ソウルの伝統と今を五感で感じる、個性的なホテル&ゲストハウス

世界的な旅行ブームもあって、ソウルでもホテル以外に泊まる選択肢が増えてきました。たとえ短い滞在日数でも、せっかくなら普段の観光だけでは知ることができない、ソウルの魅力を体感したい。そんな旅人に向け、ソウルの小さいながらも個性がある4つのホテル&ゲストハウス を紹介します。
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※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

nook seoul

遡ること約80年前。ソウル駅にほど近い 厚岩洞(フアムドン)エリア周辺は日本人が多く住む町でした。今でこそ、この界隈もすっかり変わってしまいましたが、一部では当時の面影を残す建物に出会うことができます。

2015年7月にオープンした『nook seoul(ヌク ソウル)』は、1930年代に建てられた日本家屋を改築したホテル。オーナーであり空間・プロダクトデザイナーのイ・ホヨンさんは、この建物を見つけ一目惚れしたそうです。

たまたま散策していたら、路地裏から少し飛び出した建物が目に入って。前の家主はおばあさんだったんですが、話を聞いてみると元は日本人が住んでいた家だと聞いて興味が湧きました。再開発の続くソウルで80年以上の歴史を持つ建築に出合うのは難しい。歴史的な建築物を保存したいと思い、この家を手に入れました」と、イ・ホヨンさんは言います。

建物の老朽化にともない、鉄骨の支柱を入れたり外観を補強したりと改築作業は困難だったと言いますが、できる限り元の形を残すようにしたそう。そんな苦労の甲斐もあり、かつての日本家屋は伝統とモダンが交錯する、美しいホテルへと生まれ変わりました。

もともと最初はイ・ホヨンさん自身のアトリエとして使おうと思っていたそうですが、一緒にこのリノベーションに関わったソウル大学建築科のキム・スンヒ教授から「この空間は多くの方と共有したほうがいいのでは?」というアドバイスを受けました。それをきっかけに、「温故知新」というコンセプトで、1日1組限定のホテルを始めたのだそうです。

日本家屋らしいむき出しの土塀は、ガラスで覆いアート作品のように仕立てて、かつて梁があった柱の穴もそのままに。残せる部分は全て保存するようにと、以前の家主が使っていた洗濯板も一緒に残っています。

さらに空間とマッチするようにとインテリアも厳選。イ・ホヨンさんが、ニューヨーク留学時代から続けているという蚤の市めぐりで手に入れたピッチャーなど、世界各国を訪ねながら集めた骨董品もインテリアの一部となっています。

そんな『nook seoul』の魅力は、古いものが集まっているだけではありません。高級オーディオで知られるTivoliのラジオや北欧のインテリアHayの椅子といったプロダクトのほか、パク・チョンギやパク・ナムチョルの現代絵画にも出会え、ホテルさながら現代ミュージアムのような雰囲気が漂っています。

イ・ホヨンさんは、宿泊者には必ず30分ほどの挨拶と説明を行い、自ら建物の歴史やエピソードを解説してくれます。基本は、韓国語や英語での案内になりますが、ストーリーに耳を傾ければもっと建物に愛着が湧き、より思い出に残るステイになること間違いなし。

そんな『nook seoul』の最寄り駅、ソウル駅周辺は今年5月に開通した遊歩道の「ソウルロ7017」があります。さらに昔ながらの人情が残る『南大門(ナンデムン)市場』も徒歩圏内。古きものと新しきものが混在する街並みを散策しながら、味のあるソウルを満喫してください。

nook seoul
新住所:ソウル市龍山区 (ヨンサン区)ソウォルロ2ナギル6-2
電話番号:010-9366-2408
最寄り駅:ソウル駅
チェックイン/アウト:15:00/11:00
客室料金:平日 KRW170,000、週末 KRW190,000 (1組限定2人基準、最大4人まで宿泊可。1名追加ごとに+ KRW 30,000)
Webサイト:http://nookseoul.com/& airbnb にて予約可
Instagram:https://www.instagram.com/nookseoul/

創新基地CREATIVE HOUSE

鐘路(ソウルチョンノ)エリアの 昌信洞(チャンシンドン)。地名だけ聞くとソウルのどこかわからないかもしれませんが、 東大門(トンデムン)のすぐ隣街と聞いたらピンと来る人も多いのではないでしょうか。昌信洞はかつて縫製工場が集まっていたソウルの下町で、今でも当時の名残が感じられる場所です。

