ロックの宇宙船 avengers in sci-fiインタビュー

自らのバンド名に付けた「sci-fi = SF」という言葉そのままに、独自の近未来的ダンスロック・サウンドを完成させた3ピースバンド「avengers in sci-fi」。間もなくセカンドアルバム『SCIENCE ROCK』をリリースし、年末恒例の大型イベント『COUNTDOWN JAPAN 08/09』やASIAN KUNG-FU GENERATIONのツアーへの出演が決定するなど大舞台へ飛び立とうとしている彼らに、新作やこれからの展望について伺った。

自分達のストライクゾーンにがっちりはまるものを自分達で作らなきゃと思うようになりました

―アベンジャーズはどんな風に活動を始めたんですか?

木幡:稲見と僕が高校の同級生で、最初は普通にコピーバンドから始まって。THE BLUE HARTSとかthee michelle gun elephantとか、Hi-STANDARDとかやってましたね。

稲見:エアジャム周辺のメロディック・パンクをよくやってて、オリジナル曲をやり始める手前はREACHのコピーをやることが多かったんですよ。REACHってメロコアからどんどん変化してエフェクターを多用してたから、コピーするのにエフェクターが必要になってきて。

―それが今のアベンジャーズのエフェクティブなサウンドにつながってるんですね。

ロックの宇宙船 avengers in sci-fiインタビュー

木幡:でも最初のオリジナルはもう本当どメロコアって感じだった(笑)。確かに最初はREACHっていう完全な雛形があったけど、REACHもREACHで変化していくから自分達の中でど真ん中ストライクっていうものがなくなっちゃって。だから、自分達のストライクゾーンにがっちりはまるものを自分達で作らなきゃと思うようになりましたね。

―アベンジャーズの音楽はロックですけど、クラブ・ミュージックの影響も感じ取れますよね。打ち込み系の音楽もよく聴いていたんですか?

木幡:世代的に打ち込み=小室哲哉みたいな感じだったから、打ち込みってもともと大嫌いで(笑)。そういう“時代のモノ”とは違うものを求めて聴いたのがNIRVANAで、そういうところからギターを弾き始めたりしてるから、シンセが鳴ってる音楽は一切聴かなかったかな。

―でも、いまはシンセ使ってますよね(笑)。

木幡:さっき話したREACHもそうだし、自分の感性に合致するものがなくなっていく過程で、自分も違うものを聴いてみようかなっていう気になる。そういうときにUnderworldとかThe Chemical Brothersとか聴いたりしたんです。あとはまあ、WRENCHの影響が意外とデカイですね。

―ダンサブルなところに魅かれたんですか?

木幡:そうですね。あとは質感がゴリゴリしてるところもありつつ、ギターがエフェクティブでスペイシーな感じがして。もともとスペイシーな感じのものが好きだったんで。

―スペイシーといえば、今回のジャケットデザインはPink Floyd『狂気』へのオマージュになっていますよね。以前は「Atom Heart Mother」(Pink Floydのアルバム名)をバンド名にしていたこともあったり、かなりのPink Floyd好きなんですか?

木幡:曲は意外と好きじゃないんですけどね(笑)。なんか、Pink Floydっていう存在にちょっと魅かれるっていう。神秘性みたいな。

―世界観がデカさはアベンジャーズも共通してる部分じゃないですか?

木幡:何を作るにも、コンセプチュアルにしたいって気持ちがあるんですよ。「avengers in sci-fi」っていう名前で音楽をやるからにはバンド名と音がリンクしてたいし。

前はカッコつけててクールな部分があったけど、今回は熱い感情を恥ずかしがらずにやりたくて

―アルバムを作る時は、何か具体的なコンセプトを考えているんですか?

木幡:具体的なコンセプトがあるわけじゃないけど、一応、「西暦3000年の宇宙を舞台にした歌詞」っていうことになってるんですけど(笑)。

―まさにSFですね(笑)。

木幡:まあ俺らみたいな音楽で、「机にきみの名前が書いてある」みたいな歌詞がのってるのは違うと思ってるし。やっぱり全部をリンクさせたいんですよ。ジャケットもそうだし、歌詞もそうだし、メロディ、音、全部。トータルなイメージがあるのが理想だと常々思ってるんです。

―歌詞はまだ考えつくかもしれないですけど、「バンド名に合ったサウンド」というのは難題だったと思うんです。でもアベンジャーズは結構早くから自分たちのサウンドを完成させていましたね。

