au 5G×須田景凪、KDDIが仕掛けるエンタメが見えた

2020年1月25日(土)、渋谷「au SHIBUYA MODI」にて第5世代移動通信システム(以下:5G)を利用した、新しい音楽ライブへの参加方法が体験できるイベントが開催された。

KDDIが5Gを体感できるイベントとして開催したのは、若者から絶大な人気を誇り1月期ドラマの主題歌も務める、ボカロP“バルーン”ことシンガーソングライターの須田景凪が実際にライブを行っている「LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)」とイベント会場の「au SHIBUYA MODI」を5Gで繋ぎ、イベント会場に集まったファンがライブ中継を見ながら5Gのスマートフォン端末を使って、実際のライブステージの演出に参加するという試み。

イベント会場では大型モニターで須田景凪のライブの一部楽曲が生中継され、集まったファンは特別に用意された5Gのスマートフォン端末を手にして、音楽に合わせてペンライトのように左右に振ったり、または曲のリズムに合わせて上下に動かしてライブに参加。すると、その動きに合わせたビジュアルが「LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)」でライブ中の須田の背後に設置された大型スクリーンに表示されライブ会場を彩った。

須田景凪のLIVEの背景を……
離れた場所から5Gを使ってユーザーが演出する

「LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)」と「au SHIBUYA MODI」の離れた2つの会場が5Gの低遅延な通信で連携し、インタラクティブに影響し合う新鮮な体験に、イベント会場に集まったファンも大いに盛り上がった。

「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」は、5G時代を見据えて、KDDI株式会社、一般財団法人渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザインの三者が立ち上げ、賛同する32社・団体とともに始動させた、5Gを使って渋谷の街を創造文化都市へ発展させることを目的としたプロジェクト。これまでにも、主にエンターテイメントに特化したテクノロジーを駆使して、渋谷の街をより面白くしていくためのイベントを意欲的に展開している。

音楽・アートといったエンターテイメント領域を中心に、新たな文化の創出や、観光面での魅力的な街づくりを推進する本プロジェクトの中心人物の一人でもあり、自身もクリエイターとして電子音楽×デジタルアートの祭典<MUTEK.JP>に参加し、アーティストとのコラボレーションをプロデュースしたKDDI株式会社 サービス本部 プロダクト開発1部 マネージャー 水田修氏が、5Gのテクノロジーがエンターテイメントやアートにどんな可能性を提供できるのか語ってくれた。

「テクノロジーはアーティストの表現手段」プロジェクトの中心人物が語るエンターテイメントの未来

水田:今回のイベントは映像を配信するところにフォーカスをあてるのではなく、参加している人たちが5Gを使って、よりライブに参加し楽しめることをテーマに開催しました。スマートフォンを使って離れた場所にいながら、本当にライブに参加し、しかも演出で一体感を作るというプレミアムな価値を与えたいと考えました。アーティストサイドとも、制作段階から関わらせて頂き、私からも具体的にコンセプトを共有させていただきました。

これからのライブでは映像による演出が必要不可欠になると語る水田氏。

水田:理由は大きく2つあります。1つは映像配信事業が拡大する中で、ライブ映像がより楽しく魅力的に見えるために、やはり映像による演出が必要になるのは間違いないと思います。もう1つは、技術進化でインタラクティブな映像を出力することが得意になってきており、ライブ自体の熱量を映像で表現できるようになってきたことがあります。

具体的に言うと、今回のイベントではスマートフォン数十台分のセンサーデータを同時に受け取り、リアルタイムでビジュアル化するツールを使って演出しています。5Gを活用することで、センサーデータを離れた距離でもほぼリアルタイムで受信してビジュアルに変えることが実現できています。ツールが進化することで、様々なクリエイターが使うことになり、結果として映像演出のレベルがどんどん上がっていく流れは間違いなくあると思っています。

アーティストサイドも、視野を広げ新たなテクノロジーを取り込んでいく必要があるようだ。

水田:アーティストやクリエイターと直接話をしながら、私もアイデアを温めています。テクノロジーはアーティストにとっては表現をするための手段なので、テクノロジーの進化でどのようなことができそうかをこちらから発信することで、新しい取り組みのチャンスが作れるのではないかと思っています。私たちは技術を提供するだけではなくて、アーティストの方たちと一緒に共創していける関係を築きたいと思っています。

