シネクイントが復活。渋谷唯一のペアシートで「感動を共有」

渋谷にシネクイントが帰ってきた。

シネクイントはパルコが運営する映画館。1981年に東京・渋谷パルコ パート3内にオープンした多目的ホール「スペースパート3」を前身に、1999年から映画館として運営されていたが、2016年、渋谷パルコ建て替えの影響で一時閉館となった。

再オープン日は7月6日。場所は渋谷LOFTや、西武渋谷店に隣接する渋谷三葉ビルの7階で、5月に閉館したシネパレスから引き継ぐ。本日7月5日に関係者向けの内覧会が行なわれたので、さっそく拝見してきた。支配人を務めるパルコの川嶋氏のお話を伺うこともできた。そのコメントを交えながら、新たなシネクイントを紹介していこう。

看板は「シネパレス」から「シネクイント」へ

当たり前の話だが、外観の一番変化は看板である。そのほかにも、渋谷の街を行く通行人にアピールする、2画面のデジタルサイネージが取り付けられていた。

シネクイント外観。デジタルサイネージが付いた。
シネクイント外観。デジタルサイネージが付いた。

シネパレス外観。2018年5月22日、筆者撮影
シネパレス外観。2018年5月22日、筆者撮影

内装はシネパレスの落ち着いた雰囲気や良い部分を活かしたという。メタリックでクールな感触も加えられ、映画鑑賞を邪魔することのない空間になっていた。

シネクイント館内
シネクイント館内

目玉は「渋谷唯一」のペアシート

シネクイント館内

スクリーンは162席の「スクリーン1」と、115席の「スクリーン2」の2つ。スピーカーはJBLを使用。目玉となるのは、「渋谷で唯一」を謳うペアシートだ。「スクリーン1」のうち、2階の11組22席がペアシートとなる。

ペアシートの導入理由について川嶋氏は、「映画は何度も再生可能なもの。けれど映画館で映画を楽しむということは、ライブエンタテインメントの1つだと考えています。その感動を隣にいる人と共有することで、あとに残っていくものになるのでは」と語ってくれた。映画体験が一回性を帯びた特別なものになってほしい。ペアシートにはそんな願いが込められているのかもしれない。オープニングを記念し、ペアシートは期間限定で通常料金にて利用できる。

ペアシートは「スクリーン1」の2階にある
ペアシートは「スクリーン1」の2階にある

クラフトビールやジェラートも。大人が楽しめる映画館に

館内ではソフトドリンクやポップコーンといった定番のメニューが楽しめるほか、クラフトビール、ジェラートも用意。コーヒーはカフェラテやカプチーノも。大人も楽しめる映画館を目指す。ちなみにクラフトビールは、ブルックリンラガーと東京ホワイトがオープン時には提供されるようだ。

クラフトビールを注ぐためのサーバー
クラフトビールを注ぐためのサーバー

渋谷の街から映画を盛り上げる

アップリンクやユーロスペース、シネマヴェーラ、シアター・イメージフォーラム、Bunkamuraル・シネマなど、個性的な映画館が軒を連ねる渋谷。

支配人の川嶋氏は、「渋谷にある劇場はみなさん非常に強いカラーがありますが、シネクイントは以前から、そんなに特色のある館ではないんです」と控えめに語りつつ、「けれど私たちは、娯楽、エンターテイメントを提供するということを大事にしてずっとやってきました。引き続きこちらの場所でも、渋谷にエンターテイメントを届けていきたいと思っています。他の劇場さんたちと力を合わせて、渋谷をはじめ、映画文化全体を底上げしたい。渋谷には若い人たちがたくさんいるので、こういう映画を観てほしい、こういう映画もあるよ、と提案していくことにも挑戦していく」と語ってくれた。

さらに、「パルコはこれまでにアートやストリートカルチャー、ファッションなどに取り組んできました。(新しい場所でも)そういったテイストの作品を充実させていきたいと思っています」

「スクリーン2」への通路。矢印がカラフル
「スクリーン2」への通路。矢印がカラフル

オープニングは『最強のふたり』監督による新作&エマ・ストーン主演の実話映画

7月6日から上映されるオープニング作品は『セラヴィ!』『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の2本。『セラヴィ!』は、映画『最強のふたり』を手掛けたエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュが共同監督を務めたフランス映画。ベテランのウェディングプランナーを主人公に、パリでの結婚式の1日をユーモアを交えて描いた作品だ。

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は1973年にアメリカで実際に行なわれた、女子テニス世界チャンピオンのビリー・ジーン・キングと元男子チャンピオンのボビー・リッグスの戦いにまつわる実話をもとにした作品。エマ・ストーンとスティーヴ・カレルが共演している。

記念のレイトショーでは、パルコが関わってきた名作10本を上映

オープニング企画として、これまでにパルコが配給などで関わってきた作品から10本を選び、レイトショーで上映する特集上映『シネクイント復活記念!パルコが関わってきた名作をもう1度スクリーンで!』を実施。上映作品にはエドガー・ライト監督の『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』をはじめ、『ハードコア』『ゴッホ~最期の手紙~』『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』『アフタースクール』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』など10本がラインナップしている。

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』 ©2013 UNIVERSAL STUDIOS
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』 ©2013 UNIVERSAL STUDIOS

『ゴッホ~最期の手紙~』 ©Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.
『ゴッホ~最期の手紙~』 ©Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.

今後のラインナップ

今後は『クレイジー・フォー・マウンテン』『スターリンの葬送狂騒曲』『オーシャンズ8』『寝ても覚めても』などを公開。またストリートアートムービーをセレクトするシリーズ企画『シネグラ』の第1弾では『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』『ワイルド・スタイル』『Downtown81』を上映する。

CINRA.NETでは『セラヴィ!』で共同監督を務めたオリヴィエ・ナカシュのインタビューを掲載中(『セラヴィ!』監督が語る、日仏で全く違う「対話」の考え方)。こちらもあわせてチェックしてほしい。

作品情報
『セラヴィ!』

2018年7月6日(金)渋谷シネクイントほか全国公開
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:
ジャン=ピエール・バクリ
ジル・ルルーシュ
ジャン=ポール・ルーヴ
ヴァンサン・マケーニュ
ほか
配給:パルコ

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

2018年7月6日(金)から渋谷シネクイント、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
脚本:サイモン・ボーフォイ
出演:
エマ・ストーン
スティーヴ・カレル
アンドレア・ライズブロー
ビル・プルマン
アラン・カミング
配給:20世紀フォックス映画

イベント情報
『シネクイント復活記念!パルコが関わってきた名作をもう1度スクリーンで!』

2018年7月21日(土)~8月17日(金)
会場:東京都 渋谷 シネクイント
上映作品:
『ゴッホ~最期の手紙~』(監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン)
『ハードコア』(監督:イリヤ・ナイシュラー)
『キャビン』(監督:ドリュー・ゴダード)
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(監督:ケネス・ロナーガン)
『トゥルーロマンス』(監督:トニー・スコット)
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(監督:エドガー・ライト)
『ピッチ・パーフェクト』(監督:ジェイソン・ムーア)
『エクス・マキナ』(監督:アレックス・ガーランド)
『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(監督:リチャード・カーティス)
『アフタースクール』(監督:内田けんじ) 料金:各回1,000円
※上映スケジュールは渋谷シネクイントのオフィシャルサイトで要確認



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