東大門駅5番出口から路地裏に入ってすぐの場所にある『創新基地CREATIVE HOUSE』は、1937年に建てられた古い韓屋(韓国の伝統家屋)をリノベーションして、2014年3月にオープンしたレンタルハウス。 設計は、再生プロジェクトを多く手がけるクリエイティブグループのZ-Labによるもので、韓屋の持つ構造美はそのままに、想像力が湧くような新しい空間へと生まれ変わりました。

扉を開けてまず目に入るのは、太陽の光が降り注ぐ大きな中庭。スペインのパティオのような造りの庭には、大きな露天風呂やBBQセットが用意されていて、ここでサムギョプサルを始めBBQを楽しむのも良いでしょう。

ちなみに「創新基地」はセルフチェックイン・システムを導入。airbnbから予約完了後、携帯のメッセージに、ナンバーキーの暗証番号が送られてきます。玄関の門を開ける時にこの番号が必要なので、控えを忘れずに。

中庭が見渡せる開放感のある室内は、人気ブランド「KAARE KLINT Furniture」のオーダーメイド家具で統一。ファブリックや照明も「kitty bunny pony」や「LIMAS」など韓国デザイン界で名を馳せるブランドのプロダクトをあつらえました。

そして合わせて、ステイ中に味わってほしいのが近所の下町グルメ。5番出口すぐにある『東門(トンムン)食堂」では、豆もやしがたっぷりのったコンナムルパプが、なんとKRW 3,000(約300円)で食べられます。

その隣のフライドチキン専門店では、1羽丸まんま揚げたてのチキンがKRW 4,000(約400円)で購入可能。テイクアウトもできるので、熱々を持ち帰って食べるのもオススメです。チキンとビールの組み合わせ「チメク(韓国語でチキンとビール)」は、ビールと枝豆の組み合わせくらい韓国ではポピュラーなので、一緒にビールの購入もお忘れなく。

また隣町の東大門には、世界的な女性建築家ザハ・ハディッドが手がけたことで知られる『東大門デザインプラザ(DDP)』を中心にショッピングビルが建ち並ぶので、宿泊の際は、是非足を運んでください。

創新基地CREATIVE HOUSE(창신기지 CREATIVE HOUSE)
新住所:ソウル市鍾路区 (ヨンサン区)チョンロ48ギル31
電話番号:0504-0904-2002
最寄り駅:東大門(トンデムン)駅
チェックイン/アウト:15:00/11:00
客室料金:2人利用KRW 250,000、4人利用KRW 300,000 (1日1組限定、最大4名まで)
Instagram:https://www.instagram.com/creativehous/

goi

民藝の父とも呼ばれる柳宗悦は、韓国の伝統的な工芸品や建物に宿る「素朴の美」を日本に伝えました。 嘉会洞(カフェドン)の路地裏に佇む『goi(ゴイ)』は、そんな昔ながらの韓国の伝統美と現代のミニマリズムが共存する、究極の韓屋ステイを楽しむことができます。

海外から訪れる友人たちにソウルを案内しても、伝統と現代の断面しか伝えられないことを残念に思っていた」というのは、オーナーのチョン・ジナさん。そこで「過去と現在が自然に繋がる」生活空間を作ろうと、古い韓屋をリノベーションし、2014年10月に韓屋ホテル『goi』がオープンしました。

このホテルのコンセプトは、「ソウル人のためのソウルの家」。昔ながらの生活が断絶せずに今のソウルにも続いていたら、といったイマジネーションを膨らませて作り上げたそう。

テレビやラジオなど余計なものが一切排除された室内には、アートに造詣の深いチョン・ジナさんが厳選した工芸品やプロダクトが置かれています。やきものの里・ ヨジュ(驪州)のトソンド窯の白磁や、竹工芸で有名な潭陽(タニャン)産の竹箸、新進気鋭の陶芸家による陶磁器のほか、ファブリックブランドのコフンのブランケットなど、インテリアにも、伝統と現代が交錯しています。

その他にも、目に見えない細かい部分にも気配りが。バスルームに用意されたオリジナルの石鹸やスプレーは、特別な香りを演出。また嘉会洞ステイを楽しんでもらおうとデスクの引き出しには周辺の美術館やギャラリーのパンフレットが用意されています。

