兄・デザイナー、弟・ボーカル。LILI LIMITが独創的である理由

兄弟のライブ共演が、ついに実現

4月22日の開催日がいよいよ間近に迫ったCINRA.NET主催のイベント『CROSSING CARNIVAL』。この日、この場所でしか見ることができないアーティスト同士のコラボレーションが展開されるという点が、通常のライブイベントやフェスとは違う『CROSSING CARNIVAL』ならではの見どころだ。

今回紹介したいのは、5人組バンド・LILI LIMITとグラフィックデザイナー・牧野正幸のコラボレーション。LILI LIMITのファンにとって今回のコラボは、「おぉ! ついに!」と思う人もいるかもしれないし、「牧野正幸って、一体何者だろう?」と思うかもしれないし、「牧野」という名字を見て「なるほど!」と勘づく人もいるかもしれない。

なにを隠そう、今回のコラボレーターである牧野正幸は、LILI LIMITのフロントマンである牧野純平の実兄。これまで多くのCDアートワークやグッズなど、デザイン面からLILI LIMITを支え続けてきた男なのだ。今回、牧野正幸はLILI LIMITのステージで映像を担当。これまで作品を通じて行われてきた兄弟コラボレーションが今回、ひとつのステージの上で実現する。

LILI LIMIT『LIB EP』ジャケット。牧野正幸がデザインを担当
LILI LIMIT『LIB EP』ジャケット。牧野正幸がデザインを担当

アートディレクター:牧野純平、牧野正幸

LILI LIMITが、音楽以外の分野も追究し続ける理由

LILI LIMITはこれまで、『LIVING ROOM EP』においては写真家・伊丹豪による100ページのフォトブックを初回限定盤特典として付属したり(参考記事:LILI LIMIT×写真家・伊丹豪「正気か?」と疑うほどの芸術的挑戦)、現時点の最新作である『LIB EP』では、気鋭の芸術家・UMMMI.が監督を務めた、収録曲すべてが繫がった映像作品をリリース前に発表するなど(参考記事:LILI LIMIT×気鋭作家・UMMMI. PVの域を超えた映像作品を制作)、音楽以外の分野においても、一介のバンドたちとは違う独創的な活動を見せてきた。そこには、「音楽も写真も映像も、すべては等しく『アート』だろう?」という問いかけがあったし、その多くは、バンドのコンセプトメーカーでもある牧野純平のアーティスティックな探求心が無邪気に発露し続けてきた結果でもあった。

UMMMI.による、『LIB EP』ミュージックフィルム

そんな牧野純平にとって、音楽以外のアートに触れるためのひとつの指針となっていたのが、兄である正幸の存在だったようで、これまでCINRA.NETでは幾度も牧野純平にインタビューする機会を得てきたが、彼が自身の影響源として兄の名を出す瞬間がたびたびあった。

彼にとって兄は、写真集を手に取ったり展覧会に行ったりする、そうやって音楽以外のアートに触れていくひとつのきっかけとなった存在であり、LILI LIMITの活動においても、アート面での相談役といった部分もあったようだ。なので、今回のコラボレーションは貴重な兄弟コラボというだけではなく、「牧野純平のルーツに触れる」――そんな側面もあるといえるだろう。

牧野純平(Vo)、丸谷誠治(Dr)、黒瀬莉世(Ba)、志水美日(Key)、土器大洋(Gt)
牧野純平(Vo)、丸谷誠治(Dr)、黒瀬莉世(Ba)、志水美日(Key)、土器大洋(Gt)

純平&正幸に、互いの印象と意気込みを聞いた

今回のコラボに際して牧野純平と牧野正幸の両名に、「アーティストとしての、お互いに対する印象は?」という質問を投げてみたところ、純平は「自分に厳しい印象。兄特有の艶がある」、正幸は「戦ってる人」と回答。彼らがお互いを「兄弟」である以上に「アーティスト」としてリスペクトし合っていることが伝わってくる。

さらに、今回のステージについて「奥行きのある40分になればいいなと思います」(純平)、「彼等の表現に対して、ほんの少し奥行きを与えるようなものになるといいなと思っています」(正幸)と話してくれた。兄弟共に「奥行き」という言葉を使っているところが興味深い。一体、どんな深みを持った空間が生み出されるのか、楽しみだ。

『CROSSING CARNIVAL』タイムテーブル。当日券も販売する
『CROSSING CARNIVAL』タイムテーブル。当日券も販売する(サイトを見る

イベント情報
『CROSSING CARNIVAL'18』

2018年4月22日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE
出演:
KOHH
Chara×韻シストBAND
GRAPEVINE(ゲスト:康本雅子)
大森靖子(Crossing:world's end girlfriend)
藤井隆
おとぎ話(新作の完全再現ライブ)
前野健太
Awesome City Club feat. Jiro Endo
world's end girlfriend × Have a Nice Day!
THE NOVEMBERS(ゲスト:志磨遼平(ドレスコーズ))
GAGLE(ゲスト:鎮座DOPENESS、KGE THE SHADOWMEN)
DADARAY(ゲスト:藤井隆)
WONK
Tempalay×JABBA DA FOOTBALL CLUB
King Gnu×Ryohu
LILI LIMIT(Crossing:牧野正幸)
Emerald(ゲスト:環ROY、えつこ(DADARAY))
料金:当日6,500円(ドリンク別)

プロフィール
LILI LIMIT
LILI LIMIT (りり りみっと)

牧野純平(Vo)、土器大洋(Gt)、黒瀬莉世(Ba)、志水美日(Key)、丸谷誠治(Dr)。2012年、ボーカル牧野を中心に山口県宇部にて結成。その後福岡へ拠点を移動し現在のメンバーになる。2014年より東京にて活動を開始。2016年7月13日『LIVING ROOM EP』でメジャーデビュー。同年10月26日には1st Full Album『a.k.a』をリリース。2017年4月1日配信限定トラック『LIKE A HEPBURN』をリリース。同年6月28日には2nd EP『LAST SUPPER EP』をリリース。これまでに、SUMMER SONICへの出演や、海外バンドMEWやPOP ETCとのライブ経験も経る中、Gt.土器大洋は、でんぱ組.incへの楽曲提供、ゆずの楽曲のサウンドアレンジを手がけるなど、多方面で活躍中。2017年、1st Full Album『a.k.a』収録“A Short Film”のミュージックビデオが、アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショートフィルムフェスティバル2017』ミュージック部門16作品にノミネートされるなど、その作品性も話題となっている。

牧野正幸 (まきの まさゆき)

1986年生まれ。神戸芸術工科大学大学院修了。建築事務所を経て、フリーランスのグラフィックデザイナーとして東京を拠点に活動する。。主にフランスの電子音楽レーベルRÉCIT(レシ)のプロダクトや、インディペンデントな媒体のグラフィックを中心に手がける。2017年にイメージにまつわるプロジェクトとして、『The Practical Practice』をRÉCITより出版する等、パーソナルな活動も行なっている。



フィードバック 1

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • 兄・デザイナー、弟・ボーカル。LILI LIMITが独創的である理由

Special Feature

Crossing??

CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて