「自分自身」に苦しみ続けるUna、それでも棘の道を行くのか

「自信」というやつは厄介な代物である。「自分を信じる」と書くくせに、自信がつくのは「自分が満足するものができて」、さらに「それが人から認められたとき」だったりする。「自信」をうまく扱える人は、生きることに相当手練れた強者なのではないだろうか。中田ヤスタカやきゃりーぱみゅぱみゅを擁するASOBISYSTEMに所属し、原宿を代表するトップモデルとして、そしてアーティストとして活躍するUnaは、「ずっと自信がない人」だ。華やかなキャリア、クールでスタイリッシュなビジュアルのイメージとは裏腹に、彼女は21年間、「自信のなさ」が原因で他人とうまくコミュニケーションがとれずに悩んできた。そんなUnaに、今の心境を赤裸々に語ってもらったのが以下のインタビューである。同じように新しい世界に飛びこみ、期待と同時に葛藤を感じ、奮闘している人にとって、また、かつてそうだった人にとって、何らかの気づきとなることを願って。

「特別扱い」がもたらした、不均衡な人間関係

地元の沖縄で幼少時からクラシックバレエを習い、県内でもトップクラスの成績を収め、上京後は原宿でスナップ隊に声をかけられて読者モデルへ。さらにはASOBISYSTEMに所属し、80KIDZのプロデュースでアーティストデビュー……。Unaがこれまで辿ってきたトントン拍子のキャリアを耳にしたとき、正直に言うと、あまり興味を惹かれなかった。

Una
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私はいわゆるシンデレラストーリーにそそられないし、それは誰しもが心のどこかに持っている感覚なのではないだろうか? そんなことを思いながらいざ初めて取材現場に行ってみると、強気なアーティストイメージとは違う、華奢で感じの良い、だけどどことなく淋しげな女性が立っていた。私の抱いていたイメージは本当の彼女とズレているのかもしれない。いかにしてこのギャップは生まれてしまったのだろう?


Una:バレエは3歳ぐらいから始めたんですけど、小学校のときは放課後に遊んだ記憶もほとんどないくらい、「学校よりバレエ」みたいな感じでした。高校生のお姉さんに混ざって踊ったり、ずっと主役をやらせてもらったり、自分で言うのもなんですけど、「特別扱い」されていて。とにかくレッスン第一だったので、学校で帰りの会が長引こうものなら、「すみません! 帰ります!」みたいな感じでしたね。

―お稽古事で優秀な成績を残していたということは、学校でも一目置かれていたのでは?

Una:いや、ちょっとしたいじめもあって、小学校の途中から学校にはほとんど行かなくなって……。でも、バレエはやればやるほどうまくなるものだし、その結果として役をいただけたり、先生からも認めてもらえるので、頑張れたんだと思います。あと、私は役になりきって表現するのがすごく好きで。テクニックはそこまであったわけではないんですけど、表現力を認めてもらえていたことがすごく嬉しかったんです。

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―放課後のバレエの時間がUnaさんの居場所になっていったと。

Una:ただそこでも、勝負の世界特有のやっかみがあって、人間関係はすごくドロドロしていました。親ぐるみで牽制し合うこともあって、私もシューズがなくなったり。だから家族は大変だったと思います。

居場所だった「バレエ」との、苦い別れ

Unaは中学生になってからも学校は休みがちで、高校でもできた友達は2人ぐらい(ただ、その友達とはその後一緒に上京するほどの仲になる)。学校生活には馴染めないまま、バレエで留学することを目標に、ひたすらレッスンの日々を送っていたという。

Una:高校のときに、最年少でコンクールの本戦に行けるかもしれないという状況になったんですけど、当日に舞台の上で肉離れしちゃって。「みんなの期待に応えたい」と思って頑張ってきたので、本戦に行けず、「あんなに期待してたのに」って周りから言われたのがすごくショックでした。ずっとバレエ一筋でやってきたのに、その一度の失敗でそこまで言われて糸が切れてしまって。初めてバレエが嫌になりました。

―その後、バレエは続けたんですか?

Una:肉離れがトラウマになって、本番では必ず足をつるようになってしまったんですけど、次の年にもう一度チャレンジして、本戦に出場しました。でも県で一番にはなれなくて、またいろいろと言われて……。もともと自分の骨格がバレエ向きじゃないこともわかっていたので、肉体的にも精神的にも、このままバレエを続けていくことはできないなと思ったんです。

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孤独な魂の受け皿、「原宿」

バレエのレッスンを減らしたUnaは、これまで築き上げてきたアイデンティティーを手放して、どこへ向かっていったのか? 高校3年生のときに、靴屋でのアルバイトを開始し、サロンモデルをするようになったことで、ファッションに目覚める。さらにはバイト先でモデル事務所にスカウトされたことをきっかけに、高校卒業後の上京を決意。「バレエ」という鎧を脱ぎ捨て、原宿という街に飛び込んだ……のはいいものの、「自信のなさ」は相変わらずで、それが上京したばかりのUnaに、「光」と「影」の両方を連れてくる。子ども時代は自分を認めない同世代のことを、ある種どこか冷めた目で見ているような節も感じられたが、ここに来てUnaの様子が一変したのだ。

Una:沖縄時代にサロンモデルはやっていたんですけど、自分の顔が好きじゃないから、雑誌を見て「もっとこうだったら」っていつも思っていて。そもそもメイクを始めたのも、自分の顔が嫌だったからですし。でも、そのサロンではヘアカタログというより、作品撮りをすることが多かったから、自分のポーズや表現を褒めてもらえることが嬉しくて、続けられたというか。それで上京も決意できたんです。

―原宿の第一印象はどうでしたか?

Una:沖縄時代にスカウトされたモデル事務所は条件やイメージが合わなかったので、結局原宿のショップでアルバイトを始めたんですけど、初めて原宿に行ったとき、「こんなに人目を気にしないでファッションを楽しんでいいんだ!」って衝撃でした。おしゃれをして、それが認められればスナップサイトから声がかかる。そういう文化は沖縄にはなかったし、バレエも辞めて、「私に何ができるんだろう?」っていう不安定な状態だったから、初めて撮影されたときに、自分を認められた気がしてすごく嬉しくて。

―アルバイト先では、気の合う友人もできましたか?

Una:……入ってすぐに看板モデルみたいな扱いになって、すぐ出張に連れて行かれたりしたんですね。そのアルバイト先は姉が紹介してくれたんですけど、「そんなのかなり異例だよ」って。それで結局、バイト仲間からは距離を置かれていたような気がします。いつもそうなんです。仲良くなりたい人がいても、変に目立ってしまって、遠巻きに見られてしまう……。

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「自分と話しても楽しくない」

「特別扱い」という宿命。そう、それは小学生ながら高校生に混ざって踊っていたクラシックバレエ時代からUnaについて回り、彼女を苦しめてきた。よくも悪くも常に「目立つ存在」であったが故に孤立し、人とのコミュニケーションに強い苦手意識を抱いた彼女は、周りの人に自分の気持ちを伝えることがうまくできない。

Una:初めて話すんですけど。私は誰かと仲良くなりたいと思っても、自分のために時間を取らせてしまうのが申し訳ないと思ってシャットアウトしちゃうんです。「自分と話しても楽しくないので」みたいな気持ちで。だから、お店に会いに来てくれる子がいると、すごく嬉しい反面、「こんな自分で申し訳ない」って思ってしまって……。

―それは、原宿でもずっと同じ状況だったんですか?

Una:しばらくその状態が続きました。でも、その次に働いたショップの人たちは、私のことを特別扱いせずに、すごくフラットな目で応援してくれたんです! 読者モデルの仕事も増えてきていた頃だったんですけど、それまで年の近い人とそんなふうに付き合ったことがほとんどなかったので、本当に嬉しくて、その人たちとは今でも友達ですね。ASOBISYSTEMもそのショップがきっかけになって、所属することになりました。

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―最初はモデルとして所属していたんですよね?

Una:そうです。おかげで読者モデル時代よりも撮影をたくさんやらせてもらえるようになって、もっと自分をいろんな形で表現したいと思い始めたときに、アーティストデビューの話をいただきました。バレエをやってたのが大きいと思うんですけど、やっぱり「等身大の自分」ではなくて、作り込まれた演出で「表」に出ることに憧れがあったんです。最初はすごく不安過ぎて、その誘いも一度断ってしまったんですけど、こんなチャンスをもらえることは誰にでもあることじゃないし、頑張りたいと思った気持ちにくらいついていきました。

