シンガポールならではのレトロな街並みがかわいい、ジャラン・ベサール(Jalan Besar)エリア紹介

ジャラン・ベサール(Jalan Besar)は、第一次世界大戦前(1914年)まで一面沼地だった場所。ラベンダー通りには畑が並び、近辺にある建物は、ゴム加工の工場かパイナップルの缶詰工場のみでした。そんな風景が、少しづつ姿を変え始めたのは第一次世界大戦後のことです。通りの名前は、戦争で名声を得た人の名に改名され、近年になって、現在のようなモダンな商業地帯へと変化していきました。そんな中、いまなお残り続けているのが、昔の風景を匂わす二階建てのショップハウス(お店と住宅が一軒に収まる建物)。古くから親しまれる建物と、新しい建築が入り混じるこの絶妙な風景こそが、ジャラン・ベサールの醍醐味と言えるかもしれません。そんなジャラン・ベサールのペタイン通りから散策スタートです。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

美しい街並みが残るペタン通り(Petain Road)

古くからある、絵に描いたような美しい建物が多く並ぶペタン通り。この通りの名前は、第一次世界大戦で活躍したフランスの軍人、アンリ・フィリップ・ペタンからきています。

このような美しい建物が一つのエリアに集結しているのは、1900年から1930年にかけてのゴムの需要が大きく影響しているのだそう。当時、ゴムのおかげで裕福になった人々は、自分たちの富を「自宅のデザインの緻密さ」として周りに見せつけていたといいます。そしてその多くの建物が、主にヨーロッパの建築を参考としており、このように美しい街並みとなったそうです。

ペタン通りの10〜44番地まで並ぶショップハウスは政府によって保存対象とされているため、いつ観光に来ても、その建築を楽しむことができます。外観は主に、中国風バロック様式となっており、壁にはヨーロッパや日本のタイルを使用、天井に見える石膏のレリーフ(浮き彫り細工)のデザインは鳥や花がメインのモチーフとして使われています。

シンガポールに特化したデザインが主であると思いきや、雨や日光を防ぐ家の庇(ひさし)には、マレー諸島を思わせる柄が見え隠れするところも特徴的。国際色が強いシンガポールならではのデザイン性とも言えるかもしれません。

もともとは、このエリアで働く人々のために営まれていたこれらのショップハウスですが、現在は、主に住宅として利用されていて、中には、ブライダルブティックが入っているものもあり、カメラを片手に探索するにはピッタリのエリアになっています。

外観からは想像も付かない、ヒップなコーヒーショップ『チャイセンヒュ・ハードウェア(Chye Seng Huat Hardware)』

ペタン通りを歩いた後は、『チャイセンヒュ・ハードウェア(Chye Seng Huat Hardware)』で、コーヒーブレイク。ここは当初、金属やハードウェアを専門とする会社であり、現在はスペシャルティコーヒーの調達と焙煎を専門とする「パパ・パルヘタ(Papa Palheta)」が運営するコーヒーショップとなっています。

『チャイセンヒュ・ハードウェア』は、保全されたアールデコが特徴的なショップハウス。中には、焙煎機、アイランドコーヒーバー、コーヒー学校、そしてプライベート試飲ルームが用意されています。焙煎所では、緑の豆がコーヒーとして注がれるまでの工程を見て学ぶことができ、科学的視点から見た「美味しいコーヒーの淹れ方」が伝授されるのだとか。本来備わっているコーヒーの味わいを引き出す方法もしっかり教えてくれるのは、嬉しいところです。

そんなコーヒーラバーをワクワクさせる『チャイセンヒュ・ハードウェア』に足を踏み入れると、ハッと目が覚めるようなコーヒーの香りに身を包まれます。最初に目につくのは、プロのバリスタが並ぶ「アイランドコーヒーバー」。金属やその他機材が溢れるこのエリアは、360度、どの角度からでもバリスタたちの作業を見ることができて、コーヒーファンにはたまらない光景が一面に広がっています。ここのコーヒーは、強い香りに濃い味わいが特徴的ですが、その日のバリスタによって微妙な味わいの違いを楽しむことができるでしょう。

またフードメニューでは、朝食にぴったりなものからメイン、サラダ、サイドにデザートまで揃い、種類も豊富。中でもオススメしたいのは、アメリカの朝食の定番であるパンケーキをシンガポール風に進化させた「Pandan Gula Melaka Pancake(パンダン・グラ・メラカ・パンケーキ)」。ココナッツと卵、パンダン(ポリネシアのタコノキ)で作った「カヤ」というジャムを二段重ねのふわふわパンケーキの間に塗り、上からパーム糖のグラ・メラカを垂らし、横にバニラアイスがトッピングされた一品。是非、ご賞味ください。