木幡:どうだったかな。でも、結構突然変えた気がしますね。最初の頃は今よりもっとサイケデリックな感じだったというか。

ロックの宇宙船 avengers in sci-fiインタビュー

―特に今回のセカンドアルバムは、いい意味でポップ度が増してますね。

木幡:そう、そこは結構意識した部分ですね。ファーストアルバムも十分ポップだと思って作ってたんですけど、今聴き直してみると全然ポップじゃねえなあと。レビューとかを見ても、自分達が思ってるほどポップに捉えられてなくて。そんなにズレがあるんだったら、いくらでも好きなことやれるなって開き直った感じはあります。

―「好きなこと」というと?

木幡:前作はエレクトロニックな質感にしたかったから緻密な作業をして作り上げたけど、その結果ライブで演奏しても爆発しなくて。だから今回はもっとパンクなアルバムにしたかったんですよ。粗くてもいいから、1発の爆発力みたいなのをアルバムにしたいっていう。

長谷川:それもあって、ファーストはライブじゃ再現できないくらい音を重ねた曲も多かったけど、今回はライブで全曲できるような作りになってると思いますね。

―緻密で知的な感じより、バンドの熱さが際立ってますもんね。

木幡:そうですね。前はカッコつけててクールな部分があったけど、今回は熱い感情を恥ずかしがらずにやりたくて。前作から2年経ってやりたいことも変わっていて、ウィスパーボイスでじゃなくて、デカイ声出してボーカルがガツンと来る感じにもしたかったんです。

ロックの宇宙船 avengers in sci-fiインタビュー

稲見:もともとコピーしてたバンドもパンクが多かったし、自分たちの根源にはそういう部分があるんだと思う。

木幡:だからファーストの頃が特異な時期だったのかもしれない。あの頃と違って今回ははまってるCDもなかったし、聴くものがないから自分たちのスタジオ録音を延々と聴いてて。そういう状況で作ったアルバムだから、もっと素に近いものっていうか、自分達の引き出しの中からどんどん出せたって感じがしますね。

―じゃあ、これまでで一番自分達らしさが出ているアルバムですか?

木幡:ファーストよりは絶対こっちの方が素に近い。前のアルバムは自分にインプットしたばかりのものを出してたけど、今回は奥の方に閉まってあるものから、入れたばっかりものから、全部出してる感じはしますね。

―アベンジャーズはレコーディングが結構大変そうですね。

稲見:今回は特にボーカルっすね。

長谷川:増えたからね、前回より。歌まではスムーズにいったんですけど。

稲見:僕と木幡それぞれが4本ずつ重ねてるから、大変でした…。

―前作に比べてドラムもすごく良くなってると思いました。

長谷川:やっぱり相当鍛えられてはいますね。前作から色んな要望を伝えられて、体力的にハードな要求もあったりなかったり。

稲見:俺らリズム隊はかなり体力勝負。

打ち込み使って同じ音が出るなら 音楽としての価値に全然違いはないと思うんで

―3人だけであのサウンドを鳴らしているっていうのは、やっぱり驚きです。それぞれの負担は大きいんでしょうね。

木幡:「このサウンドを3人で」っていうのはよく驚かれるけど、そんなことを全面に押し出すつもりはないんですよね。それだけに特化しちゃうと色モノみたいだし、打ち込み使って同じ音が出るなら音楽としての価値に全然違いはないと思うんで。打ち込みでやればいいことを人力でやるっていうのはただの大道芸だから。

―確かにそうですね。でも、エフェクターをいつ何を踏むか覚えてるだけでもすごいなあと思いますけど。

木幡:まあその練習も。

稲見:そうそう(笑)。曲の繋ぎの練習とかが大変なんですけどね。チャンネルを何秒で変えられるかが勝負で。

―曲と曲の間に、「ちょっとセッティングするから待ってください」とは言えない?(笑)

稲見:そうなんですよ。その空気って超気まずいですもん。

―そこまでして生演奏にこだわるのはどうしてですか?

