コラム

日向坂46が紅白初出場。“キュン”で体現する「ハッピーオーラ」

日向坂46が紅白初出場。“キュン”で体現する「ハッピーオーラ」

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原友昭
編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

今年の3月にシングル『キュン』でデビューした日向坂46(ひなたざかふぉーてぃーしっくす)が12月31日放送の『NHK紅白歌合戦』に初出場する。デビュー以降、現時点までにリリースされた3枚のシングルは全てオリコン週間シングルランキング初登場1位、初週40万枚超えを記録し、横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナといった会場でのライブや、テレビ、舞台、ラジオ、CM、雑誌など様々なフィールドで活動しているが、3月にデビュー、と言っても日向坂46は、今年になって彗星のごとく現れたわけではない。ここではすでに始まっている年末の歌番組で初めて見る、見た、あるいは名前は聞いたことあるけれど……、という人に向けて日向坂46がどのようなグループであるかを、その歩みと共に振り返ってみたい。

欅坂46の「アンダーグループ」として誕生。けやき坂46から日向坂46へ

乃木坂46、欅坂46に続く「坂道シリーズ」のグループとしてデビューした日向坂46は、日向坂46となる以前は、けやき坂46として活動していた。

このけやき坂46というのは、2015年8月に誕生した欅坂46に長濱ねるが途中加入したことをきっかけに、当初、欅坂46の「アンダーグループ」として同年11月に長濱ねるひとりで結成されたグループであり、「新しく長濱ねるの仲間を集めよう」ということで集まったオーディション合格者11人と長濱ねるの12人で2016年5月にそのキャリアを本格的に始動させた。(参考:「卒業発表の長濱ねる。欅坂46の「裏センター」が駆け抜けた眩しき3年半」

「漢字欅」の欅坂46に対して「ひらがなけやき」と呼ばれたけやき坂46が初めて音源に参加したのは、欅坂46の2ndシングル『世界には愛しかない』(2016年8月発売)のカップリング曲“ひらがなけやき”であった。つまり、2016年4月にシングル『サイレントマジョリティー』でデビューした欅坂46と音楽活動の開始時期自体はそれほど変わらないことになるが、「アンダーグループ」とは言っても欅坂46に昇格するメンバーがいたわけでもなく、2017年9月にはグループの創始者とも言える長濱ねるがけやき坂46の兼任を解除され、欅坂46専任になるなど、「自分たちの存在意義が分からなかった時」もあったという彼女らは、2016年5月から数えて東京・三田の日向坂(ひゅうがざか)に由来する日向坂46と改名するまでのおよそ3年の間に、2期生、3期生の加入や、欅坂46の代打として急遽、1日公演から3日公演を行なうことになった日本武道館公演、オードリーをMCに迎えた冠番組『ひらがな推し』(現『日向坂で会いましょう』)の放送開始、けやき坂46名義でのデビューアルバム『走り出す瞬間』のリリース、舞台やドラマ出演など様々な出来事を経て、現在、活動休止中の影山優佳、濱岸ひより、井口眞緒を含む20人で活動している。

けやき坂46のロゴと日向坂46のロゴ
けやき坂46のロゴと日向坂46のロゴ

変わったことと、変わらないこと。ファンダム名称「おひさま」の命名で生まれた共生性と、受け継がれる「ハッピーオーラ」

改名にあたってグループカラーが「緑色」から「空色」に変更されたことに加えて、メンバー自身の発案によりファンは「おひさま」と呼ばれることになった。とりわけ後者の点はメンバー発信によるファンの総称を持たない乃木坂46、欅坂46とは大きく異なる点である。

ファンを「おひさま」と呼ぶことで日向坂46は、「おひさま」が存在するから「日向」が存在するという「共生性」をより明確に打ち出しており、その「共生性」は、たとえばキャプテンの佐々木久美が「おひさまにお願いがあります『My god』のサビで『マイガッ』という声があるのですが、そこをみんなで一緒に言ってもらいたいです!」と呼びかけたり 、「おひさま」の考案により“JOYFUL LOVE”のパフォーマンス時に、メンバーがそれぞれ着ている衣装の色に合わせて会場をペンライトで「虹色」に染めたりすることなどにも現れている。

日向坂46“JOYFUL LOVE”。楽曲としてはけやき坂46時代の作品だが『キュン』に収録

だが、変わったことばかりではない。日向坂46がモットーとして掲げる「ハッピーオーラ」は、欅坂46の7thシングル『アンビバレント』(2018年8月発売)に“ハッピーオーラ”という楽曲が収録されているように、けやき坂46時代から受け継がれたものであり、その「ハッピーオーラ」を全面に押し出したのが、『NHK紅白歌合戦』で披露されるデビュー曲“キュン”である。

では「ハッピーオーラ」とはなにか。それはたとえば<キュンキュンキュンキュン>と繰り返されるフレーズと共に「君」に恋に落ちた瞬間の「僕」の心境を歌った“キュン”のPVで、<かわいい>と囁くセンターの小坂菜緒のカメラ目線から目を逸らさず、その瞳を直視し続けたあとに(見る者のうちに)そよぐ「風」のようなものであり、グループカラーの「空色」を基調とした衣装をまとったメンバーたちが、「おひさま」の光が窓に差し込む教室から、「空色」が広がる校庭へと移動するにつれて徐々に光度が増してゆくPVの構成も「ハッピーオーラ」の醸成に寄与している。

けやき坂46“ハッピーオーラ”

日向坂46のデビュー曲“キュン”

続いて7月にリリースされた2ndシングルのタイトル曲“ドレミソラシド”でも、<ドレミドレミドレミ>と耳に残りやすいフレーズと共に、<友達だって 油断してた>ら<いつの間に ドレミの矢に射抜かれた>、「僕」と「君」の関係が歌われている。PVでも西日や、教室の白いカーテンを揺らめかす風、「空色」のプールを照らす光などポカリスエットのような清涼感を感じさせ、“キュン”の延長線上にある。

日向坂46の2ndシングル表題曲“ドレミソラシド”

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