフォトや日本的なスタイルの写真が主流の香港フォトシーンのなかでもかなり目立っており、20代の若さで資生堂、adidas、Lane Crawford、LOEWEなど、グローバルブランドとのコラボレーションを次々と実現させました。

モデルに独特なポーズを取らせたり、想像もつかない撮影道具を使ったり、奇想天外な世界観を提案する彼女の写真を、いま香港のファッションシーンで知らない人はいないでしょう。

フォトグラファーを志したきっかけはドキュメンタリーフォトということもあって、リアリティーの追求もLeungmoの作品の特徴。非現実的なフィクションと生々しいリアリティー。

彼女のレンズを通せば、日常生活のなかにある普通の人々や風景も、遊び心のある「超現実的」な作品に生まれ変わるのです。

Jeremy Cheung - Instagramでキャリアをスタートした新世代フォトグラファー

Jeremy Cheung(ジェレミー・チェン)は、フリーランスフォトグラファーとして活動する以前からInstagramで作品を発表しており、すでに数多くのフォロワーに注目されていました。

私がJeremyと出会ったきっかけもInstagram。自由な視点やユニークな感性が感じられる彼の写真を通じて、世界中のさまざまな景色を堪能してきましたが、やはり香港の日常的な風景を独自のアングルから切り取った写真に一番魅力を感じます。

Jeremyは写真についての専門的な教育を受けておらず、いまでも主にインターネット上で作品を発表している新世代のアーティストです。

しかしフリーランスフォトグラファーとしてデビューした途端、雑誌『ナショナルジオグラフィック』や、BMWが率いる建築ブランドMINI LIVING、ファッションブランドのCHANELなど、世界的な企業とのコラボレーションが実現。それらの作品は国際的なアワードやコンペティションでも認められました。

また、プライベートなプロジェクトでは、2018年に開催された個展『峽城浮生』が注目されました。高層ビルの多い香港の景色を群山や峡谷に見立て、その山々のなかに生きる人々にフォーカス。詩的な写真表現のなかにもユーモラスさが感じられる展覧会でした。

Jeremy Cheung
Instagram: https://www.instagram.com/rambler15/

Sharon Salad - 香港映画のリアルから生まれる、女性の「美」

Sharon Salad(シャロン・サラ)は、香港の映画業界で活躍する女性フォトグラファーの一人です。

映画業界は重い機材を扱うだけでなく現場もハードなため、男性スタッフが中心になりがちです。彼女も当初はイギリスでファッションフォトを勉強していましたが、映画への熱意が強く、香港に戻った後、ファッション業界ではなく映画業界に入りました。

フォトグラファーとして初めて関わった映画『桃さんのしあわせ(2011年)』では、事前に必ず台本を精読し、登場人物の性格や心境、そのシーンの意味を考えたうえでシャッターを切ったというSharon。それによって、まるで写真を通して映画の世界に入り込んだような、登場人物の感情がそのまま伝わってくるような写真が生まれています。

2作目『ミッドナイト・アフター(2014年)』でも、土砂降りの雨のシーンで、インパクトのあるカットを次々と抑えました。

Sharonは映画の写真以外に、旅先で撮影したフィルム写真もInstagramで発表しており、2014年には南極や色鮮やかなスペインの建築、南米の雄大な風景などを捉えた写真集『60 Days: Odyssey to the end of the world』を出版。

目の前に広がる景色をフィルムカメラで捉える際、露出、構図、色彩の操り方など、アナログだからこその不安定さ、不確定さが楽しいという彼女。だからこそ複写できない魅力を持った、Sharonだけの作品が生まれるのでしょう。

Sharon Salad
Instagram: https://www.instagram.com/saladd/

Topaz Leung - 異なる領域を「探検」し続けるフォトグラファー

Topaz Leung(トパーズ・リョン)は、ファッション、アート、ビジネスなど、さまざまな業界で活躍する女性フォトグラファー。最近は広告業界での仕事も手がけており、表現もますます多様になっています。

香港浸會大学コミュニケーション学部を卒業後、香港のローカルメディアで編集者となった彼女。その後、アーティストのMartin Cheung(マーティン・チェン)とフォトスタジオStudio TMを設立し、フォトグラファーとしての活動を開始しました。

彼女を指名するクライアントは、キャセイパシフィック航空やSONYなど。香港の俳優Shawn Yue(ショーン・ユー)のファッションブランド「MADNESS」は、TopazだけにLookBookの写真を依頼しています。

彼女の作風、スタイルは、常に留まらず、挑戦し続けること。クライアントとの仕事であっても、フィルムで撮った作品を現像時にわざと露出させるなど、冒険精神が常にあふれています。もちろんそれが許されるのは、クライアントから強く信頼されている証だともいえるでしょう。

また、もともと編集者だったというキャリアからなのか、彼女の作品からは、人と人の間にあるコミュニケーション、信頼というテーマも感じます。

被写体もまるで目の前にレンズが存在していないかのような自然な佇まいで、自信や迷いなどの感情も素直に伝わってくるよう。これこそがまさにTopazの特徴だといえるでしょう。



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