ロックの宇宙船 avengers in sci-fiインタビュー

木幡:打ち込みじゃ出せない質感があると思ってるんですよ。今回はシンセも結構つかったけど、やっぱりシンセの音ってエッジがない。ギターの方が生々しいっていうか、空気感があるんですよね。それに、打ち込みに合わせて演奏するっていう状況が俺には信じられない(笑)。何で合うのかわからないんですよ。

―打ち込みでリズムが一定していると出せないグルーヴがありますもんね。

木幡:そうそう。聴いてる方もテンション上がってくれば心拍数とかテンポが上がってくると思うし、演奏してる方のテンションが上がってテンポが走っちゃったとしたら、むしろそっちの方が人間としては自然なんじゃないかなって。

―アベンジャーズのお客さん、結構テンション高いですよね。

稲見:まだまだ、モッシュさせたりしたい(笑)。

―ライブでもお客さんを煽ることも増えたんじゃないですか?

稲見:まあ最近ですね。そういうのも必要なのかなって。理想はまあ、自分のプレイ見て勝手に熱くなってくれたら一番いいですけど。

木幡:自分たちが楽しんでるのを見せるのはやっぱり重要かなと。演奏側がつまんなそうだなって思っちゃったら、お客さんも楽しみづらいしね。

―そういう経験は結構多いです。

稲見:自分たちも昔はかなり後ろ向きだった気がするんですよね。なんか内にこもってるっていうか。でも今はどんどんお客さんに向かっていけるようになったと思います。

―アルバムリリース後はツアーですよね。

稲見:そうですね。ファーストの時はthe band apartのツアーに同行したくらいだったから、本気のツアーは初めてです。

―みんなで色んなところにツアーしに行くのはやっぱり楽しいんですか?

稲見:そうですね、現実逃避…、旅みたいな感じで(笑)。ツアーって、昔はあんまり好きじゃなかったんですよ。でも今はツアーで地方行くのは楽しいし好きになりましたね。

―昔は何で好きじゃなかったんですか?

稲見:まあまだ無名でお客さんが少なかったりするのもあったり。

木幡:でも、2~3人が踊り狂ってるっていうのが一番熱いよね(笑)。

一同:(笑)。

稲見:とにかく盛り上げたいですね。楽しんでもらえるようなライブをしたいと思います。

リリース情報
avengers in sci-fi
『SCIENCE ROCK』
2008年11月5日発売
価格:2,500円(税込)
HKP-018 K-PLAN

1. Homosapiens Experience (Save Our Rock Episode.1)
2. Save Our Rock
3. Ibiza Sunset
4. Sci-Fi Age Riot
5. Starmine Sister
6. Heartbeat Satellite (S.O.S From Sci-Fi Planet .A)
7. Space Diamond (S.O.S From Sci-Fi Planet .B)
8. Minneapolis
9. Beats For Jealous Pluto
10. Science Action
11. Itsuka_Mata_Ucyu_No_Dokoka_De.

イベント情報
2nd album『SCIENCE ROCK』 release live
『ACCESS ALL UNIVERSE TOUR』

2009年1月23日(金)
会場:京都WHOOPEE'S

2009年1月25日(日)
会場:岡山CRAZY MAMA 2nd ROOM

2009年1月27日(火)
会場:熊本Drum Be-9

2009年1月28日(水)
会場:福岡Drum Be-1

2009年1月30日(金)
会場:広島ナミキジャンクション

2009年1月31日(土)
会場:松山SALON KITTY

2009年2月1日(日)
会場:徳島CROWBAR

2009年2月7日(土)
会場:宇都宮HEAVENS ROCK

2009年2月8日(日)
会場:熊谷HEAVENS ROCK

2009年2月11日(水)
会場:札幌mole

2009年2月13日(金)
会場:新潟CLUB JUNK BOX mini

2009年2月14日(土)
会場:郡山CLUB #9

2009年2月15日(日)
会場:仙台MACANA

2009年2月20日(金)
会場:名古屋APOLLO THEATER

2009年2月21日(土)
会場:大阪ファンダンゴ

2009年2月22日(日)
会場:神戸BLUEPORT

プロフィール
avengers in sci-fi

神奈川県内の高校の同級生だった二人に長谷川が加わり、2002年頃からavengers in sci-fiとして活動開始。2004年にミニアルバム「avengers in sci-fi」、2006年に1stフルアルバム『avenger strikes back』をリリース。

2008年にはライブ会場限定シングル『PLANET ROCK_CD』の発売をはさみ2ndフルアルバム『SCIENCE ROCK』がリリースされる。ポップでありながら3ピースの概念にとらわれないサウンドを基本に、様々な音楽要素を吸収したスタイルは「ロックの宇宙船」と評される。ちなみに「アヴェンジャーズ・イン・サイファイ」と読む。

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