「ライブの中身だけを盛り上げるのではなくて、前後も含めてどれだけ楽しくできるか」

KDDIでは今回のイベントの開催にあわせて、渋谷の街の対象エリアを訪れると須田景凪の新曲を聞くことができる「Audio Scape by au × 須田景凪」や、ARアートを体験できるアプリ「STYLY」を使って須田景凪のスペシャルARコンテンツが楽しめる「INVISIBLE ART IN PUBLIC by au × 須田景凪」も展開。ライブ以外でも日常生活のなかでの音楽との接し方は5Gによって発展するのだろうか。

水田:街を舞台にコンテンツを体験できるサービスを通じて、ライブに向かう前後も楽しめることも大事だと思っています。例えば、ライブ会場に向かう道すがら、そのアーティストの楽曲のシャワーを街の中で浴びながら会場に向かったり、アーティストのMVをメディアアートのようなビジュアルで体験すれば、より上がった気持ちで会場に入ってもらうことができると思っています。ライブの中身だけを盛り上げるのではなくて、前後も含めてどれだけ楽しくできるかということを考えています。

「本当の人間と違いがないぐらいの表現ができる可能性があります」

以前から近未来のインターフェースとして、現実に映像を重ねるARの分野で人とバーチャルキャラクターのコミュニケーションにも取り組んできたKDDI。5G時代の到来によって、この分野でも新たな発展が見込まれるという。

水田:分かりやすいのは、人の代わりにアテンドをする場面ですね。海外から来た観光客に対して、英語や中国語を話すアテンダントをARで登場させてあげるといったニーズは増えています。来日される目的の一つとして、アニメ作品などの聖地巡礼で来られる方が一定数いるそうで、自分の好きなキャラクターがアテンダントとして母国語で案内してくれるなど、楽しいに加えてお役に立てる用途があると思っています。また、5Gのリッチなデータを使って、本当の人間と区別がつかないリアルなキャラクターが違和感なく案内をする可能性も十分にあると思っています。すごく期待したいですし、使っていきたいと思っています。

ARの進化にともなう“体験”に、スマートフォン端末だけでは限界があるのではないかと問いかけると、水田氏は2つの新しい形を提示してくれた。

水田:例えば大型スクリーンを応用して表示するなど、(ARの)表示先がスマートフォンではなく、よりリッチな表現ができるシステムを使うパターンはあると思っています。もう1つは、「常にARを表示したい!」と思ったときに、スマートグラスのようなデバイスを使用する機会が出てくると思います。KDDIの場合はNreal Ltd.(エンリアル)とパートナーシップを結んで、具体的なユースケースを作り、ビジネスチャンスを探っています。

5Gの通信速度はこれまでの最大100倍になるなどといわれ、想像を超えた便利な世界が近づいてくる予感がある一方で、セキュリティの問題や健康被害などについての不安の声が上がっていることも実情だ。

水田:テクノロジーが進化した未来を描く時に、アニメなどの作品では警鐘を鳴らすようにディストピアを描くケースがあると思います。が、個人的にはKDDIが描く未来は変えたいなと思っています。未来に対してもっとハッピーな雰囲気作りができればいいなと思っていて、音楽・アート・スポーツといったみんなが楽しんでいるシーンをより楽しくするためにテクノロジーを活用することを意識しています。

水田氏は最後にKDDIとして、今後どのようにアーティスト・クリエイターと関わっていきたいかを語ってくれた。

水田:私個人としては、一昨年、去年と<MUTEK.JP>をご一緒させて頂き、直接アーティストやクリエイターとの対話を通じて体験作りを行ってきましたが、その源流としては今年で18年目を迎える「au Design project」がございます。KDDIはデザイナー・アーティスト・クリエイターたちと一緒にモノ作りを行ってきた歴史がありますが、今後はモノに閉じることなく、体験そのものを作っていきたいと思います。

2020年春予定の運用開始に合わせて、今後も5G関連のさまざまなイベントが開催されることが予想される。5Gテクノロジーがエンターテイメントにどのような可能性を与えられるのか、今後も注目していきたい。

プロフィール
水田修 (みずた おさむ)

KDDI株式会社 サービス本部 プロダクト開発1部 マネージャー。5G、XRなどテクノロジーを活用した新規ニーズ発掘・事業創出を担当。渋谷エンタメテック推進プロジェクトにて、渋谷における5G×エンターテイメント領域の取組みを推進。昨年度、2018年「MUTEK.JP2018」においては、自由視点VRと音のVRをデジタルアートに応用したデジタルアート作品「Block Universe #001」を制作・展開。クリエーターとしてアーティストとのコラボレーションを実施した。2019年、『見えないを価値にする』をコンセプトとしたXRアート「INVIBLE ART IN PUBLIC」を発表し、渋谷WhiteNightWeek、MUTEK2019にて作品のプロデュースを手がける。



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