嘉会洞があるのは、朝鮮王朝時代の貴族階級たちが邸宅を構えた 北村(プクチョン)エリアの中。昔ながらの韓屋が建ち並ぶソウルでも珍しい場所なので、滞在中はぜひ周辺散策を堪能してください。そして世界遺産の景福宮(キョンボックン)や昌徳宮(チャンドックン)をはじめ、国立現代美術館も徒歩圏内にあるので、そちらも合わせてどうぞ。

goi
新住所:ソウル市鍾路区 (チョンロ区)プクチョンロ11ギル13-12
電話番号:0504-0904-2002
最寄り駅:安国(アングク)駅
チェックイン/アウト:14:00/11:00
客室料金:KRW 220,000 (1組限定2人基準、最大2人まで宿泊可)
Webサイト:http://goiseoul.kr/goi.pdf
Instagram:https://www.instagram.com/goi_seoul/

Nagwonjang Hotel

益善洞(イクソンドン)は今、ソウルの中でホットなエリアの1つ。1920年代、狭い路地裏に面して庶民のために建てられた韓屋が集まる益善洞は、これまで脚光を浴びなかった場所でした。しかしここ数年、市内では見かけなくなったノスタルジックな風景が若者たちの注目を集め、韓屋を改築したカフェやレストラン、セレクトショップが次々とオープン。今では週末になると多くの若者であふれる場所に生まれ変わりました。

そんな個性的な益善洞の中で、一際目立つのが『Nagwonjang Hotel(ナグォンジャン ホテル)』。ここは80年代に建てられたモーテルをリノベーションしたブティックホテルで、2017年4月にオープンしました。

全18室の客室は全て清潔感が漂うシンプルなつくり。部屋の大きさは2〜3坪と小さめではありますが、窓が大きく設えられているので開放感があり、何と言っても一番の魅力は、益善洞一帯が客室の窓から見渡せること。約120戸の韓屋が密集する様子は圧巻で、韓屋街のすぐ隣には現代的なビルが建ち並び、部屋の窓から、伝統と現代が混じり合うソウルらしい風景が垣間見れます。

室内は余計なものは一切ない、レス・イズ・モアな空間となっており、テレビやラジオもなし。そんな部屋で唯一の現代的なプロダクトは、レコードプレイヤー。かたわらにはレイ・チャールズのレコードが添えられています。

1階はフロント兼カフェ、2階はブランチとディナーが楽しめるレストランが併設していて、宿泊以外の楽しみがあるのも嬉しいポイント。ホテルも1室1泊KRW60,000、特室でも1泊KRW70,000といった良心的な価格帯となっているので、週末はすぐに予約で埋まってしまうそうです。

ホテルを一歩出たら、街にはレストランやカフェ、セレクトショップがあるので、食事や遊びにも事欠きません。徒歩5分の場所には、韓国の伝統を感じることができる仁寺洞(インサドン)があります。なかでもアートやショップが集まる『サムジギル』は、お土産探しにぴったりのスポット。さらに徒歩圏内には、世界遺産の景福宮(キョンボックン)や昌徳宮(チャンドックン)もあるなど、ここを拠点に韓国の伝統を楽しむこともいいでしょう

Nagwonjang Hotel
新住所:ソウル市鍾路区 (チョンロ区)スピョロ28ギル25
電話番号:02-742-1920
最寄り駅:鍾路3街(チョンロサムガ)駅
チェックイン/アウト:16:00/11:00
客室料金:一般KRW 60,000、特室KRW 70,000/週末一般KRW 80,000、特室KRW 90,000 (最大2名まで)
予約方法:ホテルの予約サイト、airbnb、電話にて予約可
goi
住所 : ソウル特別市鐘路区北村路11キル13−12
電話番号 : 070-4116-8633
最寄り駅 : 安国駅
営業時間 : チェックイン/アウト:14:00/11:00
客室料金 : KRW220,000(2人まで宿泊可)
Webサイト : http://www.goiseoul.kr
Instagram : http://www.instagram.com/goi_seoul/
nookseoul
新住所 : ソウル特別市龍山区ソウォルロ2ナギル6−2
旧住所 : ソウル特別市龍山区厚岩洞439−3
チェックイン/アウト : 15:00/11:00
客室料金 : 平日KRW170,000、週末KRW190,000(1組2人基準、最大4人まで。1名追加ごとにKRW30,000)
電話番号 : 010-8284-2886
最寄り駅 : ソウル駅
Webサイト:http://nookseoul.com/またはairbnbにて予約可能
Instagram:http://www.instagram.com/nookseoul/


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