コラム

金ローで『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 新たな「家族」の萌芽

金ローで『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 新たな「家族」の萌芽

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島貫泰介
編集:矢澤拓(CINRA.NET編集部)

メイン画像©2018 & TM Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

12月20日『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』公開。42年の月日を経て、ついにシリーズ完結

誕生から42年目を迎えた『スター・ウォーズ(以下、SW)』は、さまざまなスピンオフ作品やキャラクターフィギュアなどのグッズへも展開する広大な作品世界を有するが、その中心にあるのは3つの三部作である。1977年から1983年にかけて公開された旧三部作(オリジナル・トリロジー)では、銀河帝国による圧政に苦しむ架空の宇宙を舞台に、辺境の惑星に住む平凡な少年ルーク・スカイウォーカーが秘めた才能を開花させ、仲間たちとともに宇宙に平和をもたらすまでが描かれる。その前日譚として1999年から2005年にかけて公開された新三部作(プリクエル・トリロジー)では、ルークの父親であるアナキン・スカイウォーカーを主役に据え、彼が悪役ダース・ベイダーになってしまう過程が描かれている。そして、12月20日公開の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でついに完結する続三部作(シークエル・トリロジー)は、ルーク以降の新しい世代が活躍する時代を舞台としている。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』予告

アナキンとルークの物語。「家族の確かさ」を描いてきたジョージ・ルーカスの旧三部作と新三部作

このうち旧三部作と新三部作がもっとも大きなテーマとして扱っているのは「家族の確かさ」だろう。片田舎で悶々と暮らしながら自分の本当の居場所を求めてきたルークが、生き別れになった妹=レイア姫と運命的に再会し、ダース・ベイダーと化した父と敵同士として出会い、和解する旧三部作は、何者でもなかった少年がスカイウォーカー家という「家族」のアイデンティティを発見する物語であるし、その父と母の出会いと別れに焦点を寄せた新三部作は、父親の暗黒面への堕落、母親の失意の死を描くなど全体としてはダークな仕上がりではあっても、ルークのファミリーヒストリーを補強・補完するものとしてある。この6作をもって、SWシリーズの創造主であるジョージ・ルーカスが「映画はアナキンとルークの物語であり、ルークは銀河を救い、父を取り戻して物語は終結しています」と語って現場から離れたのも、彼のなかでこの家族の物語を描ききった達成感があったからではないだろうか。

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』

スカイウォーカーという「血統」から何者でもない者たちへ。物語の担い手を引き継ごうとする、続三部作の決意表明

家族という観点からすると、ルーカスの意思に反して制作されることになった続三部作(ディズニーによるルーカスフィルム買収によって、シリーズの再始動は決まった)は、それまでとは異質な手触りを持つシリーズになっている。

エピソード7『フォースの覚醒』(2015年)でこそ、ダース・ベイダーを彷彿とさせる黒いマスクをまとって登場するカイロ・レン、エピソード4『新たなる希望』(1977年)のデス・スター突入作戦そっくりのスター・キラー基地への攻撃など、旧三部作ファンへの目配せを感じさせる描写・構成が採用されているが、はしばしにこれまでのSWを乗り越えようとするクリエイターたちの野心が垣間見える。例えば主要キャラの一人であるフィンは、旧作ではモブキャラでしかなかったストームトルーパーの脱走兵で、ルークやレイアのようなジェダイ騎士の資質もハン・ソロのような操船技術も持たない普通の人だ。これは、強力なフォースを扱う才能に恵まれた主人公レイが、エピソード8『最後のジェダイ』(2017年)でジェダイとは縁もゆかりもない「名もない人たち」の子どもだったことが明かされる展開とも共通する。

これまでのSWの正史が、ヒーローとなりうる根拠をスカイウォーカー家の血統やフォースの有無といった先天的な才能に頼ってきたのと違って、続三部作は「誰もがヒーローになりうる」ことに力点を置く。そして、旧三部作で活躍した伝説的な英雄であるルークやハン・ソロ、そして彼らと同世代かそれよりも少し下の大人たち(例えば『最後のジェダイ』で反乱軍を救うために敵艦隊に特攻するホルド提督)は、血気盛んで空回りしがちな若い世代のキャラクターたちをそれぞれのやり方で導きつつ、未来を委ねて物語から退場していくのだ。旧世代から新世代へと時代の主導権がゆるやかに移譲されるプロセス。それこそが2010年代に始まった新しいSWのテーマであり、ルーカスのSWを引き継ぐことになったJ・J・エイブラムス監督、ライアン・ジョンソン監督らの決意表明だったのではないかと思う。

もっとも、いささか強すぎたSWへのリスペクトとプレッシャーが、とりわけ『最後のジェダイ』での、無重力の宇宙のはずなのに下方向に向けて落下する不思議な爆撃や、物語上ほとんど必要のないカジノ周辺の展開といったトンデモなシーンを作る要因になってもいたのだが。

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番組情報

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』

2019年12月20日(金)21:00~日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』で放送

監督:ライアン・ジョンソン
原作:ジョージ・ルーカス
出演者:
マーク・ハミル
キャリー・フィッシャー
アダム・ドライバー
デイジー・リドリー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
ドーナル・グリーソン
ケリー・マリー・トラン
ローラ・ダーン
ベニチオ・デル・トロ
フランク・オズ

作品情報

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

12月20日(金)より日米同時公開

監督:J・J・エイブラムス
原作:ジョージ・ルーカス
出演者:
キャリー・フィッシャー
マーク・ハミル
アダム・ドライバー
デイジー・リドリー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
アンソニー・ダニエルズ
ナオミ・アッキー
ドーナル・グリーソン
リチャード・E・グラント
ルピタ・ニョンゴ
ケリー・ラッセル
ヨーナス・スオタモ
ケリー・マリー・トラン
イアン・マクダーミド
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