チャイセンヒュ・ハードウェア(Chye Seng Huat Hardware)
住所:150 Tyrwhitt Road, Singapore 207563
営業時間:火-木・日 9:00~22:00、金-土 9:00~24:00
定休日:月曜日
電話番号:6396-0609
URL:http://www.cshhcoffee.com/

お土産にもピッタリ! 陶芸品スタジオ兼ショップ『マッド・ロック・セラミックス(Mud Rock Ceramics)』

『チャイセンヒュ・ハードウェア』から徒歩10分ほどにある、『マッド・ロック・セラミックス(Mud Rock Ceramics)』は、4年前にオープンしたばかりの陶芸スタジオ兼ショップ。「昔ながらの工芸品を現代の人々に伝えたい」という意志のもと、シンガポール国内の素敵な陶芸品を揃えており、機能性の高い陶器を求める女性に人気のショップとなっています。

オーナーのNg Seok Harさんは、もともと芸術品を集めるのが大好きで、過去に東京の銀行で勤務していた頃に、空き時間に陶芸のクラスに通い始め、陶芸に興味を持ち始めたのだそう。すっかり陶芸に夢中になった彼女は、シンガポールに帰国するや否や、陶芸のプロの下につき、陶芸のスキルを磨き上げたのだとか。

一方で、もう1人のオーナーであるMichelle Limさんは、大学で美術を専攻し、陶芸を専門としており、卒業後は、オーストラリアの学校で陶芸の学位を取得。休暇中は休みもとらず、陶芸作りの過程をよりよく知るために、中国へと旅立ちました。そんな背景が異なる二人だからこそ、お互いに良い刺激を与えられているそうです。

本物へのこだわりと二人の個性をうまく調合させた『マッド・ロック・セラミックス』の陶芸は、ローカルな視点による美学やニーズを突き詰めた独自のスタイルで展開。いわば、彼女たち自身が育つ上で目にしてきたシンガポールの景色や情勢を陶芸品に反映させているのです。

そんなシンガポールの国民性が伺える陶芸品は、友達や家族にあげるお土産にもぴったり。そして陶芸品作りに興味がある方には嬉しい、ワークショップや陶芸クラスも随時開催。ウェブからご予約の上、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

マッド・ロック・セラミックス
住所:85 Maude Road, Singapore 208357
営業時間:陶芸品の購入・ワークショップの参加は事前予約
電話番号:6291-1186
Email:mudrockceramics@gmail.com
URL:http://www.mudrockceramics.com/
備考:スタジオでは年に2回(7月・12月)に余った陶芸品を販売します。

『ザ・ジェネラル・カンパニー(The General Company)』でものづくりを楽しむ

最後に紹介する『ザ・ジェネラル・カンパニー(The General Company)』は、2012年に設立された、シンガポールを拠点とするインディペンデント・ブティック・クラフトのエージェンシー。明確な趣旨を持って美しいデザインを生み出すものづくりを応援する会社です。

シンガポールでは、昔から職選びのポイントは給料とされており、国民の多くは弁護士や会計士、そして銀行勤めを志します。しかし、近年「ものづくり」が再び評価されるなか、趣味などに時間を費やすシンガポール人が増加し、中にはそのまま趣味を副業にする人まで見受けられるそう。

そういった人たちを応援するため、すでにあるものに頼らず、「自分流」のものづくりを好む人向けに、『ザ・ジェネラル・カンパニー』は様々な分野で活躍するローカルな職人たちとタッグを組み、ワークショップを開催しています。過去に開催されたワークショップでは、テラリウム作りからフラワーアレンジメント、木工業、革細工、と多岐に渡るものづくりが体験可能。

週末の過ごし方を考えているのなら、ローカルの職人たちの哲学に触れながら、ものづくりに励んでみるのもいいかもしれません。

ザ・ジェネラル・カンパニー(The General Company)
住所:115 King George’s Avenue, Singapore 208561
営業時間:ワークショップへの参加はウェブより事前予約
Email:hello@thegeneralco.sg
URL:http://thegeneralco.sg/
プロフィール
Alexis Toh
Alexis Toh

冒険心とチャレンジ精神を持つ、旅と食のブロガー。幼少の頃から両親と世界中を周り、現在も世界中を探索する。食のためなら世界中どこへでも旅をし、そのカロリーに変わって、記録(ブログ)を刻んでいく。



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