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『GRAPHIC IS NOT DEAD.』 Vol.6 スプツニ子!×YKBX対談 ネオポピュラー時代のクリエイティブって?

『GRAPHIC IS NOT DEAD.』 Vol.6 スプツニ子!×YKBX対談 ネオポピュラー時代のクリエイティブって?

島貫泰介
撮影:菱沼勇夫
2013/08/21

今年2年目を迎える、デジタルにおける平面表現を対象にしたグラフィックコンペティション『2013 Graphic Grand Prix by Yamaha』。今年から審査員にスプツニ子!が加わり、テーマも一新。「いいの?」「いいね!」という、まさに現代のデジタルネットワーク時代を象徴するようなコンペティションとなっている。

今回は審査員でもあるスプツニ子!と、新進気鋭の映像作家にしてイラストレーターであるYKBXによる対談が実現。渋谷慶一郎、初音ミク、そしてルイ・ヴィトンがコラボレーションしたボーカロイドオペラ作品として注目を集めた『THE END』において、キャラクターデザインと世界設定を担当したYKBX。1枚のグラフィックに留まることなく、バイラルなコミュニケーションの広がりを作品に反映させていく彼の活動は、次の時代の平面表現に新次元の可能性を与えるものだろう。二人のアーティストの対談を通じて、グラフィックの未来を探る。

最近、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんもそうですけど、ただかわいいじゃなくて、グロいものが入ったりするビジュアルが引っかかっている気がします。(YKBX)

YKBX:『2013 Graphic Grand Prix by Yamaha』の「いいの?」「いいね!」っていうテーマ、面白いですね。

スプツニ子!:ありがとうございます。ネット上でバイラル的に作品やプロジェクトが拡散していくときって、一枚絵のバリューというよりは、その裏にある世界観とか、コンセプトとか、驚きとか、ストーリーとかに人って共感しますよね。

YKBX:そうですね。

スプツニ子!:YKBXさんが関わっているamazarashiのPVとかがバイラル的に受けている理由も、映像がかっこいい、音楽のクオリティーが高い、とかいろんな理由があると思うけど、Facebook的な「いいね!」だけじゃないと思っていて。「今のクリエイティブってこんなのもできるんだ!」「これって本当にいいのかな、でも気になるんだよね」みたいな、コントロバーシャル(議論的な)な拡散もあるでしょ。その全部を含めたくて「いいの?」「いいね!」ってタイトルにしたんです。

左:スプツニ子!、右:YKBX
左:スプツニ子!、右:YKBX

YKBX:あーなるほど。「いいの?」っていうのが象徴的ですよね。

スプツニ子!:タイトルのなかで会話し合ってる感じもあるし。そもそも美しい絵に賞をあげるっていう考え方って、少なくともデジタルデータで作品募集をする今回のコンペにはそぐわない気がする。前回の対談で日比野さんとも話題になったんですけど、ネットで流行った「マカンコウサッポウ」ってあるじゃないですか、女子高生たちがバーンってふっ飛ばされている写真。ああいう誰もがマネしたくなるようなバイラル性のある視覚表現こそが、今の時代の究極のグラフィックスだと思うんですよ。

YKBX:たしかに、すごい勢いで拡散しましたよね。

スプツニ子!:プロの写真家が撮っているわけでも、ビジュアル的に洗練されているわけでもない。でもだからこそ流行ったでしょ。そこには職人技を見せつけるような、上手下手とは違う次元、違う基軸が見出せると思うんです。

YKBX:僕は基本的に映像作家を名乗ってますけど、絵のほうも制作に必要だよなと思ってイラストを描いていたんです。そうしたら、だんだんそっちのニーズも出てきて、今はハイブリッドな状態になった。それも自分の好奇心が向かうに任せて進んだ結果というか。

スプツニ子!:ですよね。YKBXさんはバイラル的なムーブメントの広がり方ってどういうふうに捉えてますか?

YKBX

YKBX:どのプロジェクトも、アプローチはそれぞれ違うんですけど、1回見てそれで終わりではなくて、よりイマジネーションを引き出したり、いろんな解釈ができるような余白を残したりすることで、コミュニケーションがつながればいいなと思ってます。amazarashiのようなプロジェクトだったら、ファンのつながりもあるので、盛り上がってもらえるようなフックを作ることも意識しています。

スプツニ子!:映像作家として作品を発表してきたなかで気づいたことってありますか?

YKBX:最近気になるのは、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんもそうですけど、ただかわいいじゃなくて、グロいものが入ったりとか、強烈なビジュアルがあったりするものも心に引っかかる気がしてます。「マカンコウサッポウ」もだし、その後に『進撃の巨人』のパロディーが流行りましたよね。

スプツニ子!:へえ、そんなのが出てきたんですか。

YKBX:トリックアートみたいに遠近感を狂わせて撮影するんですよ。まるで自分が巨人になって友だちを食べてるみたいな写真を撮ったりだとか。

スプツニ子!:あー、それ見たことある。あれって『進撃の巨人』が元ネタなんだ。

YKBX:『進撃の巨人』もビジュアルが強烈じゃないですか。でもすごく流行っている。ちょっと前はかわいくって親しみやすいビジュアルがポップというかポピュラリティーを得ていた気がしますけど、今は作品を伝える上で必要があれば、内包している意味を感じさせたり、メッセージを誇張して描くようなものも求められるようになっている気がする。

スプツニ子!:過去の映像もYouTubeでいくらでも見られるし、みんな見たことないものを渇望してるのかな。

YKBX:それはあるでしょうね。

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イベント情報

『2013 Graphic Grand Prix by Yamaha』

応募期間:2013年6月3日(月)〜9月30日(月)
テーマ:「いいの?」「いいね!」
審査委員:
日比野克彦
スプツニ子!
ヤマハ株式会社 ヤマハ発動機株式会社 デザインセクションメンバー
川田学(ヤマハ株式会社 デザイン研究所 所長)
吉良康宏(ヤマハ発動機株式会社 デザイン本部デザイン・ディレクター)
竹井邦浩(ヤマハ株式会社 デザイナー)
並木育男(ヤマハ発動機株式会社 デザイナー)

プロフィール

スプツニ子!(すぷつにこ!)

1985年、東京都で、英国人の母と日本人の父(ともに数学者)の間に生まれる。東京、ロンドン在住。ロンドン大学インペリアル・カレッジ数学科および情報工学科を20歳で卒業後、フリープログラマーとして活動。その後、英国王立芸術学院(RCA)Design Interactions科修士課程を修了。在学中より、テクノロジーによって変化する人間の在り方や社会を反映させた作品を制作。2009年、原田セザール実との共同プロジェクト『Open_Sailing』が、アルス・エレクトロニカで「the next idea賞」を受賞。2012年より神戸芸術工科大学大学院客員教授。主な展覧会に、『東京アートミーティングトランスフォーメーション』(2011、東京都現代美術館)、『Talk to Me』(2011、ニューヨーク近代美術館)など。

YKBX(わいけーびーえっくす)

アートディレクター、アーティスト。各種映像作品のディレクションや制作に加え、イラストレーションやグラフィックデザインなどを手掛ける。トータルアートディレクションを目指した作品を数々制作し、国内外の映画祭やイベントで高く評価される。2013/5/23,24、渋谷オーチャードホールで行われるボーカロイドオペラ『THE END』では共同演出と映像ディレクターを務める。また同作は2013年11月にパリ・シャトレ座での海外公演も決定している。

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