北九州の角打ち入門編。初心者や女性でも入りやすい角打ち紹介

北九州で言う「角打ち」とは、酒屋の店頭を借りてお酒を飲むこと。明治 34 年(1901年)に八幡製鐵所が開業し、三交代で働く労働者が多かった北九州では、昼夜問わず飲める場所が重宝され、角打ち文化が盛んになったと言われます。今、市内にある約550軒の酒屋のなかで、角打ちができるお店は実に130軒以上。晩酌代わりのサク飲みや、飲み会前の景気づけ、はたまた二次会、三次会にと、北九州の角打ちは、今なお多くの人に愛されています。 今回は、行ってみたいけど一見には敷居が高いなぁと感じている方のために、初心者でも入りやすいお店から、ちょっと勇気を出せばイケる!というお店まで、角打ち入門にオススメの4軒をご紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

かわいい女将さんの笑顔に会いに行く、老舗角打ち『平尾酒店』

JR小倉駅小倉城口から徒歩15分。飲食店がひしめく繁華街の一角にあるのが『平尾酒店』です。見た目は、こぢんまりとした昔ながらの酒屋さん。ガラガラガラと引き戸を開けると「いらっしゃい」と明るく響く声。すべすべの色白肌に完璧メイクの上品な女将さんが、カウンターで出迎えてくれます。

「何を飲みますか?」と女将さん。『平尾酒店』では、飲みたいお酒をセルフで冷蔵庫から出して飲みはじめるシステムで、お会計は空き瓶(缶)で計算してもらい、帰りにお支払いします。(このあたりのシステムはお店ごとに違うので、先客を見て行動するか、お店の人に聞いてみましょう!)

ビールや焼酎、日本酒などが、酒屋の販売価格で楽しめる角打ちは、のんべえには夢のような場所。「おつまみは何にしましょうか?おすすめはソーセージとたまねぎのサラダね」と言いながら、女将さんが手際よくよそってくれます。

「このお店は長いんですか?」と伺うと、「そうねぇ、わたしがするようになって55年になるのよ。今年市政55周年を迎えた北九州市と同い年のお店なんです」と笑顔で答えてくれました。

さて、人気のおつまみ「ソーセージとタマネギのサラダ」は、ボリューム満点で、なんと200円! マヨネーズと酢で和える、さっぱりとした簡単ドレッシングなんて、自宅でも真似したくなるおいしさ。「サラダの上に缶詰のシーチキンをのせると、オイルがからまって更においしくなるのよ」と女将さんからのアドバイス。これぞ究極のB級グルメです。

カウンターの反対側には、椅子に腰掛けて飲めるテーブル席もあり、夕方から夜にかけては、常連さんと一見さんが、相席になって賑わいます。「福岡(市)には負けるけど、北九州も面白いやろ~」なんて、県外からの旅行者を相手に、常連さんが話しかけることも。

こんな風に地元の人に混じってまちの空気を味わうことができるのも、角打ちの醍醐味のひとつ。とはいえお酒を飲み終えたら長居はせず、華麗に立ち去るのが粋というもの。さて2軒目に行ってみましょうか。

平尾酒店
住所:福岡県北九州市小倉北区紺屋町6-14
電話番号:093-521-3268
営業時間:12:00~21:00
定休日:日曜・祝日

【閉店】多目的に使えるガレージで飲む!広々とした駅近の角打ち『井手商店』

次にご紹介したいのが、JR小倉駅新幹線口から徒歩5分の好立地にある角打ち『井手商店』。ホテルやビルが立ち並ぶエリアの一角にある酒屋で、カウンターのほかに、併設のガレージでも飲めるのが特徴です。

こぢんまりとしたお店が多い北九州の角打ちの中でも、40人ほど入る広さと開放的な雰囲気が魅力。少人数ならカウンター、グループの場合はガレージがオススメです。ライブなどのイベントにも使用されるガレージの薄暗い蛍光灯の下で飲むお酒は、その場を共有する人々をたちまち親密にしてしまう不思議な力があります。

お店を切り盛りするのは御年80歳を超える大将と、数名のパートさん。昔は従業員が30人以上いる大きな酒屋だったそうですが、ディスカウント店が台頭し始めた25年ほど前に、酒販部門を縮小し、角打ちを始めたのだそうです。

「毎年やめようと思うんやけどねぇ、うちみたいな安く飲めるところがないと、あんたたちも困るやろう」なんて、冗談めかして憎まれ口を叩きながらも、焼酎の水割りを注文すると、ジョッキの半分くらいまで豪快に焼酎を注いでくれる、シャイで気前のいい方なのです。

焼酎の他にも、瓶ビール、日本酒、角打ちでは珍しい生ビール(予約制)もあり。棚の上にはキープボトルがズラリと並び、常連さんの多さを物語っています。

多くの角打ちが缶詰や乾き物のおつまみが中心な中、揚げ物や焼き物など居酒屋レベルに豊富なおつまみがあるのも人気の所以。なかでも揚げたてで提供されるコロッケや、オーダーと共に焼き場で温めなおしてくれるやきとり、冬季限定のおでんを肴に飲むお酒は最高でしょう。

お会計は最後に計算してもらう後払い。お酒もおつまみも料金は明示されていませんが、ひとり1,000円ほどあれば十分酔えますのでご安心を。

「このお店の名物?そりゃあ大将やね」と、同席した常連さんがそう言いながら、一升瓶をキープして帰っていきました。小倉のお父さん的存在の大将がいる『井出商店』、できるだけ長く続けて欲しいお店です。

