I Don’t Like Mondays.はなぜ今、「ダサさ」をさらけ出す?

今、男性アイドルを中心に芸能人たちの間で人気を集める4人組バンド、I Donʼt Like Mondays.が8月より行っている5ヶ月連続のシングル配信リリースが、そろそろ大詰めを迎えようとしている。

洋楽のエッセンスをふんだんに盛り込んだスタイリッシュなバンドアンサンブルと、言葉の響きに重きをおいた歌詞世界。そんな彼らのパブリックイメージから一転、コロナ禍に連続リリースされている今回の楽曲たちは、どれもボーカルYUの「カッコ悪い」心情を、赤裸々に吐露するような歌詞が乗っている。

昨年、レーベル移籍第1弾アルバム『FUTURE』をリリースし、2020年は飛躍の年になるはずだったI Donʼt Like Mondays.。新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた活動を断念せざるを得なくなった彼らは、どのような道を切り拓いてきたのだろうか。メンバー全員に、シングル5曲を紐解きつつ語ってもらった。

通常の活動ができなくても、何かワクワクしてもらえるようなことを届けられないか? と。(YU)

―今回、5ヶ月連続でシングルを配信リリースすることになった、そもそもの経緯から教えてもらえますか?

YU(Vo):昨年からのツアーを今年2月に終えて、アルバムの制作やツアーも考えていたんです。でも、コロナの影響でそうした予定が全て難しい状況になってしまって。そこで一旦、考え方を変えてみることにしました。

アルバムを出してツアーを回るという通常の活動ができなくても、ファンのみなさんに何かワクワクしてもらえるようなことを届けられないか? と。だったらそれに向けて作曲をしていこう、となったのが今回の大まかな経緯です。

I Don’t Like Mondays.(あいどんとらいくまんでいず)
YU(Vo)、CHOJI(Gt)、KENJI(Ba)、SHUKI(Dr)からなる4人組ロックバンド。キャッチーなメロディライン、そこにセクシーなサウンドと、英語を巧みに織り交ぜたニヒルな歌詞が組み合わさった楽曲でパーティーシーンを彩る。また、アパレルブランドのサウンドトラックを手掛けるほか、ハイブランドショップとのコラボ、他アーティストへの楽曲提供、ミュージックビデオの企業コラボなど、多岐にわたって活動している。

―今、この取材の時点では“モンスター”“MR. CLEVER”“ENTERTAINER”の3作がすでにリリースされていて、今後“東京エキストラ”と“ミレニアルズ ~just I thought~”のリリースが予定されています。アルバム用に作っていた曲もあれば、この企画を決めてから書き下ろした曲あるそうですね。

YU:そうなんです。“ミレニアルズ ~just I thought~”は、アルバムを作ろうとしているときに原型がありました。“東京エキストラ”はコロナ前にでき上がっていたトラックがベースになっていて、“MR. CLEVER”はコロナ禍になってから、この曲はアルバムに入れることになるのかな? という微妙な時期にできました。“モンスター”は連続リリースが決まってから作った曲ですね。

でも、歌詞は全てコロナの影響を受けています。「受けた」というか、コロナの時期になって僕自身もバンドも、これから音楽活動をどうやっていくべきか、どういう方向を向いていくべきかを模索していて。

―どんなふうに模索していたのですか?

YU:これまでの我々の楽曲は、パーティーシーンに合うというか。みんなでワイワイ聴くようなものが多かったんですけど、なかなかライブをやることが難しい状況が続いているじゃないですか。それに加えて、ステイホーム中は誰もが自分自身と向き合う時間を過ごしたと思うし、サウンドよりもメッセージに重きを置く方向へとシフトすべきじゃないかと思ったんです。

コロナ関係なく、何か新しい化学変化を起こしたいと常々思っている。(CHOJI)

―アイドラとしては、かなり大きな変化ですよね。

YU:ただ、そもそも前回のアルバム『FUTURE』を去年リリースして、ツアーを完走したあとで、「この流れのまま作曲に入るのはなんとなく違うな」という思いもあったんです。

YU(Vo)

CHOJI(Gt):コロナ関係なく、何か新しい化学変化を起こしたいと常々思っているバンドなんですよね。

YU:それが奇しくもコロナになって、逆に言えばこれまでできなかったことにも挑戦できたように思います。コロナ禍の今ならきっと、ファンの方々もその変化にガッカリしないんじゃないかなという気持ちもありました。

