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民族音楽の熱狂に出会う。ケルト音楽を楽しむための3つのポイント

民族音楽の熱狂に出会う。ケルト音楽を楽しむための3つのポイント

『ケルティック・クリスマス2019』
テキスト
大谷隆之
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

ケルト音楽を楽しむための3つのポイント

音楽好き、とりわけトラディショナルミュージックのファンにとってはすっかり暮れの風物詩となった『ケルティック・クリスマス』。1998年にスタートしたこのライブイベントは、ヨーロッパから北米にまで広がる「ケルト文化圏」のトップミュージシャンたちを毎年招聘し、熱心な日本人オーディエンスも巻き込んでエキサイティングかつ親密な空間を創りだしてきた。

『ケルクリ』(常連客は愛着を込めてこう呼ぶ)の楽しみ方は人それぞれ。さまざまな魅力が詰まった祭典だが、ここではトラッドにあまり馴染みのない読者を念頭に置いて、3つの要素をピックアップしてみたいと思う。

ケルト音楽の歴史。「庶民の愉しみ」からスタートした、音楽的イノベーション

まず1つ目は、ケルト音楽の重要なエッセンスである疾走感、バイタリティー、表現力を、超一流の演奏を通じて体感できること。シンプルだけど、これは決定的に大きい。というのも日本では、ケルトミュージックに対して「スピリチュアル」「神秘的」「癒し」といったスタティックで画一的なイメージを抱いている人が、まだまだ少なくないからだ。

We Banjo 3(撮影:石田昌隆)
We Banjo 3(撮影:石田昌隆)

実際のケルト音楽は、世界中のあらゆるルーツミュージックと同様、もっと重層的で豊かな地域性に満ちている。祝宴やパブで奏でられるスピーディーなダンスチューンから、古い伝承や物語を歌うバラッド、多様なワークソング、美しい独唱など、スタイルも実に幅広い。1つ共通点を挙げるとすれば、かつてローマ帝国によってヨーロッパの辺境へと追いやられたケルト民族の文化と記憶を根底の部分に宿していること。つつましい暮らしと共に育まれてきた、不屈のフォークミュージックという言い方もできるだろう。

そうやって長く受け継がれてきた「庶民の愉しみ」は、1960年代に入って大きな飛躍を遂げる。イリアンパイプス(アイルランドのバグパイプ)奏者のパディ・モローニを中心にダブリンで結成されたThe Chieftainsを筆頭に(参照記事:ハンバートハンバート、音楽の先生と呼ぶThe Chieftainsを取材)、プリミティブで野趣に溢れた伝統曲にモダンなアレンジを採り入れたグループが次々に登場。自分たちのアイデンティティを見つめ直そうという社会の気運も相まって、ケルト圏のトラッドミュージック再興が国境を越えた巨大なうねりになっていったのだ。

現在のトラッドシーンも、基本的にはこの「ケルティック・ミュージック・ルネサンス」とも言うべきムーブメントの延長線上にある。若く才能あるプレーヤーたちが、伝統に根ざしつつ自分の表現を追求した結果、多くの革新がもたらされた。例えば、純粋なインストゥルメンタル音楽としての洗練度もその1つ。

もともとケルト音楽には膨大なダンスチューンが存在する。よく使われる楽器はフィドル(バイオリン)、バグパイプ、ホイッスル(縦笛)、フルート、アコーディオンなどで、それらがときにユニゾン、ときに微妙に位相をずらしながら短い旋律をリフレインさせるのが、ごく一般的な演奏スタイルだと言っていい。

目まぐるしく回転するメロディーは、古代ケルトの文様である「螺旋」を思わせる独特のグルーヴを生むのだが、近年はそこにシャープで複雑なリズムや対位法的なアプローチなども加わって、アンサンブルの可能性自体がどんどん広がってきた。一流のプレーヤーたちが一体となって突っ走るスリルと昂揚感、火花が散るような演奏の応酬は、例えば最先端のジャズやエクスペリメンタル系の音楽と比べても、まったく見劣りしない。

つまりケルト音楽とは、「癒し」や「神秘」といった静的なイメージとは裏腹に、自らのルーツとしっかり繋がりつつ現在進行形のイノベーションを繰り返しているジャンルなのだ。それでいて敷居の高さはなく、むしろ一流のミュージシャンほど(おそらく彼 / 彼女らにとって原風景である)気軽なパブセッションの温かみを強く感じさせるところも、実に興味深い。

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イベント情報

『ケルティック・クリスマス2019』
『ケルティック・クリスマス2019』

2019年11月30日(土)
会場:福井県 福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい
出演:
シャロン・シャノン
TALISK

2019年12月1日(日)
会場:神奈川県 よこすか芸術劇場
出演:
シャロン・シャノン
We Banjo 3
TALISK
※終演後アフター・パーティー(セッション)開催

2019年12月7日(土)
会場:長野県 長野市芸術館メインホール
出演:
シャロン・シャノン
We Banjo 3
TALISK
クリスティーン・カー(ダンス)

2019年12月8日(日)
会場:東京都 すみだトリフォニーホール 大ホール
出演:
シャロン・シャノン
We Banjo 3
TALISK
クリスティーン・カー(ダンス)

助成:Culture Ireland

Culture Ireland
『シャロン・シャノン 来日公演2019』

2019年12月3日(火)
会場:大阪府 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

2019年12月5日(木)
会場:山形県 文翔館

『We Banjo 3 来日公演2019』

2019年12月4日(水)
会場:大阪府 梅田クラブクアトロ

2019年12月5日(木)
会場:東京都 渋谷クラブクアトロ

『タリスク 来日公演2019』

2019年12月3日(火)
会場:東京都 晴れたら空に豆まいて

2019年12月4日(水)
会場:愛知県 宗次ホール

リリース情報

TALISK『ビヨンド(来日記念盤)』
TALISK
『ビヨンド(来日記念盤)』(CD)

2019年10月20日(日)発売
価格:2,500円(税抜)
VIVO-476

1. Montreal
2. Crooked Water Valley
3. Serbian Dreams
4. Cabot Trail
5. Farewell
6. Liddesdale
7. Rations
8. Beyond

We Banjo 3『ヘイヴン(来日記念盤)』
We Banjo 3
『ヘイヴン(来日記念盤)』(CD)

2019年10月20日(日)発売
価格:2,500円(税抜)
VIVO-477

1. Haven
2. Light in the Sky
3. Sugar House
4. War of Love
5. Annabelle's Cannon
6. Pack It Up
7. Marry Me Monday
8. Sunflower
9. Don't Let Me Down
10. Dawn Breaks
11. Hold Onto Your Soul

シャロン・シャノン『ライヴ・イン・ミネアポリス(来日記念盤)』
シャロン・シャノン
『ライヴ・イン・ミネアポリス(来日記念盤)』(2CD)

2019年11月24日(日)発売
価格:2,700円(税抜)
VIVO-478

[Disc 1]
1. Rusheen Bay
2. Pull out the Stops
3. Sacred Earth/ Madonnas Groove
4. The Merry Widow Waltz
5. Reel Beatrice
6. Don't Think Twice, It's Alright
7. Rathlin Island
8. Marbhna Luimni/Phil Cunninghams
9. Sandy River Belle Set

[Disc 2]
1. Smoke in the Chimney Set
2. Sliabh na mBan
3. Frenchies Reel
4. Smile
5. Cavan Potholes
6. Blackbird
7. James Brownes March/Clickin'/ Tobique
8. The Galway Girl/Music for a Found Harmonium

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