外見と内面のギャップを生んだ闇

アーティストデビューまでの決意を固めたUnaの話を聞きながら、1つ気になったことがあった。「自分を表現したい」という強い想いこそはっきりと伝わってきたものの、「どんなアーティストになりたいのか」という具体的なイメージが伝わってこなかったのだ。そこに的を絞って話を聞いていくと、彼女は長い時間、考え込んだ。そうして、彼女の自信のなさの原因、つまり現在の彼女が抱える悩みが、徐々に浮き彫りになってきた。彼女の中にあるのは、強烈な変身願望である。

Una:モデルよりも自分の幅を広げられるのがアーティストだと思ったんです。撮影もあるし、歌詞も書けるし、いずれは曲も作れるかもしれない。究極に自分を表現する仕事な気がして、それで挑戦してみたいと思いました。自分の中に、アーティスト像のイメージはあるにはあるんですけど、言葉にするのが苦手で……。イメージはあるんですけどね……すみません……。

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―考えていることを人に伝えるのはまだ苦手?

Una:苦手です。最近までは仕事関係の集まりに行くのも、「誘われちゃった……どうしよう?」みたいな感じでした。今はちょっとずつ、みんなの話を聞くことが楽しくなって、人から学ぶことが大事だと思うようになってきたんですけど。もっと見た目に中身を近づけなきゃダメですね。

―ありのままの自分を出したいんじゃなくて、本当の自分のほうを変えて、ビジュアルイメージに近づけていきたいと。

Una:あんまり意識はしてなかったんですけど、メイクやファッションに関しては、きっとこれまでもそういう気持ちがあったんだと思います。リップを派手な色にしてたのは、自信があるように見せたかったからかもしれない。自信がない女の子って多いと思うし、「そのギャップが魅力だ」って言ってもらえることもあります。でも、もっと飛躍するためには、背伸びしてでも、中身を見た目に近づける必要があると思うんです。それはキャラを作るっていうことではなくて、自信を持てる自分になって、ちゃんと自分を認めてあげたいっていうことなんですけど。それがまだできてないのかもしれない。

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現実的な一歩はつまらないことじゃない

つまり、Unaのビジュアルイメージというのは、Unaが自信のなさを覆い隠すための彼女なりの防御策だったのかもしれない。そこで生まれてしまった中身とのギャップが、アーティスト活動という、ある種自分をさらけ出さなければならない場所を選んだことによって、露わになってきた。それが彼女の現状なのではないか。

一方で、「そもそも表現したいことがまだ固まっていないのでは?」という見方もあるかもしれないが、私はそう思わない。Unaは自身のアーティスト像をイメージできていないわけではないのだ。それはバレエやモデルで表現をしてきた彼女の実績が物語っているし、『JUICY JUICY』のジャケットや、現在のライブ衣装を自ら手掛けるなど、Unaはイメージを具現化することのできる、もの作りの人でもある。ではなぜそれを言葉にできないのかと言えば、それはコミュニケーションに対する自信がないということともう1つ、彼女がこの1年でアーティスト活動の現実を知ったからでもあるだろう。

Una:もしかしたら、最初にアーティストになりたいと思ったときのほうが、明確なビジョンがあったかもしれません。でも、活動を始めてみてわかることがホントに多くて、その対応に追われてる感じで。今までは夢を見てた部分もあったなって思います。CDを売るのがこんなに大変で、ライブにお客さんを呼ぶことがこんなに大変だってことが、身に染みてわかってきました。でも、自分がやりたいって言ったことだから、つらいなんて言ってる場合じゃないし、一つひとつ向き合っていきたいです。

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故郷に錦を飾る、自分を救ってくれた街が好き

私はUnaのデビュータイミングのインタビューを読んだのだが、そのとき彼女は、無邪気に「マイケル・ジャクソンは私にとって神です!」と話していた。しかしこの日、理想のアーティスト像について話す中で、マイケルの名前が一度も挙がることはなく、出てきたのは国内の女性アーティストの名前だった。それはつまり、彼女が現実をシリアスに見つめるようになったということに他ならない。まだまだ最初の段階ではあるが、自分を見つめる作業はすでに始まっているのだ。具体的なビジョンについては、話をする中で、長い時間をかけてこのように言葉にしてくれた。

Una:ゴリゴリのオールドスクールなラップが好きなので、そういうのをよりポップに、普段そんなにブラックミュージックを聴かない人にもいいと思ってもらえるような形でやりたいなとは思ってます。

―『True of Lights / Danse Danse』の中だと“SK8ER GIRL(HALFBY REMIX)”にその辺りが一番よく出ていますよね。10月に発表されたSONPUBのアルバム『Mother Ship』では、BOSEさんとWiseさんと一緒に“Ghost Ship”で客演を果たしてますし。

Una:そうですね。いつかワンマンライブができるとしたら、アメリカのスラム街みたいなセットにして、壁にペイントしたり、ステージ上に車を置いたりしたいなあと思っています。

―原宿という街については、今はどのように考えていますか?

Una:今も原宿は一番おしゃれな街だと思うし、いろんなテイストや、いろんなジャンルの人がいて刺激にもなるし、原宿で歩いてる人やお店を見て、つまらないと思ったことは1回もないです。「モデルだからおしゃれ」みたいなことも言われるんですけど、私はストリートにいる人こそおしゃれだと思うし、そこで得られる情報や感覚を大事にしていきたい。バレエを辞めて上京して、自分を受け入れてくれたのが原宿で、そのおかげで今の私がいるので、ファッションと音楽をつなげることはずっとやっていきたいし、大きなことを言ったら……原宿を引っ張っていけたらいいなと思ってます。

「大きなことを言ったら」とわざわざ前置きするあたりが何ともらしいが、それでもはっきりとした口調でUnaは今の想いを語ってくれた。彼女は取材中、数えきれないほど「自信がない」という言葉を口にしたが、原宿の街を好きになったように、もっといろいろなものや人と、丁寧に関係を作っていければいいと思う。彼女は少し不器用で誤解されるところもあるかもしれないが、「なりふりかまわずに我が道を突き進む」というよりも、「人と関わり合って喜ばれたい」人だ。最近では、月に10回を超えるライブ活動にも精力的であり、ファンという仲間も確実に増えてきている。「願いは叶う」というほど簡単なものではないにしろ、21年間温めて来た内面を発揮する日は近いだろう。なによりも、理想を持って、自らの選んだ道を進んでいくということは、それ自体に十分な意味があるのだ。

イベント情報

『FamilyMart Presents MUSIC FOR ALL,ALL FOR ONE 2013』
2013年12月21日(土)OPEN 14:30
会場:東京・国立代々木競技場第一体育館
料金:全席指定7,800円 ステージサイド席6,800円

『HARAJUKU NOW!!!×NYLON〜Sweet Night〜』
2013年12月21日(土)OPEN 22:00
会場:大阪・なんばHatch
料金:前売3,500円(1D) 当日4,000円(1D) ペア割(2枚)4,500円 グループ割(3枚)6,600円

『m-flo&ASOBISYSTEM presents ASOBŌNENKAI 2013 supported by Coca-Cola』
2013年12月22日(土)OPEN 23:00
会場:東京・新木場 ageHa
料金:前売2,500円 当日3,500円 ペア割(2枚)4,500円 グループ割(3枚)6,600円

リリース情報
Una
『True of Lights/Danse Danse』

2013年12月18日からiTunes Store限定リリース
価格:750円(税込)
ASBM-011 / PARK-017

1. True of Lights
2. Danse Danse
3. SK8ER GIRL(HALFBY REMIX)
4. LONELY FLOWER(HABANERO POSSE REMIX)

プロフィール
Una(ゆうな)

原宿ストリートシーンでカリスマ的人気のショップスタッフであった彼女は、2010年、ファッション雑誌のスナップページに掲載された事をきっかけに青文字(原宿)系モデルとしてデビュー。またたく間に数々の雑誌のレギュラーモデルとして、モデルキャリアをスタート。カワイイだけじゃない原宿の“クール”な部分を表現出来るモデルとして、今までにない新しい青文字(原宿)系モデルのスタイルを確立した。そんな原宿のストリートアイコンが2013年8月14日にはシングル『JUICY JUICY』でアーティストデビュー。デビュー前にフランスJAPAN EXPOメインステージにて初ライブを披露し、デビュー楽曲がTVCMソングに抜擢されるなど多方面で話題になる。12月18日には配信限定ミニアルバム『True of Lights / Danse Danse』をリリース。



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ダイバーシティーやインクルージョンという言葉が浸透し、SDGsなど社会課題の解決を目指す取り組みが進む。しかし、個人のちいさな声はどうしても取りこぼされてしまいがちだ。いまこの瞬間も、たくさんの子どもや若者たちが真剣な悩みやコンプレックス、生きづらさを抱えながら、毎日を生きている。

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