「ダサい」と言われてもいいから自分自身に向き合った歌詞を書こうと覚悟を決めました。(YU)

―YUさんの変化を、メンバーのみなさんはどんなふうに感じていたのでしょうか。

KENJI(Ba):僕たちはメンバー全員バックボーンが洋楽ということもあり、今までのYUはサウンドを重視しつつそこに合う言葉をチョイスしていて。要するに、言葉の響きを大切にした歌詞を書いていたんですけど、今回は、サウンドはそのまま大事にしつつ、芯をえぐってくる歌詞をYUが書いてきたので、バンドが新しいステージに上がったと思いましたね。

KENJI(Ba)

YU:今までアイドラは「スタイリッシュな音楽」とよく言われてきたんですけど、今回はたとえ「ダサい」と言われてもいいから自分自身に向き合った歌詞を書こうと覚悟を決めました。

SHUKI(Dr):確か昨年末だったと思うんですけど、プロデューサーから、「完璧すぎないちょっと汚れた部分や、不完全さ、粗さをあえて残していったらどうか?」みたいなヒントをいただいていて。曲だけでなく、歌詞から活動に至るまで色々と考えている最中にコロナになったこともあり、より深く自分たちを見つめ直すことになったんです。

―そういう意味では、第2弾の“MR. CLEVER”は表面を取り繕いながら世渡りする自分を嗤う、アイロニーたっぷりの楽曲ですよね。

SHUKI:「今のI Don't Like Mondays.を象徴するような曲を書こう」という話になり、でき上がったのが“MR. CLEVER”でした。YUの歌詞が、本当にYUそのままだったので(笑)、やっといちばん自然体になれたのかなと。やりたいこと、やるべきこと、やれることが全て一致した曲だと思います。

SHUKI(Dr)

―やりたいこと、やるべきこと、やれることのバランスを考えながら曲作りができるのは、やはりアイドラは全員が曲を作れて、コライト(共同での曲作り)という形を取りつつ常にバンドを俯瞰できるからなのかもしれないですね。

YU:まさにそうだと思います。曲を作る前に僕らは「その曲が、なぜ今僕らに必要なのか?」までロジカルに考えていくバンドなので、そうした話し合いから生まれた結果の5曲なのだと思います。

20代の頃はイキがってカッコつけてたけど、そういうことがしょうもなく思えてきた。(YU)

―1曲ずつ伺っていきたいのですが、まず第1弾シングル“モンスター”はどのように生まれたのでしょうか。

YU:メンバーからもらった最終デモを聴いたときに、僕は「欲望」について歌いたいと思ったんです。「欲望」をテーマに生々しい歌詞を書くって、絶対にやってこなかったスタイルで。今までの僕だったらちょっとこっぱずかしくて、英語詞に逃げたりしていたと思うんですよ。でも、「欲望」について歌うのであれば振り切ってやろうと。前もってメンバーにも相談せず書き上げて、レコーディングの直前に見せました。

―今までのコライトのやり方では、悪い意味でバランスが取れてしまうと考えたんですね。

YU:そうなんです。コライトでクオリティが上がるのは間違いないのですが、角が取れて丸くなってしまうところもある。そこが自分たちのコンプレックスでもあったんですよね。

どんどん削ぎ落として綺麗にしすぎちゃうのが僕らの悪いところでもあったので、粗さをどう出していくかを改めて考えたときに、4人で作ったスタイリッシュなサウンドに、たったひとりで書き上げた独断と偏見による歌詞を乗せるのがひとつの手段なのかなって。

―今までとは違う曲を実際に歌ってみて、抵抗や違和感などありました?

YU:意外にも吹っ切れて歌えました。それは年齢もあるのかもしれない。20代の頃はイキがってカッコつけてたけど、30代になり環境の変化もあって、そういうことがしょうもなく思えてきたというか。

いい意味で人の目が気にならなくなったんです。「ダサいと言われたって別に構わないよ、だってこれが歌いたいんだから」と言える覚悟が生まれたのは、前回のツアーが無事に成功して自信がついたことも大きい気がします。

ダサいことを歌ってもOKなサウンドがないと、単にダサいだけの曲になってしまう。(CHOJI)

―“MR. CLEVER”では、YUさんのその「ダサい」部分をあえてさらけ出したそうですね。

YU:その通りです。この曲を前向きだと捉えてくださる人も結構いるみたいですが、僕の中でこの曲は全然前向きじゃないんですよ(笑)。むしろめちゃくちゃ自虐的なことを歌っているし、本音を隠して生きていかなきゃいけない社会を風刺したつもりです。