【閉店】井手商店
住所:福岡県北九州市小倉北区浅野2-10-7
電話番号:093-521-6014
営業時間:11:00~22:00
定休日:日曜・祝日

まるで昭和にトリップ。門司港の路地裏に佇む『魚住酒店』

次に小倉を離れ、九州の玄関口門司港に足を伸ばしてみましょう。JR門司港駅から徒歩7分。北九州イチの観光エリア・門司港レトロに近い山手側の路地のまちに、『魚住酒店』はあります。

不動坂と呼ばれる坂の途中に佇むお店の外観は、まるで映画のセット。10人も入れば一杯になってしまう店内は、足を踏み入れた途端、昭和にトリップしてしまうレトロな空間です。

昭和20年頃に今の場所に移転してきて、現店主で3代目の老舗。土間の真ん中にカウンターがあり、奥には魚住家のリビングとキッチンが続いています。ご家族の暮らしが垣間見えるアットホームな雰囲気で、カウンターに立つと背中側にあるのはなんと家庭用冷蔵庫。ビールや酎ハイなどはここからセルフで取り、各々自由に飲み始めてOK。その他のお酒は、お客さんが来るとリビングから顔を出す、3代目や女将さんが用意してくれます。

日本酒は、升に収まったグラスにひたひたに注いでもらう盛りきりスタイル。なかでも、「天心』で知られる北九州の蔵元・溝上酒造とのコラボブランド「うおずみ』はここでしか味わえない地酒です。飲んで気に入ったらその場で買えるのも酒屋なればこそ。お土産に1本買っていくのもおススメです(4合瓶1,400円)。

ティッシュをお皿代わりにして、机の上に置いてある、駄菓子やゆでたまごなどを気の向くままに食べ、帰りにお会計をしてもらうシステム。おつまみは各種80円くらいで格安! まれに魚住家のおかずが出てくることがありますが「うちは飲食店やないからお金はいらんよ」と女将さんからのサービスも。

ここはあくまでも酒屋さん。特別なおもてなしを期待するのではなく、気ままに飲むのが正解。常連さんも一見さんも同じように、ほどよく放置してくれるのが心地いいのです。小さなお店なので入りづらいと感じるかもしれませんが、それも最初だけ。昔ながらの角打ち文化を存分に味わってくださいね。

魚住酒店
住所:福岡県北九州市門司区清滝4-2-35
電話番号:093-332-1122
営業時間:9:00~21:00
定休日:不定休

ワイングラスで乾杯! 角打ちスタイルの『日本酒Bar Awaya』

門司港を訪れたら、ぜひ立ち寄って欲しいお店があります。関門トンネル門司港入り口から山手に車で約3分(徒歩だと15分)の所にある、『酒の阿波屋』です。

創業70年。日本酒200種類以上、芋焼酎、ワインそれぞれ100種類以上が揃う老舗の酒屋で、全国の入手困難なお酒が手に入る人気店。その一角にオープンして2年になるのが、レアなお酒を角打ちスタイルで飲める『日本酒Bar Awaya』。日替りで約20種類のお酒を1杯200円からと、気軽に楽しむことができます。

角打ちを始めたのは3代目店主、阿波孝浩さん。取引先に飲食店が多く、お酒のメニュー構成などを手がけているうちに、自分でもやってみたいと、店舗を改装。営業日の15:00~22:00まで、酒屋をしながら自らカウンターに立っています。

目の前の大きな黒板にズラリと並ぶ本日のお酒たち。すべてのお酒にハーフサイズ(50ml)があるので、いろんな種類を少しずつ飲み比べができるのも魅力の1つ。お会計は、席に置かれたお椀の中にいくらか入れておき、注文のたびに精算してもらうキャッシュオンスタイル。予め予算を決めて飲むことができるので、調子にのって飲みすぎることがありません。

さらに、お酒の味をひきたてるおつまみのチョイスも秀逸で、全国よりすぐりの珍味から、定番の串揚げやシメの麺類(裏メニュー)まで、酒好きのツボをつきまくるラインナップはお見事。

取材当日オススメしていただいたお酒は、千葉県で300年続く日本酒の蔵元・飯沼本家の「甲子 無垢之酒(50ml/250円)」。ワイングラスに注がれたキリリと爽やかな純米吟醸に、人気のおつまみ「自家製奈良漬チーズ(400円)」を合わせると、これぞマリアージュと言いたくなるおいしさ。

「本当にうまい酒、本物の酒を飲んでもらいたい」と、全国の酒蔵に足繁く通う3代目。お酒にまつわるうんちくも面白く、背景を知って味わうと、さらにおいしさが増すというもの。気に入ったお酒はもちろん、その場で購入することも可能です。

また二代目の武夫さん(80歳!)が描く、店外、店内の賑やかな看板が、さらに気分を盛り上げてくれます。「日本酒の楽しさを売ります」という言葉の通り、確かに楽しい角打ちです。

酒の阿波屋 / 日本酒Bar Awaya
住所:福岡県北九州市門司区清見2丁目16-27
電話番号:093-321-3221
営業時間:11:00~22:00(角打ち15:00~22:00)
定休日:月曜・第2日曜


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