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片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

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2007年六本木にオープンした、国立新美術館。日本最大級の展示スペースを誇り、「森の中の美術館」を建築のコンセプトに掲げる同美術館が毎年開催しているのが『アーティスト・ファイル』展です。第4回を迎える今年は6月6日まで開催。学芸スタッフの日頃のフィールド・ワークを通じて選ばれた8組の作家は、用いるメディアや作風も違えば、国籍から年齢に至るまで千差万別。この多様で刺激に満ちた展示をレポートしてくれるのは、片桐仁さん。芸人としての活動の傍ら、個展を開催するなど造形作家としても活動し続けてきた片桐さんの眼を通して、展示の魅力をお伝えします。

テキスト:橋本倫史 撮影:菱沼勇夫

片桐仁
1973年生まれ。コメディアン、俳優、彫刻家。多摩美術大学卒業。在学中に小林賢太郎とラーメンズを結成、『シャキーン!』(NHK教育)などのテレビ番組や映画、舞台など多彩に活躍。その独特の感性と存在感が人気を博している。

1. 作品タイトルから広がる想像力

国立新美術館2階にある、企画展示室2Eに到着すると、出迎えてくれるのが『アーティスト・ファイル2011』の大きな看板です。今回この展示を紹介してくださる片桐仁さんは、美大を卒業されており彫刻作品なども手がけています。「どうやったら『アーティスト・ファイル』の作家に入れるんですか? ワイロとかあるんですか?」と選考方法に興味津々の片桐さんの手を引いて入口を抜けると、カラフルでドラマティックな絵画がまず出迎えてくれます。ニューヨーク在住の作家クリスティン・ベイカーの作品です。

「F1を題材にした絵が多いですねえ。T-SQUAREとか聴きながら描いてるんじゃないですか? クラッシュしてる瞬間の絵もありますね。…ええっ? この絵のタイトル『モンターギュ家とキャピュレット家』ってどうして?! どっちがジュリエット!? クラッシュの瞬間だから、『ロミオとジュリエット』みたいに悲劇だってことですかね?」

作品タイトルから広がる想像力

レースファンの両親に育てられたベイカーは、「最良の作品はいつでも、まったく私的な何か、あるいは極端なほどにありふれた何かから生まれる」という考えのもと、幼い頃から親しんだF1をテーマとした作品を多く描いてきました。近年では歴史的なモチーフを取り入れていますが、彼女の作品に共通しているのは手法の新しさです。

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

「パッと見だとCGっぽいですけど、コレ、むっちゃ手の技使ってますよね。ツルッとした硬い素材にアクリル絵具を塗って、スキージー(へら)か何かで引っ張ってる感じ。すげえ、超アナログ!」

しょっぱなから興奮気味の片桐さんと2番目の部屋に向かうと、展示されているのは松江泰治による写真作品…なのですが、壁に掲げられた作品につけられたタイトルは『OSA 13829』『PEN 21320』といった抽象的なものばかり。実はこのタイトル、国際航空運送協会が定める都市コードに由来しています。

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

思わず「これはどこだろう?」と推理を始める片桐さん。「『PAR 32319』ってことは、パ…パレスチナかな? 教会がなくてモスクが見えるから、イスラム圏でしょうね。俯瞰でみた街並みって、面白い」

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

壁に掲げられた写真は、どれも圧倒的な俯瞰で撮影された風景ですが、テーブルに並ぶ写真は少し趣きが異なります。こちらは高い所から撮影された町で生活する人々の写真が並んでいます。

「それぞれ別の場所なんでしょうけど、隣合わせになると物語性が出ますよね。壁に展示してある写真は、徹底して引いた目線で事実だけを撮ってる感じ。この2通りの作品を、同じ人が撮ってるっていうのが面白いですね」

橋本倫史

1982年東広島市生まれ。ライター。07年、リトルマガジン『HB』創刊、編集発行人を務める。『en-taxi』(扶桑社)、『マンスリーよしもとPLUS』(ヨシモトブックス)等に寄稿。向井秀徳初の著書『厚岸のおかず』(イースト・プレス)制作にも携わる。

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