でも、ポジティブな曲調と相まって生まれたバイブスのおかげで、「こうやって表面を取り繕って生きている人って、私だけじゃないんだ」と捉えられたのだとしたら、作って良かったなと思えます。

CHOJI:言葉とサウンドのバランスは、今こうやって話しながら改めて大事なことだなと思いました。つまりダサいことを歌ってもOKなサウンドがないと、単にダサいだけの曲になってしまう。スタイリッシュな僕らのサウンドに、YUの赤裸々な歌詞が乗っかるからこそ生まれたオリジナリティなのかもしれないですよね。

CHOJI(Gt)

―この曲は、Bメロで突然トラップになるところも聴きどころのひとつだと思います。

SHUKI:最初は普通のメロディが乗っていたんですけど、僕たちを体現する曲として「そんな普通でいいのか?」という思いが途中で出てきて。今年のアタマくらいにリリースした“全部アナタのせいなんだ”という曲で、実験的に2番のAメロだけガラッと変えるアプローチをしてみたんです。それが上手くいったので、それを踏まえて今回もチャレンジしました。僕らの天邪鬼な部分を上手く出せたと思います(笑)。

「なりたい自分」と「実際の自分」には乖離があって、その狭間で葛藤していると思う。(YU)

―“ENTERTAINER”は、アイドラにとって初の女性目線の歌ですよね。

YU:今までは、僕が考えていることを歌詞にする曲がほとんどだったのですが、今回は「僕じゃない人物」の物語を書くことに挑戦しました。失恋から物語が始まっているのですが、最終的に「人生の価値とは?」ということを歌っています。失敗や苦悩、いろんなものを乗り越えながらも美しく、強く生きていこうとする女性の人物像を、エンターテイナー、踊り子に喩えていて。

YU:女性だけでなく男性も、「なりたい自分」と「実際の自分」には乖離があって、その狭間で葛藤していると思うんですよね。なかなか重たいテーマですが、ポップな楽曲でコーティングすることによって、サラッと聴くこともできるし、<それでも私は踊るのよ この舞台で 誰一人見ていないなら baby せめて自分を笑わせられたなら 自分の勝ち>というラインに込めたメッセージをそれぞれ解釈してもらえたらいいなと思っています。

―「僕じゃない人物」の物語とおっしゃいましたが、YUさんの中にある女性性にフォーカスした曲とも言えるのかもしれないですね。

YU:まさにそうですね。僕、女友達が多くて女性といるほうが居心地いいなと感じますし、男同士でつるむホモソーシャル的なノリは得意じゃないというか。あれって男の子の弱さだなと思ってしまうんです。

―「男らしい」というより、「男らしくあろう」としているというか。

YU:そうそう。男らしさ、女らしさとは何か? みたいなこともよく考えます。「女々しい」なんてひどい言葉もありますが、そもそも男性って柔弱だし意気地のない人が多いと思うんですよね。

―最近は、性のあり方はグラデーションだと言われるようになってきました。

YU:そう思います。僕自身、セクシャリティの多様性への関心が高くなりましたし、男である自分の中の女性性を強烈に意識することもある。そういう意味ではこの“ENTERTAINER”という曲で、女性目線の歌詞が書けたのは嬉しかったです。伊藤千晃さんに楽曲提供した“真夜中の処方箋”も、女性目線の歌詞なのですが、意外と得意なことに気付きました。自分の中の女性性は、今後も強みになる気がします。

「今の自分のモードであえて恋愛ソングを書いたらどんなものになるんだろう?」と。(YU)

―“東京エキストラ”はクリスマスソングですよね。

YU:しかも、5曲の中では唯一の恋愛ソングです。これまでの僕たちの曲ってほとんど恋愛ソングだったので、そうではないこの配信シリーズ自体がイレギュラーなんですけど、この曲は最後に作ることになったので、「今の自分のモードであえて恋愛ソングを書いたらどんなものになるんだろう?」と、すごくワクワクしながら取り掛かりました。

―自分が大切な誰かにとってエキストラでしかないと気付く寂しさは、多くの人が経験することなのかなと思います。

YU:人はみんな、自分自身が主役の人生を送っているわけですよね。そうすると、たとえば僕とKENJIが同じ景色を見たとしても、それをどう捉えるかは全く違う。そんなことを考えながらこの曲の歌詞を書きました。単純に「好き」「愛してる」という恋愛ソングではないものになって良かったです。

我々ミレニアルズはもう次の世代へ思いを馳せる年齢に差し掛かった。(YU)

―最後にリリースされる“ミレニアルズ ~just I thought~”ですが、歌詞にグレタ・トゥーンベリさんの演説が引用されていますよね。バンドサウンドを前面にフィーチャーした曲調も含めて他の曲とはちょっと毛色が違います。サウンドも含めてあえて違和感をぶつけてきたのかなとも思いました。

YU:「歌いたい」というより「歌わなければいけない」という感情で書いたのは、この曲が初めてです。彼女の演説を聞いて環境問題に興味を持ち、そのことについて知ろうとアクションを起こしている、その一連の流れを歌詞に落とし込もうと思いました。聴いてくださった方に、何かしらの影響を与えることができたら嬉しいですし、それができる可能性があることが音楽の面白いところだとも思います。

YU:僕自身、環境問題や慈善活動に興味はあるけど熱心なタイプではない。僕も含めおそらく大半の人がそうだと思うんです。そういう人間があえてこういう曲を書く……逆に言うと、興味はあるけどそんなに詳しくはないからこそ、説教臭くなく書けるのが強みかなと。

―その演説は、YUさんにとってはそれくらい衝撃的だったと。

YU:驚いたし、すげえなと思いました。でも訴えている内容そのものというより、「なぜこの人はこのことを訴えなきゃいけないのだろう?」という疑問と好奇心が、いちばんのモチベーションだったかもしれない。もちろん演説が着想のきっかけではあったけど、結局言いたかったのは、「我々ミレニアルズはもう次の世代へ思いを馳せる年齢に差し掛かったんだな」ということなんです。

『ミレニアルズ ~just I thought~』ジャケット写真

YU:今、人類レベルで考えなければならない環境問題について、「僕はこう思ったけど、みんなはどう?」みたいなスタンスで伝えたかったんですよね。この曲がリリースされたとき、ファンのみんなからどんな反応があるのか正直想像もつかないんですけど、届くところにこのメッセージが届いてくれたら嬉しいです。

「バンドってこうだよね?」みたいな既成概念を、どんどん壊していきたい。(YU)

―YUさんは以前、「自分の持っているもので、世の中に役立つことは何なのか。それをこの自粛期間に考えた」ともおっしゃっていました。バンド活動を通じて、世の中に貢献したいという思いもありますか?

YU:うーん、そこまで高尚なことは考えていないし、基本的に私利私欲で生きている人間です(笑)。どちらかというと、自己肯定したいのかもしれないですね。誰かを幸せにしないとその先に自分たちの幸せもない。道徳的にではなく、ロジカルにそう思うんです。

“モンスター”でも歌ったように、自分の欲望だけを追求しても虚しさしかない。まず、自分を肯定するためには自分たちの仕事を通じて誰かを満足させることが先決なのかなって。まあ、頭で考えていても、実際は難しいですけどね(笑)。

―5曲全てをリリースした先の展望は何か考えていますか?

CHOJI:うーん、いつでも過去の自分たちを壊して進みたいと思っているからなあ……(笑)。

YU:そうだね。でも、今回掴んだ武器はまだまだ磨けると思っていて。この歌詞とサウンドの組み合わせ、この方向性をさらに追求していきたい。それに、I Don't Like Mondays.って音楽以外の部分でも色々と提示していくことのできるユニットだと思っていて。「バンドってこうだよね?」みたいな既成概念を、どんどん壊していきたいですね。

リリース情報
I Don’t Like Mondays.
『ミレニアルズ ~just I thought~』

2020年12月30日(水)配信

プロフィール
I Don’t Like Mondays. (あいどんとらいくまんでいず)

YU、CHOJI、KENJI、SHUKIからなる4人組ロックバンド。キャッチーなメロディライン、そこにセクシーなサウンドと、英語を巧みに織り交ぜたニヒルな歌詞が組み合わさった楽曲でパーティーシーンを彩る。全楽曲において自身で作詞・作曲・アレンジを手掛け、ジャケット、ミュージックビデオも自らディレクションしている。また、アパレルブランドのサウンドトラックを手掛けるほか、ハイブランドショップとのコラボ、他アーティストへの楽曲提供、ミュージックビデオの企業コラボなど、多岐にわたって活動している。



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